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08.ずっと一緒? 皆いっしょ!
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目が覚めたエリュは、ごしごしと顔を擦った。顔を洗う水を運ぶ侍女が来るまで、もう少しある。カーテンが閉まった部屋はまだ薄暗かった。身を起こしたエリュの右隣で、何かがごそごそ動く。
「……シェン?」
「ん、おはよぉ……エリュ、早いね」
昨日できた友達が一緒に寝ていたことで、エリュのテンションは一気に上がった。寝起きが悪い普段が嘘のように、興奮した様子で手を叩く。
「一緒に寝たの? 仲良し!」
「うん、仲良しだからね。ご飯も一緒に食べよ。それから、僕の部屋は隣に用意してもらってるよ」
ずっと一緒にいられる。目を輝かせて喜ぶエリュの姿に、シェンは目を細めた。やっぱり寂しかったんだろうね。この子は我慢強いし、無意識に我が侭を飲み込んでしまう。これからは僕が我が侭を言える環境を整えてやらなくちゃいけないな。
「やった!」
嬉しそうに叫んだエリュを撫でて、手を繋いでベッドから飛び降りた。一緒に降りたエリュと笑い合う。そこへ侍女が顔を洗う水を運んでくる。綺麗な赤い花びらの浮いた透明の水で、顔を洗って柔らかなタオルで拭いた。
その間にカーテンが開けられた部屋は明るく、庭が見える子ども向きの環境だ。テラスは手すりがあり、直接外へ出られないよう工夫されていた。エリュの安全面を考えた配慮に頷いていると、侍女が用意した服を差し出す。
「シェン様、こちらをお召しください。お手伝いさせていただきます」
「自分で着られる」
「エリュも出来るよ」
張り合うようにそう騒いだエリュが、ブラウスのボタンを留め始める。一段ずれているが、まあ、3歳なら上出来か。微笑ましく思いながら、シェンも着替え終えた。
「ご飯を食べよう」
「うん」
手を繋いで移動する。短い手足に苦戦しながらも、シェンはエリュと食堂へ歩き出した。そこで気付く。嬉しそうに手を揺らして歩くエリュの表情が明るい。
「楽しい?」
「シェンはずっといるよね」
無邪気に尋ねる幼子に、見た目は幼い蛇神は頷いた。小さな子に安易な約束をすれば、傷つけることになる。だが契約を結び、加護を与えたエリュと離れる未来はなかった。
「ずっと一緒だよ。エリュは僕が守る約束をしたからね」
ふふっと笑ったシェンに、きょとんとした顔のエリュが首を傾げた。覚えていないらしい。当人の記憶に関係なく契約は有効だ。いずれ大人になったら結び直してもいいし、思い出すかも知れない。忘れたままでも問題ないから、僕から内容を話す気はなかった。
「エリュも守る!」
「それは嬉しいな」
にこにこと機嫌のいい幼女二人に、侍女も笑顔が絶えない。食堂に用意された足の高い椅子に座らせてもらい、エリュはぶらぶらと足を揺らした。
「おはようございます、エリュ様」
ベリアルが朝の挨拶に現れる。普段から食事を一人で摂らせるわけにいかないと、仕事に都合を付けて同席してきた。駆け込んできたリリンは、入り口で息を整えて入室する。
「エリュ様、シェン様、おはようございま……あ」
手に持ったままの剣を慌てて鞘に納め、背中に隠した。遅れそうになって慌てていたらしい。
くすくす笑いながら着席したシェンが「おはよう」と挨拶をする。それを合図に食事が運ばれてきた。サラダ、スープ、果物のジュース、パン、卵料理と燻製肉。バランスの良い食事を前に、エリュはご機嫌だった。
「皆いっしょ!」
普段より勢いよく足を揺らしながら、右手のフォークをサラダに突き立てた。
「……シェン?」
「ん、おはよぉ……エリュ、早いね」
昨日できた友達が一緒に寝ていたことで、エリュのテンションは一気に上がった。寝起きが悪い普段が嘘のように、興奮した様子で手を叩く。
「一緒に寝たの? 仲良し!」
「うん、仲良しだからね。ご飯も一緒に食べよ。それから、僕の部屋は隣に用意してもらってるよ」
ずっと一緒にいられる。目を輝かせて喜ぶエリュの姿に、シェンは目を細めた。やっぱり寂しかったんだろうね。この子は我慢強いし、無意識に我が侭を飲み込んでしまう。これからは僕が我が侭を言える環境を整えてやらなくちゃいけないな。
「やった!」
嬉しそうに叫んだエリュを撫でて、手を繋いでベッドから飛び降りた。一緒に降りたエリュと笑い合う。そこへ侍女が顔を洗う水を運んでくる。綺麗な赤い花びらの浮いた透明の水で、顔を洗って柔らかなタオルで拭いた。
その間にカーテンが開けられた部屋は明るく、庭が見える子ども向きの環境だ。テラスは手すりがあり、直接外へ出られないよう工夫されていた。エリュの安全面を考えた配慮に頷いていると、侍女が用意した服を差し出す。
「シェン様、こちらをお召しください。お手伝いさせていただきます」
「自分で着られる」
「エリュも出来るよ」
張り合うようにそう騒いだエリュが、ブラウスのボタンを留め始める。一段ずれているが、まあ、3歳なら上出来か。微笑ましく思いながら、シェンも着替え終えた。
「ご飯を食べよう」
「うん」
手を繋いで移動する。短い手足に苦戦しながらも、シェンはエリュと食堂へ歩き出した。そこで気付く。嬉しそうに手を揺らして歩くエリュの表情が明るい。
「楽しい?」
「シェンはずっといるよね」
無邪気に尋ねる幼子に、見た目は幼い蛇神は頷いた。小さな子に安易な約束をすれば、傷つけることになる。だが契約を結び、加護を与えたエリュと離れる未来はなかった。
「ずっと一緒だよ。エリュは僕が守る約束をしたからね」
ふふっと笑ったシェンに、きょとんとした顔のエリュが首を傾げた。覚えていないらしい。当人の記憶に関係なく契約は有効だ。いずれ大人になったら結び直してもいいし、思い出すかも知れない。忘れたままでも問題ないから、僕から内容を話す気はなかった。
「エリュも守る!」
「それは嬉しいな」
にこにこと機嫌のいい幼女二人に、侍女も笑顔が絶えない。食堂に用意された足の高い椅子に座らせてもらい、エリュはぶらぶらと足を揺らした。
「おはようございます、エリュ様」
ベリアルが朝の挨拶に現れる。普段から食事を一人で摂らせるわけにいかないと、仕事に都合を付けて同席してきた。駆け込んできたリリンは、入り口で息を整えて入室する。
「エリュ様、シェン様、おはようございま……あ」
手に持ったままの剣を慌てて鞘に納め、背中に隠した。遅れそうになって慌てていたらしい。
くすくす笑いながら着席したシェンが「おはよう」と挨拶をする。それを合図に食事が運ばれてきた。サラダ、スープ、果物のジュース、パン、卵料理と燻製肉。バランスの良い食事を前に、エリュはご機嫌だった。
「皆いっしょ!」
普段より勢いよく足を揺らしながら、右手のフォークをサラダに突き立てた。
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