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22.見られて、た? ※微
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アザゼルが出掛けると不安になる。また足下に魔法陣が出来るんじゃないか? いきなり誘拐されて、甚振られるかも知れない。次は助けるのが間に合わず、嬲り殺されたら?
出がけのキスが守護になると聞いてから、自分で強請るようになった。もうヤラれたんだし、今さら恥ずかしがっても仕方ない。アザゼルは嬉しそうに応えてくれる。キスがねちっこくなった気もするが……その分だけ安全になるなら構わなかった。
アザゼルがいない部屋で、もじもじと足を擦り合わせる。攫われた事件から、アザゼルが出かけたのは2回目だ。前回は恐怖で半狂乱になり、キスで気絶させられた。あんな方法があるなんて知らなかったが、とにかく息が苦しくて……びっくりするくらい気持ちよかった。
目が覚めて、粗相をしたシーツを洗う居心地の悪さったらないが。夢精みたいなもんだと自分を慰めた。幸いにして洗ってる最中にアザゼルが帰って来なかったのが救いだ。問題はこっそり干したシーツが行方不明になったことか。俺の気配がするから、間違えて転送されたんじゃないだろうな。
考えをあちこちに散らしてみるものの、どうしても我慢できない。ほぼ全裸に近い状態で転がるベッドで、シーツの中に手を入れた。もぞもぞと触れてみるが、びっくりするレベルで勃ち上がってる。反り上がった側面を撫でると、背筋がぞくぞくした。
「んっ……」
先端を掠めた指に、甘い声が漏れる。慌てて唇を噛むが遅かった。
「ふ、ぁう」
誰もいないし、アザゼルは出かけたばかりだ。まだ帰ってこないはず。今までだって半日くらいは留守にしてたんだから……もぞもぞと動かす手が徐々に大胆になる。触れるだけから、シゴく動きに変わって、息が荒くなった。
「はぁ、あっ、ぅンっ」
仰向けで足を開いて、腹の上に吐き出した。上掛けが汚れるから蹴飛ばして、全裸で何をしてるんだろう。賢者タイムと呼ばれる、ひどく冷めた感情が俺を苛む。
「随分と愛らしいことを……余の愛撫を想像したか?」
え? 見られて、た?
くつりと喉を震わせて笑う声に、びくりと肩が震えた。恐る恐る左側を見ると、壁とベッドの間に立つ美形が、さらりと銀髪を揺らして微笑んでいる。その視線が向かう先は俺の顔なのに、手が無遠慮に俺に触れた。一度吐き出してすっきりしたはずの息子が、思わぬ反逆をみせる。
「まだまだ足りぬようだが、余の名を呼んでしてみよ」
とんでもない要求をされた。びくりと肩を揺らした俺が首を横に振る。だが忘れていた。この男は人の話を聞いたあと、己の欲を満たすため無視するタイプだった。
「恥ずかしがる仲でもあるまいに」
ふわりと動かす手から魔力で俺の手足を拘束する。引きずり起こされた体は、ベッドヘッドのクッションの山に寄りかかった。足を閉じることが許されぬまま、正面で微笑む美形の魔王――逃げ場を探そうとして口付けられる。
「ふっ、うんぁ……あ」
いつもより短いキスだが、何かを流し込まれた。口付けに酔う俺の喉がごくりと動き、我に返った時には遅い。
「なに……っ」
「ハヤトが素直になる御呪いだ」
それ、絶対に呪いの方だろ!
出がけのキスが守護になると聞いてから、自分で強請るようになった。もうヤラれたんだし、今さら恥ずかしがっても仕方ない。アザゼルは嬉しそうに応えてくれる。キスがねちっこくなった気もするが……その分だけ安全になるなら構わなかった。
アザゼルがいない部屋で、もじもじと足を擦り合わせる。攫われた事件から、アザゼルが出かけたのは2回目だ。前回は恐怖で半狂乱になり、キスで気絶させられた。あんな方法があるなんて知らなかったが、とにかく息が苦しくて……びっくりするくらい気持ちよかった。
目が覚めて、粗相をしたシーツを洗う居心地の悪さったらないが。夢精みたいなもんだと自分を慰めた。幸いにして洗ってる最中にアザゼルが帰って来なかったのが救いだ。問題はこっそり干したシーツが行方不明になったことか。俺の気配がするから、間違えて転送されたんじゃないだろうな。
考えをあちこちに散らしてみるものの、どうしても我慢できない。ほぼ全裸に近い状態で転がるベッドで、シーツの中に手を入れた。もぞもぞと触れてみるが、びっくりするレベルで勃ち上がってる。反り上がった側面を撫でると、背筋がぞくぞくした。
「んっ……」
先端を掠めた指に、甘い声が漏れる。慌てて唇を噛むが遅かった。
「ふ、ぁう」
誰もいないし、アザゼルは出かけたばかりだ。まだ帰ってこないはず。今までだって半日くらいは留守にしてたんだから……もぞもぞと動かす手が徐々に大胆になる。触れるだけから、シゴく動きに変わって、息が荒くなった。
「はぁ、あっ、ぅンっ」
仰向けで足を開いて、腹の上に吐き出した。上掛けが汚れるから蹴飛ばして、全裸で何をしてるんだろう。賢者タイムと呼ばれる、ひどく冷めた感情が俺を苛む。
「随分と愛らしいことを……余の愛撫を想像したか?」
え? 見られて、た?
くつりと喉を震わせて笑う声に、びくりと肩が震えた。恐る恐る左側を見ると、壁とベッドの間に立つ美形が、さらりと銀髪を揺らして微笑んでいる。その視線が向かう先は俺の顔なのに、手が無遠慮に俺に触れた。一度吐き出してすっきりしたはずの息子が、思わぬ反逆をみせる。
「まだまだ足りぬようだが、余の名を呼んでしてみよ」
とんでもない要求をされた。びくりと肩を揺らした俺が首を横に振る。だが忘れていた。この男は人の話を聞いたあと、己の欲を満たすため無視するタイプだった。
「恥ずかしがる仲でもあるまいに」
ふわりと動かす手から魔力で俺の手足を拘束する。引きずり起こされた体は、ベッドヘッドのクッションの山に寄りかかった。足を閉じることが許されぬまま、正面で微笑む美形の魔王――逃げ場を探そうとして口付けられる。
「ふっ、うんぁ……あ」
いつもより短いキスだが、何かを流し込まれた。口付けに酔う俺の喉がごくりと動き、我に返った時には遅い。
「なに……っ」
「ハヤトが素直になる御呪いだ」
それ、絶対に呪いの方だろ!
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