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161.いつものお爺ちゃんだ
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「大きくなったのぉ」
いつものお爺ちゃんだ。抱き着いて、わんわん泣いた。鼻を啜る僕の顔はぐちゃぐちゃに汚れてるのに、それを優しく拭いてくれる。それから背中をトントン叩かれた。落ち着いてくる。
「お爺ちゃん、僕あちこち行ったの」
頷いたお爺ちゃんに、ぽつぽつといろんな話をした。外の世界に出て、初めての街であったかいご飯を食べたこと。甘いジュースを買ってもらったこと、たくさんの絵本を読んで勉強して字を覚えた話も。それからドラゴンのお母さんとお父さんが出来て、弟も生まれた。両手を広げてお爺ちゃんに説明する。
「それは凄い、大冒険じゃ」
目を丸くして聞いたお爺ちゃんに、僕はたくさん話した。気づいたらお爺ちゃんが泣いてて、僕は困って後ろを振り返る。床に座った僕を抱き上げるセティが、お爺ちゃんに優しい声を掛けた。僕がよく聞く声に似てて、すごく幸せになれる声だ。
「この子を慈しんだそなたに、礼を言う」
「勿体ないお言葉です。伴侶様は贄として捧げられましたが、もっと敬われてしかるべきでした。わし……私の力不足で不自由な思いをさせてしまい」
「よい。すべて知っておる」
会話に出てきた難しい単語はよく分からないけど、お爺ちゃんは神様に許されたんだ。だから幸せになれると思う。僕もすごく幸せだもん。お爺ちゃんもたくさん幸せになればいいね。にこにこ笑う僕を膝に乗せて、セティは「そうだな」って言ってくれた。
お爺ちゃんともう少しお話しできるかな。無理ならまた来ればいいの? 迷う僕にセティがキスをくれる。頬に触れて、次は額だった。黒髪にも触れる。嬉しくてお返ししようと背伸びしたら、唇が重なった。ぺろっと舐めて合図すると開けてくれるの。セティの舌を僕も舐めて、何度も絡めていたら腰がじゅわっとした。
動けなくなってセティに寄り掛かる僕は、たぶん赤い。息も少し苦しい。セティは神様だから平気みたいで、僕だけ肩で息をしてた。振り返るとお爺ちゃんがぽかんとした顔で見てる。あ、人前で唇にキスはダメだったのに。
「ごめ、なさ……」
「気にするな。煽ったオレが悪い」
セティは怒ってない? 安心してぐったりと寄り掛かる。僕の髪、だいぶ長くなった。今は肩の下まで来てて、もう少ししたら腰まで届くと思う。セティはもっと長いから僕も伸ばすんだ。いつか……追いつけるといいな。
ぼんやりしながら、セティが優しく叩くリズムを数える。こないだ、数を覚えた。1が並ぶと2になるの。僕が知ってるのは5まで。片方の手の指の数が5なんだよ。そんなことをお爺ちゃんに教えたくて、いろいろ考えてるのに体は眠くなった。
まだ起きていたい。むずがって身を揺する僕に、セティが「寝てろ」って言う。起きてたいんだよ。そう訴えても、優しい手は止まらなくて……僕を眠りに誘う。目蓋が重くて我慢できずに閉じたら、もう無理だった。ふわふわして気持ちがいい。
僕はお爺ちゃんとセティを置いたまま、自分だけ眠ってしまったみたい。
いつものお爺ちゃんだ。抱き着いて、わんわん泣いた。鼻を啜る僕の顔はぐちゃぐちゃに汚れてるのに、それを優しく拭いてくれる。それから背中をトントン叩かれた。落ち着いてくる。
「お爺ちゃん、僕あちこち行ったの」
頷いたお爺ちゃんに、ぽつぽつといろんな話をした。外の世界に出て、初めての街であったかいご飯を食べたこと。甘いジュースを買ってもらったこと、たくさんの絵本を読んで勉強して字を覚えた話も。それからドラゴンのお母さんとお父さんが出来て、弟も生まれた。両手を広げてお爺ちゃんに説明する。
「それは凄い、大冒険じゃ」
目を丸くして聞いたお爺ちゃんに、僕はたくさん話した。気づいたらお爺ちゃんが泣いてて、僕は困って後ろを振り返る。床に座った僕を抱き上げるセティが、お爺ちゃんに優しい声を掛けた。僕がよく聞く声に似てて、すごく幸せになれる声だ。
「この子を慈しんだそなたに、礼を言う」
「勿体ないお言葉です。伴侶様は贄として捧げられましたが、もっと敬われてしかるべきでした。わし……私の力不足で不自由な思いをさせてしまい」
「よい。すべて知っておる」
会話に出てきた難しい単語はよく分からないけど、お爺ちゃんは神様に許されたんだ。だから幸せになれると思う。僕もすごく幸せだもん。お爺ちゃんもたくさん幸せになればいいね。にこにこ笑う僕を膝に乗せて、セティは「そうだな」って言ってくれた。
お爺ちゃんともう少しお話しできるかな。無理ならまた来ればいいの? 迷う僕にセティがキスをくれる。頬に触れて、次は額だった。黒髪にも触れる。嬉しくてお返ししようと背伸びしたら、唇が重なった。ぺろっと舐めて合図すると開けてくれるの。セティの舌を僕も舐めて、何度も絡めていたら腰がじゅわっとした。
動けなくなってセティに寄り掛かる僕は、たぶん赤い。息も少し苦しい。セティは神様だから平気みたいで、僕だけ肩で息をしてた。振り返るとお爺ちゃんがぽかんとした顔で見てる。あ、人前で唇にキスはダメだったのに。
「ごめ、なさ……」
「気にするな。煽ったオレが悪い」
セティは怒ってない? 安心してぐったりと寄り掛かる。僕の髪、だいぶ長くなった。今は肩の下まで来てて、もう少ししたら腰まで届くと思う。セティはもっと長いから僕も伸ばすんだ。いつか……追いつけるといいな。
ぼんやりしながら、セティが優しく叩くリズムを数える。こないだ、数を覚えた。1が並ぶと2になるの。僕が知ってるのは5まで。片方の手の指の数が5なんだよ。そんなことをお爺ちゃんに教えたくて、いろいろ考えてるのに体は眠くなった。
まだ起きていたい。むずがって身を揺する僕に、セティが「寝てろ」って言う。起きてたいんだよ。そう訴えても、優しい手は止まらなくて……僕を眠りに誘う。目蓋が重くて我慢できずに閉じたら、もう無理だった。ふわふわして気持ちがいい。
僕はお爺ちゃんとセティを置いたまま、自分だけ眠ってしまったみたい。
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