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125.一緒の枕を作ろうね

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 羽毛を全部拾って、また袋に入れ直した。すぐに破けないよう袋の上にまた袋を掛けたんだよ。大量にある羽毛は、あとで枕になるんだって。僕の分とセティの分を作るの。街に行ったら注文してもらうんだ。じっと見てるから、余ったらボリスの分も頼むことにした。

「ボリス、僕はちっちゃい枕だから余ると思う」

 足りなかったらとしょんぼりする弟に話しかけていると、出掛けたお父さんが帰ってきた。洞窟の入り口にぶわっと風が押し寄せて、僕達は一緒に見に行ったんだ。そうしたら、お父さんが大きな鳥を捕まえてた。咥えた鳥を洞窟の奥まで運んで、翼を畳んでから鳥を鼻先で突く。

『これで足りるであろう?』

「ああ、立派なグリフォンだ。全部混ぜて作り直すか」

 くすくす笑うセティに言われて、もう死んでいる鳥の顔を見に行く。目をかっと見開いて死んだ鳥は、お母さんが捕まえた動物と同じだった。外側は茶色の硬い羽があるけど、中は柔らかい白い羽毛がいっぱい。

「よかった! お揃いの枕だね」

『……あなたは甘いのよ』

 お母さんがそう呟くけど、僕らが羽を拾うのを見て笑った。ボリスも咥えたり、舞い上がりそうな羽毛を尻尾で押さえたりと忙しい。指は僕の方が動くから、早く拾おう。だってお兄ちゃんだから、たくさん拾わないとね。

 拾った分を大急ぎで袋に入れて、ふと顔を上げるとトムが寝てた。お母さんに見せてもらったら、ぐったりとしてる。何度か暴れたので口を閉じたんだって。そうしたら動かない大人しい子になった、お母さんがそう言った。この調子なら平気そうだね。もう少し預かってもらう。

 お父さんは器用に毛皮を剥いで、肉と分け始めた。その横で毛皮に残った肉を丁寧に削ぐセティが手招きする。近づくとボリスの口に肉を放り込んだ。

「勿体ないから食っちまえ。イシスは火を通して料理にしてからな」

「うん」

 ドラゴンは生でもいいけど、僕はお腹痛くなる。セティが教えてくれたし、お母さんも同じこと言ったから間違いない。僕、お兄ちゃんだからご飯まで我慢できるよ。弟のボリスは赤ちゃんだから仕方ない。

 お父さんが剥いだ毛皮から落とされた羽毛を拾い終えたんだけど、洞窟内が散らかっちゃった。

「汚れちゃったね」

 せっかくお母さんがいつも綺麗にしてるのに。残念に思っていると、お父さんがお母さんの向こう側から僕とボリスを呼んだ。

「なんだろう」

 ぐるると鳴くボリスと一緒に駆け寄ると、トムを受け取ったセティがお母さんの影に入った。ぶわっとお父さんが羽を広げて、ばさばさと揺らす。僕とボリスの前にあった毛皮の残りや羽毛が全部外へ飛ばされちゃった。

『洞窟の外で、さらに転移させているぞ』

 お父さんの説明によると、いつも玄関の外へゴミを捨てると汚れちゃうし、ボリスが襲われるかもしれないんだって。説明が難しくてよく分からないけど、危険なのは困るからお父さんに感謝しなくちゃね。分けてもらったお肉は、セティに焼いてもらって食べた。

「美味しいね」

「新鮮だし、柔らかい部位だからな」

 ドラゴンは筋が多いお肉も平気なんだ。目が覚めたトムはどうしてか、お母さんを見ると僕によじ登るようになっちゃった。変なの。
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