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33.首を噛むのは支配の証 ※
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※性的表現があります。
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カタログ撮影直後に消える主役2人――普通なら探し回る事案だと思う。しかも先日の事件が起きたばかりだ。襲撃されてたらと誰かが心配するかもしれない。万が一にでも誰かに見られたら……嫌な心配がオレの抵抗を激しくした。
「リューア! やだって」
歯を立てられた首筋を確かめるリューアの指先が、ぞくぞくとした快感を連れてくる。呼び起こすんじゃなく、無理やり暴かれるような恐怖が背を走った。それすら楽しむ男は、わずかに痕が残る首筋を吸い上げる。
「んっ……痕は、まず……ぃ」
「問題ない。今季はショーもない」
販売戦略の一環で、わざと行わなかったファッション・ショーのお陰で、カタログの予約が殺到しているらしい。先ほどのスタッフの話によれば、今季は過去最高の売り上げを計上するそうだ。最初の2年はとにかく露出ばかりだった。
ファッション・ショーを年2回、カタログもバージョン違いで数種類撮影した。当然イメージモデルのオレが休めるわけはなく、ストレスが溜まる2年だったが、翌年からカタログもショーも年1回のペースに落ち着いている。
今年のようにショーはやらず、カタログでの注文だけにしたのは初めてだった。スポンサーであるリューアの意向らしい。顔を売り終わったので、今後は勿体ぶった売り方をするって意味だろう。
「んっ……やだ」
歯形がつくほど噛み付かれ、痛みに呻く。直後に優しく舌でたどるテクニックなんて、どこで覚えてきやがった!? くそ、じわじわと痺れる感じがする。
傷にはなってないだろう。だが、痕は付いているに違いない。しばらく首元はきっちりスカーフで隠す必要があった。昨年も撮影が終わるなり首に派手なキスマークをつけられ、ずっとスカーフが手放せなかったのだ。
「リヴィ、おいで」
聞き慣れた声が耳元で甘い囁きを吹き込む。吐息と一緒に注がれる声が、腰を痺れさせた。
「なんだ? 期待しているのか」
くすくす笑う男の顔を引っ叩いてやりたい。オレがこんな敏感になったのは、絶対にお前の所為だぞ! 前にうっかり口にして腰砕けにされたので、二度と言わないけどな。
足が崩れる。膝から力が抜けて、抱き締められたまま座り込みそうになった。ずるずると床に懐こうとする情けない下半身は、腰が抜けた状態に近い。
オレだってそれなりに筋肉があるのに、軽々と抱き上げられた。屈辱を感じなくなるほど慣れてしまった腕にしがみつく。落とされた事はないが、どうしても不安定な姿勢に恐怖を感じるのだ。
優しく下され、冷たいシーツの感触にぎょっとした。連れ込まれた隣室にベッドがあるのはおかしい。用意周到なこの男は、撮影終了と同時に抱くつもりでいたという意味だ。逃す気はないと口元が弧を描く。
腹立ち紛れに整えられた黒髪を乱してやった。抱きつくフリで、ぐしゃぐしゃに乱しても奴は「仕方ない奴だ」と許す。知ってて行うオレは、爪を立てて暴れる子猫扱いだった。
「や……あっ、ん」
くちゅりと音を立てて胸を舐める男を、いつのまにか受け入れている自分がいる。殴りたいと思う反面、甘えるように肌に吸い付く姿は愛おしい。独占欲の激しい飼い主の背中に、傷をつけないように手を這わせた。
シャツ越しの肌はもどかしくて身を捩る。
「自分で脱ぐか、脱がされるか……選ばせてやろう」
「っ、どっちもゴメンだ」
ヤるつもりはない。そう告げた言葉に、リューアの薄い唇が歪んだ。向かい合っていた身体から下着ごと衣装を脱がされた。突然空気にさらされた肌は寒さを覚えて、驚いたオレの手が背に爪を立てる。
「随分情熱的な答えだ」
「ん?……ふっ」
首をかしげようとしたオレの半勃ちのそれを避けて、いきなり後ろに指を這わされる。ぞくぞくする感覚にきゅっと窄めた。さすがに入れるつもりじゃなかったらしい。表面を数回撫でる、ベッドサイドから潤滑剤を手に取った。
「上は脱がずにしたいのだろう?」
「ちが……うっ! やぁ……あ、ン……っ」
着崩れても袖を通したままの上着、濡れて乱れたシャツ、どちらもそのままで下肢だけ剥き出しのオレは自分の姿を想像して焦る。なんとか逃げ出そうと押し返そうとした手に指を絡められ、気づいたらネクタイで縛られていた。
「痕、つく……か、ら……やぁ」
必死に紡いだ声は嬌声になってしまい、甘い吐息と一緒に奴の唇に吸い込まれた。
「ふ、んっ……ン、うぅッ」
抵抗を奪われた脚を広げられる。潤滑剤で濡らした指が、すぐに入り込んだ。口付けで塞がれた悲鳴は飲まれて、代わりに鼻から抜ける吐息がやけに色っぽく響く。腰や背筋を走る甘い痺れが、足の抵抗を奪った。
わかってる――抱かれ慣れた身体が快楽を求めるのは、コイツが意外にも優しいからだ。無理やり体を開くくせに、最後はいつも気遣う。自分1人だけ気持ちよくなって終わることはなかった。だから勘違いしてしまうんだ。
