549 / 1,397
41章 溺愛の弊害
546. 犯人の処分はお任せを
しおりを挟む
「お呼びですか?」
「お待たせいたしました、ルシファー様」
即座に反応してくれたのは嬉しいが……ベルゼビュートの姿に溜め息をついてしまう。髪にカーラーが巻きっぱなしだ。どうやら部屋で髪を巻いている最中だったらしい。以前にルキフェルに巻き髪用の魔法陣を作ってもらったが、魔力の込め方に失敗して爆発したため、今でも手作業なのだ。
「ベルゼビュート、その恰好はさすがに……」
顔をしかめたアスタロトが淡々と説教を始めようとしたが、先にリリスが叫んでいた。
「アシュタ! 早く!!」
「ああ、説教は後だ。幻獣の子が攫われた」
端的に状況を説明したルシファーの腕の中で、リリスが大興奮で手を振り回す。その指先に触れるシルフから情報を得た幼女は、くしゃりと顔を歪めた。
「痛いって、その子、痛いって言ってる」
攫われた幻獣がケガをしたと聞き、アスタロトの表情が厳しくなった。何かを探るように視線を泳がせ、すぐに音のない指笛を鳴らす。夕暮れ近づく空を舞うコウモリが数匹舞い降りた。彼らに何かを伝えると再び空に放つ。
「陛下、犯人の処分はお任せいただきます」
お伺いでなく断定を行ったアスタロトの態度に、ルシファーは額を押さえた。どうやら酷い状態になっているらしい。頷いたルシファーへ一礼し、アスタロトは転移した。剣を手にしたベルゼビュートもシルフから得た情報に唇を噛みしめ、無言で頭を下げて風に乗る。
あっという間に姿を消した2人の様子からして、捕まった幻獣の子は急を要する状況下だろう。シルフが伝えた情報もケガを匂わせるものだった。ちらりと視線を向けると、腕の中の幼女は長くなった黒髪を揺らして首をかしげる。
「パパは行かないの?」
「……リリスはどうしたい?」
愛し子の赤い瞳に、醜い物や汚い物は見せたくない。彼女のトラウマを抉るような行為がないとも限らない。だから決断できなくて迷った。躊躇するルシファーへ、リリスは胸をそらして告げた。
「リリスは行くよ」
「わかった。一緒に行こう」
もしケガをしているなら、急いで治癒する必要がある。魔王という最上の地位に立つ者として、責任は果たさねばならなかった。人族が再び魔族に牙を剥き、大切な民を傷つけたなら――相応の罰を与えるのがルシファーの役目だ。
覚悟を決めて転移した。
アスタロトの魔力を目標に飛んだ地は、予想どおり赤く染まっている。人族の手足が散らかり、むせ返る錆びた臭いが風を濁らせた。返り血に赤く染まる側近は、濡れた金髪をかき上げながら、まだ人族を狩る。魔術なら瞬きの間に始末できるというのに、わざわざ手を汚す。
吸い込むことを躊躇うほど濃厚な血臭をよそに、リリスはきょろきょろと辺りを見回した。
「パパ、あっち」
指差した先に、ベルゼビュートに保護された幻獣の子がいた。複数いる子供達は、怯えて蹲っている。
「下ろして、パパ、リリスおりるから」
じたばたと手足を動かすリリスを赤い大地に下ろし、繋いだ手を引っ張られて移動する。幻獣の子は3匹だった。神獣も混じっている。フェンリル、ペガサス、ユルルングルだろう。
大型犬サイズの子狼は、リリス達が近づくと尻尾を振った。先日、父であるセーレと一緒に顔を合わせた記憶がある。警戒心が薄かった。
「この子、ヤンの子供の子供?」
きゃん! 大きな声を上げて尻尾を振る。しかし愛らしい彼の片耳は千切れかけ、背中には矢の痕があった。毛で見えないが、後ろ足は血に濡れて引きずっている。痛々しい姿ながら、フェンリルの子は尻尾を止めなかった。
