255 / 321
253.勝てるわけがない(SIDEセティ)
しおりを挟む
*****SIDE セティ
可愛いことを考えるイシスを抱き締めて、思うまま貪った。怯えると宥め、泣くと涙を拭う。それでも離してやれない。今度は容赦しないと伝えただろう? 頷いたイシスが悪い。責任転嫁と知りながら、醜い欲でイシスを食らっていく。
甘い声を上げる唇を塞ぎ、声も唾液もすべて取り込んだ。指を入れて中を探り、ひときわ高い声を上げる場所を刺激する。
「きゃあっ」
愛らしい声を上げて、恥ずかしいと顔を伏せる。ぞくぞくする、じわじわする。そんな表現でイシスが快楽を感じていることを知る。可愛い表現ばかりだが、どこで覚えたのか。ちゅっと音を立ててキスする。
「いい子だ、もう少ししたら、な?」
食べてくれるなら我慢すると鼻を啜るイシスが愛おしくて、膨らんだ欲を抑えきれなかった。中から食べられたと驚く姿に煽られて、欲が落ち着くまで何度も貪った。
今、腕の中でぐったりと力の抜けたイシスは眠る。体力の限界を超えたのだろう。この子はまだ自分が人間だと思っている。もう神になったと何度言い聞かせても、根本的な認識が変わらなければ人間の生態に引きずられるのだ。
顔を見ながら接吻け、愛を囁き、正面から抱き合って過ごした。外の世界では10日ほど経過したか。数日前からガイアの声が干渉して煩い。ここはかつて神々が生まれた土地、現在は隔離された世界だった。
人の祈りを受けるためにこの地を出た神々は知らない。この大地がどれほど神格の形成に関係し、高めるのかを。イシスは無事だとつっけんどんに伝え、気を失った青白い頬にキスをする。甘い甘い子ども、神々の末っ子となるイシスはへにゃりと笑う。
キスが好きで、オレを好きで、まだ愛の醜さを知らない。お前が他の奴に目移りすれば、オレは世界を亡ぼすほど惚れているのに。この子は自覚がなく、優しさと微笑みを振りまく。愛らしい反面、オレの執着を理解しない振る舞いが憎らしかった。
「オレを振り回すのはお前くらいだ。イシス」
意識がないから文句を言って、謝らないイシスの頬や額にキスをする。起きていたら絶対に言えないな。やや冷えた体を温め、膝の上に跨った体の汚れを浄化した。以前は苦手だった浄化や治癒も、かなり上達した。
イシスと一緒にいると、破壊神で邪神と恐れられたオレが慈善の神のように変化していく。永く生きて凝り固まったオレという人格すら、イシスは僅かな時間で和らげた。
「愛してるよ、イシス。絶対に離さないからな」
聞こえているのか、イシスの口元が綻ぶ。舐めたり噛んだり、ぽってりと膨らんだ唇をもう一度貪った。
「ふ……っ、う、んぅ」
少し苦しそうな声を上げた後、イシスはぱちりと目を開いた。美しい紫の瞳だ。自分の色を見ても感じないのに、イシスに宿ると素直に綺麗だと思えた。ぺちゃりと唇を舐めると、すぐに開いて迎えられる。伸ばされた舌に歯を立て、啜り、舐める。吸われたイシスから甘い声が漏れる頃、ようやく離した。
輝くような美しさを纏う伴侶を存分に愛でながら、オレは俗世への帰還を迷う。
「セティ、たくさん食べた?」
無邪気な問いに一瞬目を見開き、すぐに破顔した。仕方ない、こんな純粋な魂を選んで囚われたオレが折れるしかないだろう。
「ああ、そうだな。何度も食べるが、今回は終わりにしよう」
可愛いことを考えるイシスを抱き締めて、思うまま貪った。怯えると宥め、泣くと涙を拭う。それでも離してやれない。今度は容赦しないと伝えただろう? 頷いたイシスが悪い。責任転嫁と知りながら、醜い欲でイシスを食らっていく。
甘い声を上げる唇を塞ぎ、声も唾液もすべて取り込んだ。指を入れて中を探り、ひときわ高い声を上げる場所を刺激する。
「きゃあっ」
愛らしい声を上げて、恥ずかしいと顔を伏せる。ぞくぞくする、じわじわする。そんな表現でイシスが快楽を感じていることを知る。可愛い表現ばかりだが、どこで覚えたのか。ちゅっと音を立ててキスする。
「いい子だ、もう少ししたら、な?」
食べてくれるなら我慢すると鼻を啜るイシスが愛おしくて、膨らんだ欲を抑えきれなかった。中から食べられたと驚く姿に煽られて、欲が落ち着くまで何度も貪った。
