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231.お土産話の次は街でお買い物

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 凍った大地は半透明で、足元が水みたいに透けていた。何かが凍ってて目を凝らしたけど、正体は分からない。もしかしたら動物や魚かも知れないとセティが言うから、僕は木や植物だったらいいなと思う。生きてる動物だと可哀想だもん。

 つるつると滑るから、ずっとセティにしがみ付いていた。どうしてセティは無事なのかと思ったら、ズルして浮いていたんだって。後で教えてくれたんだ。僕も浮かしてくれたらいいのに。

「しがみつくイシスが可愛くて、つい……ごめんな」

 額と唇にキスをくれたからいいよ。沈まない辛い水たまりは、海と同じ臭いがする。潮の香りと呼ぶらしいけど、すぐ分かる臭いだね。沈まないと確認するためにセティと水に入ったんだけど、凄いんだ。手を離しても浮いているの。池や湖と違って、手足をばたばたしても沈まなかった。

 嬉しくて楽しくて水をかき回していたら、僕の目が痛くなる。涙が溢れて止まらなくなった。びっくりしてセティを呼ぶ。見えなくなったらどうしよう、痛い、嫌だ、怖い。何度もセティが上から水をかけてくれて、ゆっくり目を開けたら痛くなかった。ここの水は塩が入ってるから目に沁みる、でもセティが掛けてくれた水筒の水は平気だ。

「塩やゴミが目に入ったら、水筒の水で洗うんだぞ」

 覚えておく。また痛くなるのは嫌だけど、知ってれば治せるから。薬草を覚えるのと一緒で、きっとセティは褒めてくれると思う。ベタベタする塩水を川で洗い流して、たくさんキスもした。1回目はしょっぱくて、2回目は苦い。でも最後はとても甘かった。

「後は何を見ようか」

 首を傾げて、街に行きたいと強請る。僕、ボリスやお母さん達にお土産を買いたい。綺麗な花を摘んだし、珍しい果物をもいだ。後は街にも行ってみたい。僕が貰った鱗の代わりを何か上げたかったんだ。そう言ったら、セティが少しだけ考える。

 じっと待つ僕の髪を撫でて、セティが頷く。コカトリスも一緒に街へ向かった。門の番をする人がいなくて、勝手に出入りが出来る。それに街を囲む塀も低くて驚いた。こっちは強い魔物や魔獣が少なくて、人間同士の戦いもあまりないんだって。だから低い壁でも平気みたい。

 乗り越えて入ってくる人がいないなら、高い塀はいらないよね。黒髪を赤に変えて、目も青くした。街の入り口で、借りたコカトリスを返す場所がある。今回は帰りも乗るので、預かってもらうだけ。一度別れて、街の中を歩いた。

 綺麗な石や飾りを売ってる店をいくつも見たけど、お母さんが持ってる金や宝石の方が綺麗だ。それに大きいお父さんの首につけられる長い飾りも見つからなかった。そうしたらセティが布を売ってるお店に入る。中には布やリボンがあって……僕はセティを見上げる。

「リボンなら長いのを買っていけるだろう?」

「そうだね。何色が似合うかな」

 セティと一緒にいろんなリボンを見て、手で触って選ぶ。みんなの分を買って、一緒にトムやガイアにも買った。シェリアは短いけどいろんな色をたくさん、ゲリュオンにも買おうとしたらセティが大笑いして……別の店で選んだ方がいいのかな。
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