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138.お父さんが来た!
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ゲリュオンはトムを見つけてくれたかな。もし1人なら、トムは赤ちゃんだから泣いてるかも。膝を抱えて、狭い部屋の隅に座る。隣でガイアが僕の頭を抱き寄せた。素直に転がると、ガイアのお腹に抱き着く。
「セティはもう近くにいるけど……ほかに何か飛んできてるんだよね」
首を傾げるガイア。僕は自分を抱き締めかけて、触れた手首の違和感に気づく。撫でて形を確かめて、見えない透明の輪があることを思い出した。
「ガイア、これ見える?」
「え? ああ、言われてみたら……随分と丁寧に隠蔽されてるね」
隠蔽は隠すことだと説明してもらった。お父さんが隠してくれたんだけど、と説明する。いざとなったら僕の居場所が分かるよ。そう付け加えたら、目を見開いた後で笑い出した。
「ふふっ、だからか。大きな強い者が近づいてるなと思ったら……もしかしてセティより早く着くかもよ」
ティフォンって呼ぶのをやめたんだね。ガイアはセティより早くドラゴンが来たら面白いと言う。よくわからないけど、空を飛べるからお父さんが早いかも知れないよ。セティは隣の大陸まで飛べない事情があるんだもん。仕方ないよね。
どんっ!!
激しい音がして、天井が少し壊れた。落ちてくる破片は真ん中が多いから、僕はガイアの手を引いて壁の近くに逃げる。上を見上げるガイアが「来た」と呟いた。それから結界を張るからケガしないと教えてもらう。透明で強い膜みたいなのを作れる、ガイアはやっぱり神様だった。
僕は何もできないけど、いいのかな。そんな僕の声に、ガイアが首を横に振った。
「少なくとも上にいるドラゴンを呼んだのは、イシスだよね」
「ドラゴン……お父さん?!」
お父さんが来てくれたの? さっき僕が呼んだから、セティの名前と一緒にお父さんも呼んだからなの? 忙しいのに、ボリスやお母さんもいるのに……。
「お父さん、ケガしてない?」
どどんっ! 再び激しい振動と音に、思わず頭を抱えて丸くなった。怖い、お父さんが来てくれたのに、足が動かない。
「大丈夫、落ちてきても平気だから行こう」
ガイアが手を引いてくれる。優しく僕に声を掛けて、前だけ見て走ればいいって言う。頷いてガイアを信じた。だってセティの兄弟だもん。ガイアに連れられて、壊れた部屋の隙間から外へ出た。見たことがない風景が広がっている。
赤い葉っぱがついた木や黄色い葉っぱの木がいっぱい。緑は少なくて、でも地面は黒っぽい土だった。セティと旅した道は、薄い茶色だったのに。埃は少ないけど、べたべたする。見上げた先に、大きな銀のドラゴンがいた。
「お父さん!!」
手を振ると、ぐるると喉を鳴らしたお父さんがひらりと舞い降りた。騒いでる人たちが攻撃してるけど、お父さん痛くないのかな。
ゆったり降りたお父さんが差し出した手に登り、後ろからガイアに押してもらった。だからお礼に今度は僕がガイアを引っ張る。手の上に乗った僕達を背中に移動させて、お父さんは空にふわりと浮いた。広い広い景色の向こうで、燃える鳥さんが火を噴いてる。
……あれ? 鳥さんの背中に乗ってるの、セティかも。
「セティはもう近くにいるけど……ほかに何か飛んできてるんだよね」
首を傾げるガイア。僕は自分を抱き締めかけて、触れた手首の違和感に気づく。撫でて形を確かめて、見えない透明の輪があることを思い出した。
「ガイア、これ見える?」
「え? ああ、言われてみたら……随分と丁寧に隠蔽されてるね」
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どんっ!!
激しい音がして、天井が少し壊れた。落ちてくる破片は真ん中が多いから、僕はガイアの手を引いて壁の近くに逃げる。上を見上げるガイアが「来た」と呟いた。それから結界を張るからケガしないと教えてもらう。透明で強い膜みたいなのを作れる、ガイアはやっぱり神様だった。
僕は何もできないけど、いいのかな。そんな僕の声に、ガイアが首を横に振った。
「少なくとも上にいるドラゴンを呼んだのは、イシスだよね」
「ドラゴン……お父さん?!」
お父さんが来てくれたの? さっき僕が呼んだから、セティの名前と一緒にお父さんも呼んだからなの? 忙しいのに、ボリスやお母さんもいるのに……。
「お父さん、ケガしてない?」
どどんっ! 再び激しい振動と音に、思わず頭を抱えて丸くなった。怖い、お父さんが来てくれたのに、足が動かない。
「大丈夫、落ちてきても平気だから行こう」
ガイアが手を引いてくれる。優しく僕に声を掛けて、前だけ見て走ればいいって言う。頷いてガイアを信じた。だってセティの兄弟だもん。ガイアに連れられて、壊れた部屋の隙間から外へ出た。見たことがない風景が広がっている。
赤い葉っぱがついた木や黄色い葉っぱの木がいっぱい。緑は少なくて、でも地面は黒っぽい土だった。セティと旅した道は、薄い茶色だったのに。埃は少ないけど、べたべたする。見上げた先に、大きな銀のドラゴンがいた。
「お父さん!!」
手を振ると、ぐるると喉を鳴らしたお父さんがひらりと舞い降りた。騒いでる人たちが攻撃してるけど、お父さん痛くないのかな。
ゆったり降りたお父さんが差し出した手に登り、後ろからガイアに押してもらった。だからお礼に今度は僕がガイアを引っ張る。手の上に乗った僕達を背中に移動させて、お父さんは空にふわりと浮いた。広い広い景色の向こうで、燃える鳥さんが火を噴いてる。
……あれ? 鳥さんの背中に乗ってるの、セティかも。
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