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65.明日は結婚式だよ!
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お祭りのお神輿は、なぜか毎日回ってきた。説明を誤ったかもしれない、そう心配するアイカだが周囲は楽しそうだ。
カーティスの翌日は、馬の子がお神輿を引いた。上に乗っているのも、リス獣人の子と昨日笛を吹いた犬獣人の子だ。代わりに豚獣人の子が笛を鳴らした。
別に厳密な神事を再現したわけじゃないし、楽しいのが一番だよね。そう思いながら、お振舞いの袋を拾った。今日は薬草が入っており、一緒に提供した店舗の地図が同封されている。ちゃっかりしてると笑いながら、地図を棚の上に置いた。いつか使うかも。
ブレンダは何やら紙を引っ張り出し、目を丸くする。ミルクの引換券だ。瓶を入れたら重いし割れるので、いいアイディアだと思う。感心するアイカは、引換券の裏にある店舗名を確認した。いつもミルクを配達にくる店だ。
「明日渡しておこうか」
「何言ってんだい。明日は結婚式だよ」
「あ! そうだった」
忘れていたのではない。断じて、忘れたんじゃないけど……つい気が緩んだのは事実。結婚式の準備が一段落したところで、お祭りの方へ意識が切り替わっていたのだ。
「今日は忙しいんだよ。まずドレスが運ばれてくるだろ。それから明日の料理の最終確認をして」
「あ、お料理は隣の奥さんが確認するってよ」
手伝うと言われたので、素直に言葉に甘えたアイカだ。ブレンダも隣の奥さんは信用しているので、また指折りながら作業を数え始めた。
「化粧品も届くし、サイズ合わせした首輪も受け取らないとね。レイモンドとトム爺が泊まるから、その準備だよ」
「トムソンって呼んであげて。一応花婿だよ?」
苦笑いしながら、一部分だけ訂正。レイモンドが先日持ってきたお揃い首輪は、なんとサイズが緩かった。彼なりにかなり小さく注文したのだが、向こうの街は大型獣人ばかり。小ささが伝わらなかったらしい。
サプライズにしようと、事前にサイズを測らなかったので仕方ない。すぐにこちらでサイズ直しに出した。今日仕上げがってくる予定だ。
玄関の扉を叩く音で、慌てて二人は狭い出入り口へ向かう。当然、鉢合わせして肩をぶつけ、笑い合ってアイカが扉を開いた。
「お待たせ、化粧品だよ。明日は私が化粧の手伝いに来るから」
元気のいいお兄さんは、豚の獣人だ。意外にも器用で、化粧にも興味があるらしい。腕前は確認済みなので、安心して任せられる。
「うん、よろしくね」
「朝から頼むよ」
化粧品を受け取り、アイカが運ぶ間に彼は帰って行った。ブレンダが扉を閉める前に、今度はドレスが届く。と同時に、急ぎではないと言ったはずの家具も運ばれてきた。
お祭りの最中なんだから、楽しみを優先して後回しでいいのに。家具店のリス店主は慣れた様子で、運搬屋の馬と牛に指示を出す。見分けがつかないけど、たぶん……カーティスのご両親だよね。アイカはぺこりと一礼した。
その間に、ドレスが部屋に運び込まれた。こちらは純白のブレンダと、ピンクのレースが使われたアイカの分だ。デザイン画だと似ていたのに、実物を並べると全く違った。
「うわぁ、綺麗」
「すごいね、力作じゃないかい」
ドレスを見るアイカとブレンダに興味を惹かれたのか、猫達が近づいて……すぐに捕獲された。ぶにぃ゛と怒るオレンジには悪いけど、ドレスで爪を研がれたら台無しだ。すぐにドレスは小部屋に隔離した。
部屋の前で開けろと騒ぐ猫達だが、十分もすれば忘れて猫じゃらしで遊び始める。あとは何が届くんだっけ?
カーティスの翌日は、馬の子がお神輿を引いた。上に乗っているのも、リス獣人の子と昨日笛を吹いた犬獣人の子だ。代わりに豚獣人の子が笛を鳴らした。
別に厳密な神事を再現したわけじゃないし、楽しいのが一番だよね。そう思いながら、お振舞いの袋を拾った。今日は薬草が入っており、一緒に提供した店舗の地図が同封されている。ちゃっかりしてると笑いながら、地図を棚の上に置いた。いつか使うかも。
ブレンダは何やら紙を引っ張り出し、目を丸くする。ミルクの引換券だ。瓶を入れたら重いし割れるので、いいアイディアだと思う。感心するアイカは、引換券の裏にある店舗名を確認した。いつもミルクを配達にくる店だ。
「明日渡しておこうか」
「何言ってんだい。明日は結婚式だよ」
「あ! そうだった」
忘れていたのではない。断じて、忘れたんじゃないけど……つい気が緩んだのは事実。結婚式の準備が一段落したところで、お祭りの方へ意識が切り替わっていたのだ。
「今日は忙しいんだよ。まずドレスが運ばれてくるだろ。それから明日の料理の最終確認をして」
「あ、お料理は隣の奥さんが確認するってよ」
手伝うと言われたので、素直に言葉に甘えたアイカだ。ブレンダも隣の奥さんは信用しているので、また指折りながら作業を数え始めた。
「化粧品も届くし、サイズ合わせした首輪も受け取らないとね。レイモンドとトム爺が泊まるから、その準備だよ」
「トムソンって呼んであげて。一応花婿だよ?」
苦笑いしながら、一部分だけ訂正。レイモンドが先日持ってきたお揃い首輪は、なんとサイズが緩かった。彼なりにかなり小さく注文したのだが、向こうの街は大型獣人ばかり。小ささが伝わらなかったらしい。
サプライズにしようと、事前にサイズを測らなかったので仕方ない。すぐにこちらでサイズ直しに出した。今日仕上げがってくる予定だ。
玄関の扉を叩く音で、慌てて二人は狭い出入り口へ向かう。当然、鉢合わせして肩をぶつけ、笑い合ってアイカが扉を開いた。
「お待たせ、化粧品だよ。明日は私が化粧の手伝いに来るから」
元気のいいお兄さんは、豚の獣人だ。意外にも器用で、化粧にも興味があるらしい。腕前は確認済みなので、安心して任せられる。
「うん、よろしくね」
「朝から頼むよ」
化粧品を受け取り、アイカが運ぶ間に彼は帰って行った。ブレンダが扉を閉める前に、今度はドレスが届く。と同時に、急ぎではないと言ったはずの家具も運ばれてきた。
お祭りの最中なんだから、楽しみを優先して後回しでいいのに。家具店のリス店主は慣れた様子で、運搬屋の馬と牛に指示を出す。見分けがつかないけど、たぶん……カーティスのご両親だよね。アイカはぺこりと一礼した。
その間に、ドレスが部屋に運び込まれた。こちらは純白のブレンダと、ピンクのレースが使われたアイカの分だ。デザイン画だと似ていたのに、実物を並べると全く違った。
「うわぁ、綺麗」
「すごいね、力作じゃないかい」
ドレスを見るアイカとブレンダに興味を惹かれたのか、猫達が近づいて……すぐに捕獲された。ぶにぃ゛と怒るオレンジには悪いけど、ドレスで爪を研がれたら台無しだ。すぐにドレスは小部屋に隔離した。
部屋の前で開けろと騒ぐ猫達だが、十分もすれば忘れて猫じゃらしで遊び始める。あとは何が届くんだっけ?
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