――愛されてるのかもしれない、なんて。
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カタログ撮影直後に消える主役2人――普通なら探し回る事案だと思う。しかも先日の事件が起きたばかりだ。襲撃されてたらと誰かが心配するかもしれない。万が一にでも誰かに見られたら……嫌な心配がオレの抵抗を激しくした。
「リューア! やだって」
歯を立てられた首筋を確かめるリューアの指先が、ぞくぞくとした快感を連れてくる。呼び起こすんじゃなく、無理やり暴かれるような恐怖が背を走った。それすら楽しむ男は、わずかに痕が残る首筋を吸い上げる。
「んっ……痕は、まず……ぃ」
「問題ない。今季はショーもない」
販売戦略の一環で、わざと行わなかったファッション・ショーのお陰で、カタログの予約が殺到しているらしい。先ほどのスタッフの話によれば、今季は過去最高の売り上げを計上するそうだ。最初の2年はとにかく露出ばかりだった。
ファッション・ショーを年2回、カタログもバージョン違いで数種類撮影した。当然イメージモデルのオレが休めるわけはなく、ストレスが溜まる2年だったが、翌年からカタログもショーも年1回のペースに落ち着いている。
今年のようにショーはやらず、カタログでの注文だけにしたのは初めてだった。スポンサーであるリューアの意向らしい。顔を売り終わったので、今後は勿体ぶった売り方をするって意味だろう。
「んっ……やだ」
歯形がつくほど噛み付かれ、痛みに呻く。直後に優しく舌でたどるテクニックなんて、どこで覚えてきやがった!? くそ、じわじわと痺れる感じがする。
傷にはなってないだろう。だが、痕は付いているに違いない。しばらく首元はきっちりスカーフで隠す必要があった。昨年も撮影が終わるなり首に派手なキスマークをつけられ、ずっとスカーフが手放せなかったのだ。
「リヴィ、おいで」
聞き慣れた声が耳元で甘い囁きを吹き込む。吐息と一緒に注がれる声が、腰を痺れさせた。
「なんだ? 期待しているのか」
くすくす笑う男の顔を引っ叩いてやりたい。オレがこんな敏感になったのは、絶対にお前の所為だぞ! 前にうっかり口にして腰砕けにされたので、二度と言わないけどな。
足が崩れる。膝から力が抜けて、抱き締められたまま座り込みそうになった。ずるずると床に懐こうとする情けない下半身は、腰が抜けた状態に近い。
オレだってそれなりに筋肉があるのに、軽々と抱き上げられた。屈辱を感じなくなるほど慣れてしまった腕にしがみつく。落とされた事はないが、どうしても不安定な姿勢に恐怖を感じるのだ。
優しく下され、冷たいシーツの感触にぎょっとした。連れ込まれた隣室にベッドがあるのはおかしい。用意周到なこの男は、撮影終了と同時に抱くつもりでいたという意味だ。逃す気はないと口元が弧を描く。
腹立ち紛れに整えられた黒髪を乱してやった。抱きつくフリで、ぐしゃぐしゃに乱しても奴は「仕方ない奴だ」と許す。知ってて行うオレは、爪を立てて暴れる子猫扱いだった。
「や……あっ、ん」
くちゅりと音を立てて胸を舐める男を、いつのまにか受け入れている自分がいる。殴りたいと思う反面、甘えるように肌に吸い付く姿は愛おしい。独占欲の激しい飼い主の背中に、傷をつけないように手を這わせた。
シャツ越しの肌はもどかしくて身を捩る。
「自分で脱ぐか、脱がされるか……選ばせてやろう」
「っ、どっちもゴメンだ」
ヤるつもりはない。そう告げた言葉に、リューアの薄い唇が歪んだ。向かい合っていた身体から下着ごと衣装を脱がされた。突然空気にさらされた肌は寒さを覚えて、驚いたオレの手が背に爪を立てる。
「随分情熱的な答えだ」
「ん?……ふっ」
首をかしげようとしたオレの半勃ちのそれを避けて、いきなり後ろに指を這わされる。ぞくぞくする感覚にきゅっと窄めた。さすがに入れるつもりじゃなかったらしい。表面を数回撫でる、ベッドサイドから潤滑剤を手に取った。
「上は脱がずにしたいのだろう?」
「ちが……うっ! やぁ……あ、ン……っ」
着崩れても袖を通したままの上着、濡れて乱れたシャツ、どちらもそのままで下肢だけ剥き出しのオレは自分の姿を想像して焦る。なんとか逃げ出そうと押し返そうとした手に指を絡められ、気づいたらネクタイで縛られていた。
「痕、つく……か、ら……やぁ」
必死に紡いだ声は嬌声になってしまい、甘い吐息と一緒に奴の唇に吸い込まれた。
「ふ、んっ……ン、うぅッ」
抵抗を奪われた脚を広げられる。潤滑剤で濡らした指が、すぐに入り込んだ。口付けで塞がれた悲鳴は飲まれて、代わりに鼻から抜ける吐息がやけに色っぽく響く。腰や背筋を走る甘い痺れが、足の抵抗を奪った。
わかってる――抱かれ慣れた身体が快楽を求めるのは、コイツが意外にも優しいからだ。無理やり体を開くくせに、最後はいつも気遣う。自分1人だけ気持ちよくなって終わることはなかった。だから勘違いしてしまうんだ。
――愛されてるのかもしれない、なんて。
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