今、腕の中でぐったりと力の抜けたイシスは眠る。体力の限界を超えたのだろう。この子はまだ自分が人間だと思っている。もう神になったと何度言い聞かせても、根本的な認識が変わらなければ人間の生態に引きずられるのだ。
顔を見ながら接吻け、愛を囁き、正面から抱き合って過ごした。外の世界では10日ほど経過したか。数日前からガイアの声が干渉して煩い。ここはかつて神々が生まれた土地、現在は隔離された世界だった。
人の祈りを受けるためにこの地を出た神々は知らない。この大地がどれほど神格の形成に関係し、高めるのかを。イシスは無事だとつっけんどんに伝え、気を失った青白い頬にキスをする。甘い甘い子ども、神々の末っ子となるイシスはへにゃりと笑う。
キスが好きで、オレを好きで、まだ愛の醜さを知らない。お前が他の奴に目移りすれば、オレは世界を亡ぼすほど惚れているのに。この子は自覚がなく、優しさと微笑みを振りまく。愛らしい反面、オレの執着を理解しない振る舞いが憎らしかった。
「オレを振り回すのはお前くらいだ。イシス」
意識がないから文句を言って、謝らないイシスの頬や額にキスをする。起きていたら絶対に言えないな。やや冷えた体を温め、膝の上に跨った体の汚れを浄化した。以前は苦手だった浄化や治癒も、かなり上達した。
イシスと一緒にいると、破壊神で邪神と恐れられたオレが慈善の神のように変化していく。永く生きて凝り固まったオレという人格すら、イシスは僅かな時間で和らげた。
「愛してるよ、イシス。絶対に離さないからな」
聞こえているのか、イシスの口元が綻ぶ。舐めたり噛んだり、ぽってりと膨らんだ唇をもう一度貪った。
「ふ……っ、う、んぅ」
少し苦しそうな声を上げた後、イシスはぱちりと目を開いた。美しい紫の瞳だ。自分の色を見ても感じないのに、イシスに宿ると素直に綺麗だと思えた。ぺちゃりと唇を舐めると、すぐに開いて迎えられる。伸ばされた舌に歯を立て、啜り、舐める。吸われたイシスから甘い声が漏れる頃、ようやく離した。
輝くような美しさを纏う伴侶を存分に愛でながら、オレは俗世への帰還を迷う。
「セティ、たくさん食べた?」
無邪気な問いに一瞬目を見開き、すぐに破顔した。仕方ない、こんな純粋な魂を選んで囚われたオレが折れるしかないだろう。
「ああ、そうだな。何度も食べるが、今回は終わりにしよう」
41
お気に入りに追加
1,248
あなたにおすすめの小説
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
物語なんかじゃない
mahiro
BL
あの日、俺は知った。
俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。
それから数百年後。
俺は転生し、ひとり旅に出ていた。
あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!
gimmick-天遣騎士団-
秋谷イル
ファンタジー
千年前、異界から来た神々と創世の神々とがぶつかり合い、三つに分断された世界。ガナン大陸では最北の国カーネライズの皇帝ジニヤが狂気に走り、邪神の眷属「魔獣」を復活させ自国の民以外を根絶やしにしようとしていた。
だが大陸の半分がその狂気に飲み込まれてしまった時、伝説の舞台となった聖地オルトランドの丘でそれを再現するかのように創世の三柱の使徒「天遣騎士団」が現れ、窮地に陥っていた人々を救う。
その後、天遣騎士団は魔獣の軍勢を撃破しながら進軍し、ついには皇帝ジニヤを打倒してカーネライズの暴走に終止符を打った。
一年後、天遣騎士団の半数はまだカーネライズに留まっていた。大陸全土の恨みを買った帝国民を「収容所」と称した旧帝都に匿い、守るためである。しかし、同時にそれは帝国の陥落直前に判明したあるものの存在を探すための任務でもあった。
そんなある日、団長ブレイブと共にこの地に留まっていた副長アイズ、通称「黒い天士」は魔獣の生き残りに襲われていた少女を助ける。両親を喪い、成り行きで天遣騎士団が面倒を見ることになった彼女の世話を「唯一の女だから」という理由で任せられるアイズ。
無垢な少女との交流で彼女の中に初めての感情が芽生え始めたことにより、歴史はまた大きく動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる