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第1章 追っても逃げない獲物
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※性行為があります。
***************************************
「……ん……っ……ぁ……」
柔らかいベッドのシーツにシリルの身体を倒し、上から覆いかぶさって押さえつける。
「オレって面食いだったかなぁ」
くすくす笑いながら唇を啄ばむライアンに、潤み始めた瞳で見上げる青年が口を開いた。
「だったら、感謝しなくてはな。お前の面食いの趣味にも、この顔にも」
声にすると嬌声にかき消される言葉は、震える唇ごしに伝えられる。読み取ったライアンは、減らず口を叩く魅惑的な唇を塞いだ。ブラウスをはだけて胸に指を滑らせ、胸の飾りを軽く押しつぶすようにして愛撫する。
「シリルは負けず嫌いなんだ」
濡れた唇から零れる嬌声と、ギリギリ感じ取れる程度の吐息を飲み込み、与え、奪い尽くす。知ったばかりのシリルの一面を愛おしむように囁き、耳を唇で食んだ。
「……は、ぁ……う……んっ」
ブラウスもスラックスも下着も、すべて身に着けたものを剥ぎ取る。恥ずかしそうに顔を背けたシリルの肢体を眺め、徐に自分もすべてを脱ぎ去った。白い素肌に体を重ね、不思議と馴染む肌の感触に目を細める。
小柄な身体を抱き寄せ、中に押し入る。
「……ぅ……あぁ―――っ、あン……んッ……」
声に苦痛はなく、悦に潤んだ瞳が零れそうなほど見開かれた。血の余韻か。まだ快楽の内を漂うシリルの意識と身体は、ライアンを従順に受け入れた。
ゆっくりと奥を突くように動き出したライアンに合わせて、体が自然と揺れる。まるで強請っているように足がライアンの背に絡みつき、指を意味ありげに舐める仕草に意識が揺らいだ。
感じすぎて……怖くなる。
「あぁ……あ――んっ、うぅ……ぁ」
奥へ奥へと誘うように動くシリルの中を振り切るように動いていたライアンが、息を呑んで動きを止めた。
「――くっ」
「やぁ―――ッ!」
ひときわ高い嬌声を上げたシリルが、ぐったりとベッドに沈む。同時に果てたシリル自身から白濁の液が飛び、ライアンも奥へ熱を放っていた。
注ぎ込まれた精を最奥で受け止めたシリルが、自分の乾いた唇を舐める。誘われるように肌を合わせたライアンが接吻け、深く舌を絡めあうキスが湿った音を立てた。
「……血の味がする」
くすっと笑ったライアンの首に、恐る恐る腕を回したシリルは同じように笑みを零した。今までより読み取りやすい表情は、シリルの感情の氷が溶け始めた証拠だろうか。
「……あ、たり……前だ」
まだ呼吸を整えきれないシリルの紅い唇をぺろりと舐めたライアンが、嬉しそうに目を細めた。
「ずっと、こうしていような」
つぅっと顳を伝う涙に気づいたシリルが、そっと自分の涙を指で掬う。驚いたように見つめる姿は、泣いている自分が理解できずにいるようだった。
「嬉しくても泣けるらしいぜ。よかったじゃん!」
長く生きているのは自分の方で、きっと知識も多い筈なのに――感情に関することでは、いつもライアンが上手らしい。負けず嫌いの気質より、擽ったい気持ちが全身を支配して、シリルは淡く微笑んで頷いた。
死にたくなるまで一緒に生きていこう。
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「……ん……っ……ぁ……」
柔らかいベッドのシーツにシリルの身体を倒し、上から覆いかぶさって押さえつける。
「オレって面食いだったかなぁ」
くすくす笑いながら唇を啄ばむライアンに、潤み始めた瞳で見上げる青年が口を開いた。
「だったら、感謝しなくてはな。お前の面食いの趣味にも、この顔にも」
声にすると嬌声にかき消される言葉は、震える唇ごしに伝えられる。読み取ったライアンは、減らず口を叩く魅惑的な唇を塞いだ。ブラウスをはだけて胸に指を滑らせ、胸の飾りを軽く押しつぶすようにして愛撫する。
「シリルは負けず嫌いなんだ」
濡れた唇から零れる嬌声と、ギリギリ感じ取れる程度の吐息を飲み込み、与え、奪い尽くす。知ったばかりのシリルの一面を愛おしむように囁き、耳を唇で食んだ。
「……は、ぁ……う……んっ」
ブラウスもスラックスも下着も、すべて身に着けたものを剥ぎ取る。恥ずかしそうに顔を背けたシリルの肢体を眺め、徐に自分もすべてを脱ぎ去った。白い素肌に体を重ね、不思議と馴染む肌の感触に目を細める。
小柄な身体を抱き寄せ、中に押し入る。
「……ぅ……あぁ―――っ、あン……んッ……」
声に苦痛はなく、悦に潤んだ瞳が零れそうなほど見開かれた。血の余韻か。まだ快楽の内を漂うシリルの意識と身体は、ライアンを従順に受け入れた。
ゆっくりと奥を突くように動き出したライアンに合わせて、体が自然と揺れる。まるで強請っているように足がライアンの背に絡みつき、指を意味ありげに舐める仕草に意識が揺らいだ。
感じすぎて……怖くなる。
「あぁ……あ――んっ、うぅ……ぁ」
奥へ奥へと誘うように動くシリルの中を振り切るように動いていたライアンが、息を呑んで動きを止めた。
「――くっ」
「やぁ―――ッ!」
ひときわ高い嬌声を上げたシリルが、ぐったりとベッドに沈む。同時に果てたシリル自身から白濁の液が飛び、ライアンも奥へ熱を放っていた。
注ぎ込まれた精を最奥で受け止めたシリルが、自分の乾いた唇を舐める。誘われるように肌を合わせたライアンが接吻け、深く舌を絡めあうキスが湿った音を立てた。
「……血の味がする」
くすっと笑ったライアンの首に、恐る恐る腕を回したシリルは同じように笑みを零した。今までより読み取りやすい表情は、シリルの感情の氷が溶け始めた証拠だろうか。
「……あ、たり……前だ」
まだ呼吸を整えきれないシリルの紅い唇をぺろりと舐めたライアンが、嬉しそうに目を細めた。
「ずっと、こうしていような」
つぅっと顳を伝う涙に気づいたシリルが、そっと自分の涙を指で掬う。驚いたように見つめる姿は、泣いている自分が理解できずにいるようだった。
「嬉しくても泣けるらしいぜ。よかったじゃん!」
長く生きているのは自分の方で、きっと知識も多い筈なのに――感情に関することでは、いつもライアンが上手らしい。負けず嫌いの気質より、擽ったい気持ちが全身を支配して、シリルは淡く微笑んで頷いた。
死にたくなるまで一緒に生きていこう。
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