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49.離宮の秘密も含めて丸裸にしてあげるわ
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※昨日、間違えて別作品の話をUPしました。ご指摘いただきました皆様、ありがとうございます(o´-ω-)o)ペコッ 不注意な作者なので、とても助かります。
*********************
早朝から調査が始まった。離宮の管理責任者であるエリサリデ侯爵は、申し訳ないと謝りに訪れる。その肩を叩いて、父は結果を出すことを求めた。頭を下げるのも重要だけれど、犯人探しや侵入ルート特定はもっと大切だもの。
侯爵を責める言葉より、彼のやる気を高めて送り出す方が有意義だった。フロレンティーノ公爵家に宛がわれた部屋は三室だ。中央が私、私の部屋から廊下を正面に見て右隣はお父様、左側がお兄様に用意された。二人の間に私がいるのは、守るためだと思う。
中央の部屋の真下は、噴水に繋がるレンガが敷かれた広場である。窓から出入りする人影が一番目立つのに、窓が開いてカーテンが揺れていた。真っ先に疑われたのは窓からの出入りだった。赤い百合を持ち込んだ犯人の姿を見た者はいない。
お父様の部屋へ入った人影は、廊下の護衛騎士に姿を見られていない。カーテンは揺れたが、その後、悲鳴を聞いて駆け付けたお父様達により窓の施錠は確認された。テラスへ出るガラス扉は施錠されたまま。となれば、何らかの隠し扉や通路があるはず。
十人ほどの騎士が集められ、各家の当主も心配そうに集まった。
「これが目的かもしれんな。皆は仕事に戻ってくれ」
お父様の言葉に、はっとした表情の貴族は散った。それぞれの仕事に戻るためだ。騒ぎを起こして、こちらに視線と注意を逸らす目的なら。私が直接危害を加えられなかった理由として、納得できる。この騒ぎで追及の緩んだ隙に、証拠隠滅を図る恐れがあった。
横領や殺人未遂、王家の横暴な振る舞い、数えきれない罪状を追求する貴族派は、大急ぎで担当する現場へ向かう。彼らの退室を待って、再び騎士達の捜索を見守った。部屋の家具も可能な限り移動させて確認していく。
どこかに抜け道はないか。落し物がないか。丁寧に確認し、何かを発見するたびに確認をした。面倒で長い時間を経て、先に結論が出たのはお父様の部屋だ。カーテンを集めた隅、壁際を調べていた騎士が隙間を発見した。そこを開けるため、二人の騎士がかかりっきりで壁や床を撫でまわす。
「アリーチェ、カリストの部屋で待っているか?」
気を遣うお父様に首を横に振った。カリストお兄様は、失礼と断りを入れて隠し扉のありそうな壁に駆け寄る。なかなか発見されないので苛々したのかしら。
「この場で待ちますわ」
「でしたら、椅子をご用意させます。まだ体調が回復しておられないでしょう」
エリサリデ侯爵の気遣いで、長椅子がひとつ運ばれた。そっと端に腰掛けて、サーラに手を伸ばす。首を傾げる彼女から、トランクを受け取った。侍女だから隣に座るわけにいかない。ならば、重い荷物は私が預かればいいのよ。目配せで意味を察したのか、彼女は一礼した。
「見つけました!!」
お兄様の隣にいた騎士が声を上げる。人の視線がそちらへ集まった。カーテンを持ち上げて見えるよう支えるのは、我が家が連れてきた侍従だ。その横にぽっかりと黒い穴が開いていた。ここが侵入口で間違いないでしょう。何しろ、あの場所でカーテンを揺らして消えたのだから。
「塞ぐ方法を考えなくては……」
エリサリデ侯爵が眉を寄せる。お兄様の提案で、この通路の出口を探ることになった。大急ぎで侍従が駆け回り、灯りを用意する。率先して先頭を切ろうとする兄に、騎士達が首を横に振った。小公爵であるカリストお兄様に何かあったら大変だもの、当然だわ。
多少のやり取りがあり、お兄様は二番手を勝ち取った。言い包めたという方が正しいかも。興味はあるけれど、私が入るのは絶対に許可が下りないわね。すぐ脇に立つお父様を見上げた。お兄様が入る時点で、すでに眉間が寄っている。
騎士が四人とお兄様、灯りを持つ侍従。合計六人で、隠し通路の探索が決まった。ひらりと手を振って入っていく兄は、楽しそう。あちらは任せて……そろそろ私にも仕事が届きそう。
「フロレンティーノ公爵令嬢様に、後宮より手紙が届いております」
運んできた侍従からサーラが受け取り、取り上げたお父様が裏返す。封蝋を確認して、私に渡った。王妃様の封蝋が施された手紙は、ふわりと甘い香りがする。昨日出したお手紙の返事を読み、待っているお父様に回した。
「エリサリデ侯爵、王妃様とペストラ様がおいでになるわ。どこか部屋を用意していただけるかしら」