蹲って動かないペガサスの子は、翼の付け根にまだ矢が残っている。よく見れば、前足は2本とも切られた傷があった。あれでは逃げられず、さぞ怖い思いをしただろう。
まだ幼い子を傷つける者に、どんな理由があるか知らない。幻獣は薬や儀式に使われたり、監禁され飼われたこともあった。悲惨な歴史を思い出し、眉をひそめる。
何があろうと、どんな理由を振りかざしても、幼子を親から引き離して傷つける権利は、誰にもなかった。アスタロトの残忍な行為は、この現状をみた魔族ならば同意して容認される。一方的な殺戮であろうと、人族は同じことを無力な子供達に強いたのだから。
「だめよ、動いては傷が広がるわ」
先にユルルングルの子を治していたベルゼビュートが、セーレの子を叱る。幻獣や神獣は治癒魔法が効きにくい特性があった。鳳凰もそうだが、他者の魔力を跳ね返す性質を持つので、ゆっくり魔力を馴染ませる必要があるのだ。
傷のひどい子から手をつけたと思われるベルゼビュートは、手の下でぐったり動かない虹蛇の子に魔力を注ぐ。
「手伝おう」
「お願いしますわ。一度に全部は手が回らなくて」
苦笑いのベルゼビュートだが、手元の虹蛇は回復し始めたのか、頭をもたげて舌をちらちら見せ始めた。魔法陣を弾かれる可能性を考慮し、高密度の治癒魔法を使う。周囲が銀色に光り、じわりと温かくなった。
「パパ、治せる?」
「ああ、みんな元通りになるぞ」
約束した通り、傷を癒していく。ベルゼビュートが虹蛇から手を離した。フェンリルの耳が繋がり、さらに大きく尻尾が振られる。矢が抜けたペガサスが立ち上がった。
「こんなものか」
ほぼ治癒が終わった時点で魔力を散らす。すると手を繋いだリリスが、ぐいとルシファーを引っ張った。
「まだよ、パパ。こっち」
「お待たせいたしました、ルシファー様」
即座に反応してくれたのは嬉しいが……ベルゼビュートの姿に溜め息をついてしまう。髪にカーラーが巻きっぱなしだ。どうやら部屋で髪を巻いている最中だったらしい。以前にルキフェルに巻き髪用の魔法陣を作ってもらったが、魔力の込め方に失敗して爆発したため、今でも手作業なのだ。
「ベルゼビュート、その恰好はさすがに……」
顔をしかめたアスタロトが淡々と説教を始めようとしたが、先にリリスが叫んでいた。
「アシュタ! 早く!!」
「ああ、説教は後だ。幻獣の子が攫われた」
端的に状況を説明したルシファーの腕の中で、リリスが大興奮で手を振り回す。その指先に触れるシルフから情報を得た幼女は、くしゃりと顔を歪めた。
「痛いって、その子、痛いって言ってる」
攫われた幻獣がケガをしたと聞き、アスタロトの表情が厳しくなった。何かを探るように視線を泳がせ、すぐに音のない指笛を鳴らす。夕暮れ近づく空を舞うコウモリが数匹舞い降りた。彼らに何かを伝えると再び空に放つ。
「陛下、犯人の処分はお任せいただきます」
お伺いでなく断定を行ったアスタロトの態度に、ルシファーは額を押さえた。どうやら酷い状態になっているらしい。頷いたルシファーへ一礼し、アスタロトは転移した。剣を手にしたベルゼビュートもシルフから得た情報に唇を噛みしめ、無言で頭を下げて風に乗る。
あっという間に姿を消した2人の様子からして、捕まった幻獣の子は急を要する状況下だろう。シルフが伝えた情報もケガを匂わせるものだった。ちらりと視線を向けると、腕の中の幼女は長くなった黒髪を揺らして首をかしげる。
「パパは行かないの?」
「……リリスはどうしたい?」
愛し子の赤い瞳に、醜い物や汚い物は見せたくない。彼女のトラウマを抉るような行為がないとも限らない。だから決断できなくて迷った。躊躇するルシファーへ、リリスは胸をそらして告げた。
