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283. ドラゴンの鋭い爪があったら
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たくさんの木を植えて、種を蒔いた。セティが魔法で成長を促したんだけど、カイルに力を借りたみたい。カイルは成長させる神様なんだよ。僕は得意げにボリスに説明した。
ぐぁあ! 手を叩いて喜ぶ弟と、カゴいっぱいの花を植えた。小さな穴を掘るボリスの後ろから、僕が花を植えていく。後ろからまたボリスが土を被せた。葉っぱに土が乗った部分は、僕が確認して土を払う。セティのいう通り、仕事を分けたら早かったね。
「よし、こっちに来い」
手を洗えと言われ、近くの川で並んで水を被った。ボリスは手だけじゃなくて、体ごと飛び込んで洗ってる。僕も真似しようとしたら、ダメだと言われた。川の流れが早いんだって。見る間に流されるボリスが、慌てて飛び上がって戻ってきた。僕が入ったら、すぐ見えなくなりそう。
「これを削って食べるぞ」
セティが取り出したのは、凍った桃だ。それを風の魔法で細かく切っていく。薄く切られた桃が鍋にふわりと落ちて、雪みたいに積もった。
「すごい、雪みたいだね」
氷が小さな粒になって降ってくる現象を思い出す。僕が土産話をしたから、ボリスに見せてくれたのかも。にこにこしながらボリスと鍋に積もった桃を見ていると、スプーンを渡された
。口に入れるとふわふわで甘い。ボリスにはお玉で掬ってから、差し出した。ぺろんと一口で食べて、驚いた顔をする。
「甘いね」
頷きあい、また食べる。ボリスは口も体も大きいから、僕よりたくさん食べた。仲良く鍋の中身を分け合っていると、後ろからルードルフお兄さんが首を突っ込む。くんくんと匂った後、不思議そうに呟いた。
「仙桃?」
「よく知ってるな。ガイアが大量に持たせてくれたから、食べるか」
お父さんとお母さんも戻ってきたので、凍った桃を皆で食べた。動いた後の甘い物は、いつもより美味しい。お父さん達も一緒だから、さらに美味しかった。
夕暮れ前に獲物を捕まえて、お兄さんの洞窟に戻る。浄化で体を綺麗にしたら、お肉を捌くお父さんの近くで眺めていた。嘴の先で皮を摘んで引っ張ると、するすると皮が剥がれる。新鮮な証拠みたいで、僕はわくわくしながら見ていた。
「汚れるぞ」
「また綺麗にしてもらうからいいの」
「肉を捌くところなど、面白くなかろうに」
苦笑いするお父さんに首を横に振った。
「きれいに皮を取るし、中も無駄にしないから僕も覚えておくよ。お父さんみたいに上手に出来たら、カッコいいもん」
「そ、そうか」
お父さんは照れたのかな、横を向いて何か言ってたけど。すぐに皮を剥ぐ作業を再開した。横で見ている僕に、ときどき説明してくれる。たくさん見て覚えて、僕も手伝えるようになりたいな。そう言ったら、手を切るから刃物は禁止だって。
僕にもドラゴンの鋭い爪があったらよかったのにね。両手を見つめて残念だと肩を落としていたら、セティが後ろから抱きしめてくれた。
「イシスがドラゴンだと、こうして抱っこするのも大変だな」
僕、やっぱりドラゴンじゃなくても我慢する。セティの抱っこが好きだから。
ぐぁあ! 手を叩いて喜ぶ弟と、カゴいっぱいの花を植えた。小さな穴を掘るボリスの後ろから、僕が花を植えていく。後ろからまたボリスが土を被せた。葉っぱに土が乗った部分は、僕が確認して土を払う。セティのいう通り、仕事を分けたら早かったね。
「よし、こっちに来い」
手を洗えと言われ、近くの川で並んで水を被った。ボリスは手だけじゃなくて、体ごと飛び込んで洗ってる。僕も真似しようとしたら、ダメだと言われた。川の流れが早いんだって。見る間に流されるボリスが、慌てて飛び上がって戻ってきた。僕が入ったら、すぐ見えなくなりそう。
「これを削って食べるぞ」
セティが取り出したのは、凍った桃だ。それを風の魔法で細かく切っていく。薄く切られた桃が鍋にふわりと落ちて、雪みたいに積もった。
「すごい、雪みたいだね」
氷が小さな粒になって降ってくる現象を思い出す。僕が土産話をしたから、ボリスに見せてくれたのかも。にこにこしながらボリスと鍋に積もった桃を見ていると、スプーンを渡された
。口に入れるとふわふわで甘い。ボリスにはお玉で掬ってから、差し出した。ぺろんと一口で食べて、驚いた顔をする。
「甘いね」
頷きあい、また食べる。ボリスは口も体も大きいから、僕よりたくさん食べた。仲良く鍋の中身を分け合っていると、後ろからルードルフお兄さんが首を突っ込む。くんくんと匂った後、不思議そうに呟いた。
「仙桃?」
「よく知ってるな。ガイアが大量に持たせてくれたから、食べるか」
お父さんとお母さんも戻ってきたので、凍った桃を皆で食べた。動いた後の甘い物は、いつもより美味しい。お父さん達も一緒だから、さらに美味しかった。
夕暮れ前に獲物を捕まえて、お兄さんの洞窟に戻る。浄化で体を綺麗にしたら、お肉を捌くお父さんの近くで眺めていた。嘴の先で皮を摘んで引っ張ると、するすると皮が剥がれる。新鮮な証拠みたいで、僕はわくわくしながら見ていた。
「汚れるぞ」
「また綺麗にしてもらうからいいの」
「肉を捌くところなど、面白くなかろうに」
苦笑いするお父さんに首を横に振った。
「きれいに皮を取るし、中も無駄にしないから僕も覚えておくよ。お父さんみたいに上手に出来たら、カッコいいもん」
「そ、そうか」
お父さんは照れたのかな、横を向いて何か言ってたけど。すぐに皮を剥ぐ作業を再開した。横で見ている僕に、ときどき説明してくれる。たくさん見て覚えて、僕も手伝えるようになりたいな。そう言ったら、手を切るから刃物は禁止だって。
僕にもドラゴンの鋭い爪があったらよかったのにね。両手を見つめて残念だと肩を落としていたら、セティが後ろから抱きしめてくれた。
「イシスがドラゴンだと、こうして抱っこするのも大変だな」
僕、やっぱりドラゴンじゃなくても我慢する。セティの抱っこが好きだから。
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