586 / 1,397
43章 魔の森は秘密だらけ
581. オルトロス無事帰還
しおりを挟む
月の欠けた薄暗い中庭に、珍しく人が集まっていた。領地で預かったオルトロスを連れて転移したアスタロトは、野次馬の多さに苦笑する。
魔王妃であるリリスが白いワンピース姿でしゃがみこんでいた。その脇に膝をついたルシファーが何か尋ねる。小さな声でリリスが返答して、手元に描いた魔法陣を指さして説明を始めた。
手を繋いだベールを連れたルキフェルが後ろから魔法陣を覗き込み、指さして首をかしげる。ベルゼビュートは巻き毛がイマイチ気に入らない様子で、指先でくるくると巻き直していた。何やら胸元に不審な木札を隠す彼女は機嫌がいい。
側近の少女達は少し離れた中庭の大木の根元にテーブルを用意し、お茶の支度を始める。簡単な軽食なども用意したらしく、アデーレが手伝いに参加していた。
「ずいぶん大勢ですね」
アスタロトが歩き出すと、大型犬サイズに縮んだオルトロスがついてきた。尻尾の蛇が大きく振られる。帰れるので嬉しいのだろう。悪戯したピヨを捕獲して叱るヤンに、アラエルが必死で取りなす。カオスな状況の中庭は、さらにエルフやドワーフ、竜族など貴族を含めた魔族がひしめいていた。
中央に大きな魔法陣を描くと聞いているので、その場所だけエルフが小さな苗木を生やして確保する。苗木の内側は魔法陣が描かれる予定地として、立ち入り禁止とされた。
「ルシファー。ここが魔の森と繋がる回路なの」
「昔どこかで見たような……」
「古い文献に近い形の紋章があったね」
リリスの説明に、ルシファーとルキフェルが食いつく。魔法陣に関しては魔族の中でこの2人に敵う者はいない。複雑な模様を読み解き、新たな魔法文字を開発し、2人が作り上げた魔法陣は魔族の生活を豊かにする道具として広まっていた。
地面に触れる長さの黒髪を大きなお団子に纏めたリリスが、髪飾りを揺らして魔法陣に魔力を込める。ぶわりと金色の光が広がり、鮮やかな魔法陣が地面に刻まれた。
「あとは時間がきたら発動するわ。オルトロス、上に乗って」
中央を指さすと、オルトロスは魔法陣の光る文字や模様を踏まないよう歩く。中央に用意された円に入ってお座りした。手順は事前に説明してある。いま展開した魔法陣はオルトロスを返すための模様だ。他の異世界へ戻るなら、別の模様が必要だった。
各世界ごとに行き先を指定する模様が変わる。その特定が面倒なの、そう告げたリリスは立ち上がるとワンピースの埃を払った。髪留めを外して髪を散らす。癖のない黒髪がさらりと背を滑った。足首近くまで伸びた黒髪が、魔法陣から漏れる温かな風に揺れる。
「森の魔力が満ちる……もうすぐよ。元気でね、オルトロス」
ヘルハウンドが複雑そうな声で鳴いた。答えるようにオルトロスも唸る。互いに最後の挨拶を交わし、通路が開くのを待った。
「ルシファー、魔力を貸して」
差し出されたリリスの手を取ったルシファーが、打ち合わせ通りに魔法陣の一角に手を乗せる。リリスは右手を、ルシファーは左手を互いに絡めたまま、逆の手で魔法陣へ魔力を注いだ。ルシファーの銀色の魔力が目に見える色を纏って流れる。
事前に聞いていたが、急激に魔力を食われる感覚に翼を広げる。4枚の黒い翼がルシファーの背に出現した。それを見たリリスが背に白い2枚の翼を出す。彼女の黒髪に美しい金の輪が浮かんだ。互いの魔力を高めて注いでいく。
細心の注意を払い、魔法陣を壊さないように。転送するオルトロスを傷つけないよう、脅かさないように。そして……帰ったオルトロスが幸せになれるよう祈る。手を取り交じり合う金と銀の魔力が、魔法陣の外側から中へ満ちた。
「気を付けて帰れ」
ルシファーの言葉が鍵になった。ぱちっと乾いた音が響き、弾けるように魔法陣が消える。光が消えて暗くなった中庭で、夜目の利く種族は何もいなくなった地面を見つめた。
ベールが合図のために指を鳴らす。用意していた灯りが中庭を照らし、明るくなった場所にオルトロスがいないことで歓声が上がった。
「戻れたのか?」
「うん、帰ったよ」
にっこりとリリスが保証した。さらに大きくなった歓声に、なぜか呼び込みの声が混じる。目を輝かせるリリスと手を取り合って城門の外を窺えば、城下町から屋台が出ていた。焼き魚や大きな平たいパンに包まれたウィンナーを見つけて、リリスが頬を緩める。
甘辛いソースの香りに誘われ、ふらふらと2人が外へ出ていく。呆れ顔のアスタロトは見なかったフリ、ベールとルキフェルは魔法陣の記録や検証作業に入った。ベルゼビュートは胸元の木札を取り出し満面の笑みで、バアルの元へ走る。
「ほら見なさい! 私の一人勝ちよ」
高笑いしながら引き換えの木札を渡すが、元金が1割増しで戻っただけ。途中まで偏っていた賭けの倍率が、最後の駆け込みで45:55まで回復していたと知らされ……ベルゼビュートはしょんぼりと肩を落とした。