にっこり笑って、客間を要求した。折角だもの。昨夜の事件も含めて、王族の情報を丸裸にして差し上げましょう。
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早朝から調査が始まった。離宮の管理責任者であるエリサリデ侯爵は、申し訳ないと謝りに訪れる。その肩を叩いて、父は結果を出すことを求めた。頭を下げるのも重要だけれど、犯人探しや侵入ルート特定はもっと大切だもの。
侯爵を責める言葉より、彼のやる気を高めて送り出す方が有意義だった。フロレンティーノ公爵家に宛がわれた部屋は三室だ。中央が私、私の部屋から廊下を正面に見て右隣はお父様、左側がお兄様に用意された。二人の間に私がいるのは、守るためだと思う。
中央の部屋の真下は、噴水に繋がるレンガが敷かれた広場である。窓から出入りする人影が一番目立つのに、窓が開いてカーテンが揺れていた。真っ先に疑われたのは窓からの出入りだった。赤い百合を持ち込んだ犯人の姿を見た者はいない。
お父様の部屋へ入った人影は、廊下の護衛騎士に姿を見られていない。カーテンは揺れたが、その後、悲鳴を聞いて駆け付けたお父様達により窓の施錠は確認された。テラスへ出るガラス扉は施錠されたまま。となれば、何らかの隠し扉や通路があるはず。
十人ほどの騎士が集められ、各家の当主も心配そうに集まった。
「これが目的かもしれんな。皆は仕事に戻ってくれ」
お父様の言葉に、はっとした表情の貴族は散った。それぞれの仕事に戻るためだ。騒ぎを起こして、こちらに視線と注意を逸らす目的なら。私が直接危害を加えられなかった理由として、納得できる。この騒ぎで追及の緩んだ隙に、証拠隠滅を図る恐れがあった。
横領や殺人未遂、王家の横暴な振る舞い、数えきれない罪状を追求する貴族派は、大急ぎで担当する現場へ向かう。彼らの退室を待って、再び騎士達の捜索を見守った。部屋の家具も可能な限り移動させて確認していく。
どこかに抜け道はないか。落し物がないか。丁寧に確認し、何かを発見するたびに確認をした。面倒で長い時間を経て、先に結論が出たのはお父様の部屋だ。カーテンを集めた隅、壁際を調べていた騎士が隙間を発見した。そこを開けるため、二人の騎士がかかりっきりで壁や床を撫でまわす。
「アリーチェ、カリストの部屋で待っているか?」
気を遣うお父様に首を横に振った。カリストお兄様は、失礼と断りを入れて隠し扉のありそうな壁に駆け寄る。なかなか発見されないので苛々したのかしら。
「この場で待ちますわ」
「でしたら、椅子をご用意させます。まだ体調が回復しておられないでしょう」
エリサリデ侯爵の気遣いで、長椅子がひとつ運ばれた。そっと端に腰掛けて、サーラに手を伸ばす。首を傾げる彼女から、トランクを受け取った。侍女だから隣に座るわけにいかない。ならば、重い荷物は私が預かればいいのよ。目配せで意味を察したのか、彼女は一礼した。
「見つけました!!」
お兄様の隣にいた騎士が声を上げる。人の視線がそちらへ集まった。カーテンを持ち上げて見えるよう支えるのは、我が家が連れてきた侍従だ。その横にぽっかりと黒い穴が開いていた。ここが侵入口で間違いないでしょう。何しろ、あの場所でカーテンを揺らして消えたのだから。
「塞ぐ方法を考えなくては……」
エリサリデ侯爵が眉を寄せる。お兄様の提案で、この通路の出口を探ることになった。大急ぎで侍従が駆け回り、灯りを用意する。率先して先頭を切ろうとする兄に、騎士達が首を横に振った。小公爵であるカリストお兄様に何かあったら大変だもの、当然だわ。
多少のやり取りがあり、お兄様は二番手を勝ち取った。言い包めたという方が正しいかも。興味はあるけれど、私が入るのは絶対に許可が下りないわね。すぐ脇に立つお父様を見上げた。お兄様が入る時点で、すでに眉間が寄っている。
騎士が四人とお兄様、灯りを持つ侍従。合計六人で、隠し通路の探索が決まった。ひらりと手を振って入っていく兄は、楽しそう。あちらは任せて……そろそろ私にも仕事が届きそう。
「フロレンティーノ公爵令嬢様に、後宮より手紙が届いております」
運んできた侍従からサーラが受け取り、取り上げたお父様が裏返す。封蝋を確認して、私に渡った。王妃様の封蝋が施された手紙は、ふわりと甘い香りがする。昨日出したお手紙の返事を読み、待っているお父様に回した。
「エリサリデ侯爵、王妃様とペストラ様がおいでになるわ。どこか部屋を用意していただけるかしら」
にっこり笑って、客間を要求した。折角だもの。昨夜の事件も含めて、王族の情報を丸裸にして差し上げましょう。
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