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34.ずいぶんと欲張りな猫だ ※

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※性的表現があります。
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「ん……、リュ、ァ、あ……ッ」

 解された指を引き抜かれ、甘い声が吐息まじりに漏れる。3本の長い指で慣らされた奥が疼き、きゅっと力が入った。

「ひくつかせて……欲しいのか?」

「……誰の、せいっ……くそ、はやく」

 早く寄越せと最後は声にならない吐息で告げれば、ぐいっと腰を抱き寄せられた。熱い塊に押し開かれるそこが、痛みより快感を求めて受け入れる。

 ぐちゅ……赤面する淫らな水音が響く。首筋も耳も赤くなってる自覚はあった。何回抱かれても、隅々まで知られていても恥ずかしさは消えない。

「ああ……っ、う」

 呼吸を整えてやり過ごそうとしたオレを見透かした男は、そんな隙をあたえない。ぐいと奥まで押し込まれ、ぴちゃと音が耳から羞恥を煽った。

 耳を塞ぎたくても、両手はネクタイに絡めとられ動かせない。抗議の意味を込めて叩こうとするが、纏められた両手は簡単に押さえられた。

「……きこ、え……から」

 隣の部屋にいるスタッフに聞こえる。必死でそう訴えるオレの頬に、リューアの手が滑る。愛しそうに撫でる指先はいつもより温かくて、甘い吐息がこぼれた。

「ふぅ……ん、っあ、あああっ」

 手前まで焦らすように抜いたリューアが一気に奥まで突き立てる。両手を押さえ込まれたオレに逃げ場はなく、見開いた目から涙が溢れた。受け止めた快楽が手足を痺れさせ、さらに抵抗を消していく。力なくリューアの黒髪を握った指に、奴が唇を寄せた。

 キスをするのではなく、舐める所作で背筋がぞくぞくと震える。口元を歪めて笑ったようだが、文句を言う余裕はなかった。

 追い詰めにかかるリューアの動きが激しくなる。

「隣に聞かせてやれ」

「やっ、あああぁッ……ん、はぁ、あぅ」

 止めとばかり、奥に精を注がれる。途中でなんとか声を殺すために腕を噛んだ。傷痕なんか気にしてる場合じゃない。ぐちゅ、くちゅり……耳を覆いたくなる水音がして、リューアが身を起こした。汗を掻かない人形のような男の額に、汗が伝う。

 結局、上を脱がないまま抱かれてしまった。

 快楽に負けて声を上げたオレは後悔の真っ最中だった。痺れる身体を丸めて、今頃になって耳を塞ぐ。隣のスタッフに絶対に聞こえた――生理的な涙をぐいっと乱暴に拭うオレの手を止めたリューアが、意地悪く笑う。

「隣は誰もいない」

「……は?」

「お前の声を誰かに聞かせるわけがないだろう」

 隣に聞かせるとか言ってたくせに、もう誰もいない? 騙された! 腹立たしさに蹴ってやろうと腹を狙って足を持ち上げる。しかし快楽に支配された足は力も速さも足りなくて、すぐに掴まれて広げられた。

「まだ足りないとは……ずいぶんと欲張りな猫だ」

「ちがっ!」

 否定するオレの尻を、中から溢れた白濁が汚していく。その淫らな光景に誘われて、リューアがぺろりと唇を舐めた。

 やばい、また火をつけた。

 予想に反することなく、昂った奴が太ももに触れる。濡れた奥に突き立てられ、声が喉に張り付いた。呼吸を忘れそうな勢いで、派手な音を響かせた交尾が再開される。

「や、もっ……むり……」

「名を呼べ」

 許してやろう。そんな響きに閉じていた目蓋を開くが、涙で滲んだ目は役に立たなかった。瞬きして涙を落として、ようやく輪郭が見える。

「リュ、ア……、リューアぁ。も、イケって」

 必死で懇願して、ようやく許された。汗ばんだ肌を重ねてから、中に再び注がれる。熱さもわからなくなるほど麻痺した下肢は自由になっても動かなくて……シーツを汚しながら情けない格好をさらす。

 こぽり、濡れた音で吐き出した精を、当事者のくせに楽しそうに眺めている。お前のせいだと罵りたいが、これ以上なにかされるのはゴメンだ。

「疲れたのなら、眠ればいい」

 終わればいつも優しい指先が、目元を押さえる。眠ってしまえと促すオレより冷たい指に逆えず、意識が眠りに落ちていく。完全に白旗を上げる直前、声を絞り出した。

「手、解い……」

 解いていくれと呟いた記憶を最後に、疲れた体は意識を手放した。




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