魔王妃であるリリスが白いワンピース姿でしゃがみこんでいた。その脇に膝をついたルシファーが何か尋ねる。小さな声でリリスが返答して、手元に描いた魔法陣を指さして説明を始めた。
手を繋いだベールを連れたルキフェルが後ろから魔法陣を覗き込み、指さして首をかしげる。ベルゼビュートは巻き毛がイマイチ気に入らない様子で、指先でくるくると巻き直していた。何やら胸元に不審な木札を隠す彼女は機嫌がいい。
側近の少女達は少し離れた中庭の大木の根元にテーブルを用意し、お茶の支度を始める。簡単な軽食なども用意したらしく、アデーレが手伝いに参加していた。
「ずいぶん大勢ですね」
アスタロトが歩き出すと、大型犬サイズに縮んだオルトロスがついてきた。尻尾の蛇が大きく振られる。帰れるので嬉しいのだろう。悪戯したピヨを捕獲して叱るヤンに、アラエルが必死で取りなす。カオスな状況の中庭は、さらにエルフやドワーフ、竜族など貴族を含めた魔族がひしめいていた。
中央に大きな魔法陣を描くと聞いているので、その場所だけエルフが小さな苗木を生やして確保する。苗木の内側は魔法陣が描かれる予定地として、立ち入り禁止とされた。
「ルシファー。ここが魔の森と繋がる回路なの」
「昔どこかで見たような……」
「古い文献に近い形の紋章があったね」
リリスの説明に、ルシファーとルキフェルが食いつく。魔法陣に関しては魔族の中でこの2人に敵う者はいない。複雑な模様を読み解き、新たな魔法文字を開発し、2人が作り上げた魔法陣は魔族の生活を豊かにする道具として広まっていた。
地面に触れる長さの黒髪を大きなお団子に纏めたリリスが、髪飾りを揺らして魔法陣に魔力を込める。ぶわりと金色の光が広がり、鮮やかな魔法陣が地面に刻まれた。
「あとは時間がきたら発動するわ。オルトロス、上に乗って」
中央を指さすと、オルトロスは魔法陣の光る文字や模様を踏まないよう歩く。中央に用意された円に入ってお座りした。手順は事前に説明してある。いま展開した魔法陣はオルトロスを返すための模様だ。他の異世界へ戻るなら、別の模様が必要だった。
各世界ごとに行き先を指定する模様が変わる。その特定が面倒なの、そう告げたリリスは立ち上がるとワンピースの埃を払った。髪留めを外して髪を散らす。癖のない黒髪がさらりと背を滑った。足首近くまで伸びた黒髪が、魔法陣から漏れる温かな風に揺れる。
「森の魔力が満ちる……もうすぐよ。元気でね、オルトロス」
ヘルハウンドが複雑そうな声で鳴いた。答えるようにオルトロスも唸る。互いに最後の挨拶を交わし、通路が開くのを待った。
「ルシファー、魔力を貸して」
差し出されたリリスの手を取ったルシファーが、打ち合わせ通りに魔法陣の一角に手を乗せる。リリスは右手を、ルシファーは左手を互いに絡めたまま、逆の手で魔法陣へ魔力を注いだ。ルシファーの銀色の魔力が目に見える色を纏って流れる。
事前に聞いていたが、急激に魔力を食われる感覚に翼を広げる。4枚の黒い翼がルシファーの背に出現した。それを見たリリスが背に白い2枚の翼を出す。彼女の黒髪に美しい金の輪が浮かんだ。互いの魔力を高めて注いでいく。
細心の注意を払い、魔法陣を壊さないように。転送するオルトロスを傷つけないよう、脅かさないように。そして……帰ったオルトロスが幸せになれるよう祈る。手を取り交じり合う金と銀の魔力が、魔法陣の外側から中へ満ちた。
「気を付けて帰れ」
ルシファーの言葉が鍵になった。ぱちっと乾いた音が響き、弾けるように魔法陣が消える。光が消えて暗くなった中庭で、夜目の利く種族は何もいなくなった地面を見つめた。
ベールが合図のために指を鳴らす。用意していた灯りが中庭を照らし、明るくなった場所にオルトロスがいないことで歓声が上がった。
「戻れたのか?」
「うん、帰ったよ」
にっこりとリリスが保証した。さらに大きくなった歓声に、なぜか呼び込みの声が混じる。目を輝かせるリリスと手を取り合って城門の外を窺えば、城下町から屋台が出ていた。焼き魚や大きな平たいパンに包まれたウィンナーを見つけて、リリスが頬を緩める。
甘辛いソースの香りに誘われ、ふらふらと2人が外へ出ていく。呆れ顔のアスタロトは見なかったフリ、ベールとルキフェルは魔法陣の記録や検証作業に入った。ベルゼビュートは胸元の木札を取り出し満面の笑みで、バアルの元へ走る。
「ほら見なさい! 私の一人勝ちよ」
高笑いしながら引き換えの木札を渡すが、元金が1割増しで戻っただけ。途中まで偏っていた賭けの倍率が、最後の駆け込みで45:55まで回復していたと知らされ……ベルゼビュートはしょんぼりと肩を落とした。
30
お気に入りに追加
4,905
あなたにおすすめの小説
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる