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第十三章 龍炎と氷雷の舞
第37話 最後の眷属(1)
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「終わったのか?」
倒したとも、殺したとも聞かない。ただ騒動が終わったのかと尋ねたルリアージェに、ジルは肩を竦めて手近な椅子に腰掛けた。
「まだだけど、あとはリシュアに任せた」
優秀な配下をもつと楽ができる。白炎のリオネルは同じ系統だから、互角以上の戦いが出来ただろう。本来は氷静のパウリーネが最適なのだが……。
「そういえば、パウリーネはどうしたのよ」
同じ考えに至ったライラが口を挟んだ。死神の眷属は3人――二つ名持ちばかりで、水と氷を得意とする氷静のパウリーネは、火属性の龍炎のラヴィアと戦うには、相性抜群だった。
「……忘れてた」
ジルの発言にライラは眉を寄せ、ルリアージェは首をかしげる。
「呼ぶのを、か?」
「いいえ、おそらく解放し忘れたのよ」
封印が解かれた直後、まだジルの魔力は大半が封印されていた。だから眷属を呼び出すことができず、彼は1人でルリアージェに随行したのだ。もちろん独占欲もあったのだが。
「あの頃は魔力が足りなくて……」
「もう足りているでしょう。3魔王は解放されたのだから」
ライラの容赦ない指摘に、ジルは溜め息をついた。確かに彼女の言う通りだ。鎖の封印は魔王とライラが施したもので、ジルの魔力を封じた代償として魔王達が眠りについた。つまり封じられたジルの魔力量と、魔王の眠りには関係性があるのだ。
先日サークレラを襲った水の魔王トルカーネ、その後この城へ攻撃をしかけた炎の魔王マリニス。この2人が目覚めたなら、その分だけジルの魔力も戻ったはずだ。そして引き摺られる形で、風の魔王ラーゼンも解放されただろう。
もともとライラは封印に引き摺られなかったのだから、4人全員が自由の身になった今、ジルの魔力はすべて解放されたと考えるべきだった。
椅子にぐったり寄りかかって、左のピアスを弄る。右にピアスはなく、そこを飾った赤い封印石がリオネルだった。左耳に光る青い封印石がパウリーネなのだが、彼女はまだ眠っている。ジルは溜め息をついて身を起こした。
「呼び起こしておくか」
あとで拗ねると面倒だし。そんな含みを持たせて呟くと、左耳のピアスを掴んで引いた。切れた耳を伝う血を無視して、手の中の封印石を転がす。
リオネルは炎で解呪した。逆に、パウリーネは水で満たして解放する必要がある。眷属の魔力が多いため、制御に魔法陣を使用したほうが安全だった。この場所を壊す気がないジルが手間を省く理由はない。
倒したとも、殺したとも聞かない。ただ騒動が終わったのかと尋ねたルリアージェに、ジルは肩を竦めて手近な椅子に腰掛けた。
「まだだけど、あとはリシュアに任せた」
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「……忘れてた」
ジルの発言にライラは眉を寄せ、ルリアージェは首をかしげる。
「呼ぶのを、か?」
「いいえ、おそらく解放し忘れたのよ」
封印が解かれた直後、まだジルの魔力は大半が封印されていた。だから眷属を呼び出すことができず、彼は1人でルリアージェに随行したのだ。もちろん独占欲もあったのだが。
「あの頃は魔力が足りなくて……」
「もう足りているでしょう。3魔王は解放されたのだから」
ライラの容赦ない指摘に、ジルは溜め息をついた。確かに彼女の言う通りだ。鎖の封印は魔王とライラが施したもので、ジルの魔力を封じた代償として魔王達が眠りについた。つまり封じられたジルの魔力量と、魔王の眠りには関係性があるのだ。
先日サークレラを襲った水の魔王トルカーネ、その後この城へ攻撃をしかけた炎の魔王マリニス。この2人が目覚めたなら、その分だけジルの魔力も戻ったはずだ。そして引き摺られる形で、風の魔王ラーゼンも解放されただろう。
もともとライラは封印に引き摺られなかったのだから、4人全員が自由の身になった今、ジルの魔力はすべて解放されたと考えるべきだった。
椅子にぐったり寄りかかって、左のピアスを弄る。右にピアスはなく、そこを飾った赤い封印石がリオネルだった。左耳に光る青い封印石がパウリーネなのだが、彼女はまだ眠っている。ジルは溜め息をついて身を起こした。
「呼び起こしておくか」
あとで拗ねると面倒だし。そんな含みを持たせて呟くと、左耳のピアスを掴んで引いた。切れた耳を伝う血を無視して、手の中の封印石を転がす。
リオネルは炎で解呪した。逆に、パウリーネは水で満たして解放する必要がある。眷属の魔力が多いため、制御に魔法陣を使用したほうが安全だった。この場所を壊す気がないジルが手間を省く理由はない。
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