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第十五章 茶番劇は得意ですか
第54話 この国をどうする気だ?(1)
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国王と第二王女まで吊るされたところで、ようやくサークレラは矛先を収めた。進軍したサークレラ軍は、王族という主犯を処刑した国民に両手を挙げて歓迎される。氷祭そっちのけで兵士を歓待するリュジアンの様子は、諜報員によって各国へ伝わった。
サークレラは北の大地を手に入れた――これは9カ国のパワーバランスが崩れたことを意味する。絶妙なバランスで保たれていた綱渡りの平和は、大陸大戦争の危機を迎えた。
白と黒の駒が並ぶ盤上に、ルリアージェは眉をひそめた。向かい側で黒のクイーンを動かすジルが笑みを浮かべる。圧倒的に有利な黒の駒を見かねたリシュアは、ルリアージェの斜め後ろから声をかけた。
「こちらを2つ進めてください」
白い駒の状況を読んで提案するリシュアの意見を組んで、ルリアージェの白い指が伸ばされた。ぽんと置いたルークが一気に盤上の雰囲気を変える。にっこり笑ったリシュアを参謀に、ルリアージェの白側がじわりと黒の領域に入り込んだ。
リュジアン王宮の王妃の間に落ち着いた一行は、豪華な部屋でチェスに興じている。サークレラ国による侵攻が落ち着くまでこの国に残ると宣言したルリアージェの意向に沿う形だが、彼女は城外で起きた凄惨な復讐劇を知らない。
見つけたチェス盤はガラス細工の美しいもので、使うことより飾ることを目的に製作されていた。しかしジルが最初に駒を並べ直すと、ルリアージェが勝負を受けて立ったのだ。
「卑怯だぞ、リア」
「寿命が短い人族は不利ですもの。このくらいのハンデは必要よ」
味方をしたライラがジルの文句をはね退ける。お茶を用意して誰の味方もしないリオネルが一番賢いかも知れないが、パウリーネも勝負に関わらず水晶に加工を施していた。
「リシュアがつくと厄介だな……これでどうだ」
黒のキングが動く。再び不利になったルリアージェが呻いて考え込んだ。リシュアがすいっと指でナイトを示す。このままあっさり負ける気はなかった。
「いくら主君であっても、勝ちは譲りませんよ」
気付けばリシュアとジルの対決になっている。苦笑いして席を譲ったルリアージェは、パウリーネの隣に逃げ込んだ。
「ジル相手に戦略ゲームは無謀だわ」
「そうですね。何しろ戦いも策略も大好きな方ですから」
ライラとパウリーネに慰められたルリアージェは、リオネルが用意した茶菓子を手に取った。焼き菓子は色鮮やかなジャムが添えられている。一口齧って、白いカップに注がれたお茶で流し込んだ。
サークレラは北の大地を手に入れた――これは9カ国のパワーバランスが崩れたことを意味する。絶妙なバランスで保たれていた綱渡りの平和は、大陸大戦争の危機を迎えた。
白と黒の駒が並ぶ盤上に、ルリアージェは眉をひそめた。向かい側で黒のクイーンを動かすジルが笑みを浮かべる。圧倒的に有利な黒の駒を見かねたリシュアは、ルリアージェの斜め後ろから声をかけた。
「こちらを2つ進めてください」
白い駒の状況を読んで提案するリシュアの意見を組んで、ルリアージェの白い指が伸ばされた。ぽんと置いたルークが一気に盤上の雰囲気を変える。にっこり笑ったリシュアを参謀に、ルリアージェの白側がじわりと黒の領域に入り込んだ。
リュジアン王宮の王妃の間に落ち着いた一行は、豪華な部屋でチェスに興じている。サークレラ国による侵攻が落ち着くまでこの国に残ると宣言したルリアージェの意向に沿う形だが、彼女は城外で起きた凄惨な復讐劇を知らない。
見つけたチェス盤はガラス細工の美しいもので、使うことより飾ることを目的に製作されていた。しかしジルが最初に駒を並べ直すと、ルリアージェが勝負を受けて立ったのだ。
「卑怯だぞ、リア」
「寿命が短い人族は不利ですもの。このくらいのハンデは必要よ」
味方をしたライラがジルの文句をはね退ける。お茶を用意して誰の味方もしないリオネルが一番賢いかも知れないが、パウリーネも勝負に関わらず水晶に加工を施していた。
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黒のキングが動く。再び不利になったルリアージェが呻いて考え込んだ。リシュアがすいっと指でナイトを示す。このままあっさり負ける気はなかった。
「いくら主君であっても、勝ちは譲りませんよ」
気付けばリシュアとジルの対決になっている。苦笑いして席を譲ったルリアージェは、パウリーネの隣に逃げ込んだ。
「ジル相手に戦略ゲームは無謀だわ」
「そうですね。何しろ戦いも策略も大好きな方ですから」
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