「リリスは行くよ」
「わかった。一緒に行こう」
もしケガをしているなら、急いで治癒する必要がある。魔王という最上の地位に立つ者として、責任は果たさねばならなかった。人族が再び魔族に牙を剥き、大切な民を傷つけたなら――相応の罰を与えるのがルシファーの役目だ。
覚悟を決めて転移した。
アスタロトの魔力を目標に飛んだ地は、予想どおり赤く染まっている。人族の手足が散らかり、むせ返る錆びた臭いが風を濁らせた。返り血に赤く染まる側近は、濡れた金髪をかき上げながら、まだ人族を狩る。魔術なら瞬きの間に始末できるというのに、わざわざ手を汚す。
吸い込むことを躊躇うほど濃厚な血臭をよそに、リリスはきょろきょろと辺りを見回した。
「パパ、あっち」
指差した先に、ベルゼビュートに保護された幻獣の子がいた。複数いる子供達は、怯えて蹲っている。
「下ろして、パパ、リリスおりるから」
じたばたと手足を動かすリリスを赤い大地に下ろし、繋いだ手を引っ張られて移動する。幻獣の子は3匹だった。神獣も混じっている。フェンリル、ペガサス、ユルルングルだろう。
大型犬サイズの子狼は、リリス達が近づくと尻尾を振った。先日、父であるセーレと一緒に顔を合わせた記憶がある。警戒心が薄かった。
「この子、ヤンの子供の子供?」
きゃん! 大きな声を上げて尻尾を振る。しかし愛らしい彼の片耳は千切れかけ、背中には矢の痕があった。毛で見えないが、後ろ足は血に濡れて引きずっている。痛々しい姿ながら、フェンリルの子は尻尾を止めなかった。
蹲って動かないペガサスの子は、翼の付け根にまだ矢が残っている。よく見れば、前足は2本とも切られた傷があった。あれでは逃げられず、さぞ怖い思いをしただろう。
まだ幼い子を傷つける者に、どんな理由があるか知らない。幻獣は薬や儀式に使われたり、監禁され飼われたこともあった。悲惨な歴史を思い出し、眉をひそめる。
何があろうと、どんな理由を振りかざしても、幼子を親から引き離して傷つける権利は、誰にもなかった。アスタロトの残忍な行為は、この現状をみた魔族ならば同意して容認される。一方的な殺戮であろうと、人族は同じことを無力な子供達に強いたのだから。
「だめよ、動いては傷が広がるわ」
先にユルルングルの子を治していたベルゼビュートが、セーレの子を叱る。幻獣や神獣は治癒魔法が効きにくい特性があった。鳳凰もそうだが、他者の魔力を跳ね返す性質を持つので、ゆっくり魔力を馴染ませる必要があるのだ。
傷のひどい子から手をつけたと思われるベルゼビュートは、手の下でぐったり動かない虹蛇の子に魔力を注ぐ。
「手伝おう」
「お願いしますわ。一度に全部は手が回らなくて」
苦笑いのベルゼビュートだが、手元の虹蛇は回復し始めたのか、頭をもたげて舌をちらちら見せ始めた。魔法陣を弾かれる可能性を考慮し、高密度の治癒魔法を使う。周囲が銀色に光り、じわりと温かくなった。
「パパ、治せる?」
「ああ、みんな元通りになるぞ」
約束した通り、傷を癒していく。ベルゼビュートが虹蛇から手を離した。フェンリルの耳が繋がり、さらに大きく尻尾が振られる。矢が抜けたペガサスが立ち上がった。
「こんなものか」
ほぼ治癒が終わった時点で魔力を散らす。すると手を繋いだリリスが、ぐいとルシファーを引っ張った。
「まだよ、パパ。こっち」
25
お気に入りに追加
4,905
あなたにおすすめの小説
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる