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256.壊してないぞ ※微

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 桃を落としたガイアが真っ赤な顔になり、転がる桃を追いかけてトムが駆けていく。猫だから仕方ないよね。見送った僕が見上げると、セティが眉尻を下げて僕の頬にキスをした。どこか痛いの? 手でほっぺを撫でてみる。くちゅんとくしゃみが出た。

「服を着ていろ」

 渡されたワンピースを被る。セティは指を鳴らして着替えた。すごい便利、僕も出来たらいいのに。今日は薄い黄色なの。セティは黒に近い灰色だった。

「セティ、僕重い? 降りる?」

「このままでいいぞ」

 それならいいけど。桃が積まれたテーブルの前にある椅子に座るセティは、僕をお膝に乗せた。降りると言ったけど、このままでいいの? 僕の黒髪をガイアが手慣れた様子で編んでいく。三つ編みと呼ぶんだって。腰まで届く長い髪は、少し短くなって太い1本になった。

「尻尾みたい」

 トムとお揃いだ。その言葉に桃を掴んだセティがぐしゃりと握りつぶした。ぼたぼたと垂れる甘い果汁がもったいなくて、僕はセティの手を引っ張って舌を這わせる。甘い、すごく美味しい。ぺろぺろと舐める僕は尻尾もあるし、今日は猫だね。

「嫁が可愛すぎて離せねえ」

「危険だから絶対に離さないで」

 呟くセティにガイアがぼそぼそと話しかけた。聞こえたけど、大人の話は聞こえないフリをするのがいいんだよ。僕が覚えちゃいけない言葉もあるみたいだし。覚えてもいい時は、ちゃんと教えてくれたらいいと思う。舐め終わって、テーブルに落ちた桃の欠片を拾おうと動いたら、お尻が痛かった。

 ずっとじくじくしてたけど、ずきんとする。痛くて力を入れたら、もっと痛くなった。どうしよう、僕のお尻が壊れた。

「壊れてない! こら、ガイア。そんな目でオレを見るな、壊してないぞ」

 慌てた様子でセティが手を光らせる。それを腰の辺りに当てると、僕の痛いのはどこかへ飛んで行った。ほんのり暖かいのはケガを治す時の光だ。そっか、ケガをしたからお尻が痛かったんだ。セティが食べたからだと思ってた。

 ほっとする。じゃあ、次もお尻から食べられても平気だね。テーブルの上に落ちていた砕けた桃は、ガイアが片付けちゃった。新しい桃を差し出されて、受け取る。甘くて柔らかくて美味しいの。前回もお父さん達に持って行った。またみんなの分を用意しよう。

「後で桃を持たせてあげるから、今はイシスがお食べよ」

 ガイアが用意してくれるなら安心。手にした桃は熟れていて、少し切れ目を入れると皮が両側に剥ける。口を近づけて舐め、皮を剥いて、溢れてくる果汁を啜った。それからもっと中の実を齧る。桃は両手で持つ大きさだから一度にたくさんは齧れなくて、ちょっとずつ食べた。

 僕のお尻の下で、セティのおちんちんが成長した。なんで? 理由は分からないけど、僕が乗ってると痛いよね。お尻を揺らして位置をずらそうとしたら「動くな」と低い声で止められた。じっとしていたら、足の間におちんちんが上手に逃げる。スカートの間で押されてるけど、この方が楽なのかな?
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