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22.ヒロインだけ予定通りね
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訂正箇所に眉を寄せる。王弟殿下の長男である銀髪の神官長バスチアンは、まだ一神官に過ぎない。学院ではなく、神殿の奥で日々修行中。神と結婚すると宣言して、婚約者なし。ゲーム内での婚約した女性は、別の人と婚約して学院に通っている。
未来の騎士団長様は、すでに学院を卒業して騎士団に入っていた。彼は赤毛だったわね。騎士団で頭角を現した青年は、幼馴染みの子爵令嬢が今年卒業だった。女騎士の子爵令嬢とは、婚約確定らしい。名はオーレリアンだった。
残るは青い髪の宰相の息子ウスターシュ……彼も飛び級で卒業資格を得て、王宮務めの文官として働いていた。父である宰相の補佐を行い、第一王子の側近に名を連ねる。王家でただ一人の王女アドリーヌ殿下と婚約が決まった。第二王子より二つ下の末姫様だったっけ。おめでたいわ。
ヒロインは今年入学したが、現時点では大人しく動きは見られない。私が事前に渡した情報は、ピンクブロンドの今年入学する男爵令嬢だった。その要件に当てはまるのは、ただ一人――クリステル・ユニフェ嬢だけ。
そもそもヒロインが目立つためのピンクブロンドなので、他にいないのよね。ゲーム画面でもピンク髪はヒロインだけだった。視覚的にヒロイン視点で進むゲームだったから、画面の端にピンクの髪がちらちら入る。スチルでも完全にピンク色だった。
可愛く表現すれば「ストロベリーブロンド」や「ピンクブロンド」だけど、現実にピンクの髪は……難しいわね。他にいないってことは、自然の摂理に反してるわけよ。親が銀髪と赤毛でも、ピンクは生まれないわ。
赤や青が普通に生まれてるから、なんとも言えないけど。そういえば、緑の髪は見かけないわね。色々考えながら、情報の書かれた紙を花瓶の底へ押し込んだ。水に溶ける紙を使うから、溶かして処分が可能よ。
「仕事は片付けた、開けてくれ……レティ」
名前を呼んだ直前に、はあはあと荒い呼吸が混じってたのは何かしらね。溜め息をついて入室を許可した。
黒髪騎士様だったのに、今は涎を垂らして尻尾を全力で振る駄犬だった。これはこれで可愛いけど、躾をしっかりしないと噛まれそうだわ。
ゆったりと寝室のソファに腰掛け、手招きする。大喜びで駆け寄った彼は、手前で膝を突いた。
「隣に行ってもいいかい?」
「そうね、今日はいい子でお仕事をしたから許すわ」
感謝の言葉を並べて、肩が触れるぎりぎりの距離に座る。ちらちらとこちらを窺うから、私から距離を詰めた。ぴたりと左半身が彼に触れる。
「っ!」
「ねえ、シルヴァン。学院へ通いたいの」
「嫌だ」
ダメだ、じゃなくて嫌だ?
「それなら、一緒に見学に行くのは?」
「……嫌だが、一緒なら」
うーんと迷う姿勢を見せる。ここは押しどころよ。今日はドレスだから、人工形成したスタイルはボンキュッボンである。ぐいと胸を近づけた。
「……っ、れ、れれれ、レティ?」
こういうおじさんいたわね。前世の記憶を刺激するどもり方をする夫へ、満面の笑みで畳み掛けた。
「私はあなたと思い出の地を巡りたいの」
ごくんと唾を飲み込むシルの視線は、私の谷間に釘付けだ。人工物であれ、この脂肪や肉は私の一部。詐欺もギリギリセーフのはず!
「わかった」
承諾した彼へのご褒美に、頬へキスをした。真っ赤になる首や耳を見ながら、襲われる心配はあと数年は必要なさそうねと微笑む。
ところで、私との思い出はあの裏路地からだと思うんだけど……学院で会った記憶はなかった。思い出の地で何を想像したのか、気になるわ。
未来の騎士団長様は、すでに学院を卒業して騎士団に入っていた。彼は赤毛だったわね。騎士団で頭角を現した青年は、幼馴染みの子爵令嬢が今年卒業だった。女騎士の子爵令嬢とは、婚約確定らしい。名はオーレリアンだった。
残るは青い髪の宰相の息子ウスターシュ……彼も飛び級で卒業資格を得て、王宮務めの文官として働いていた。父である宰相の補佐を行い、第一王子の側近に名を連ねる。王家でただ一人の王女アドリーヌ殿下と婚約が決まった。第二王子より二つ下の末姫様だったっけ。おめでたいわ。
ヒロインは今年入学したが、現時点では大人しく動きは見られない。私が事前に渡した情報は、ピンクブロンドの今年入学する男爵令嬢だった。その要件に当てはまるのは、ただ一人――クリステル・ユニフェ嬢だけ。
そもそもヒロインが目立つためのピンクブロンドなので、他にいないのよね。ゲーム画面でもピンク髪はヒロインだけだった。視覚的にヒロイン視点で進むゲームだったから、画面の端にピンクの髪がちらちら入る。スチルでも完全にピンク色だった。
可愛く表現すれば「ストロベリーブロンド」や「ピンクブロンド」だけど、現実にピンクの髪は……難しいわね。他にいないってことは、自然の摂理に反してるわけよ。親が銀髪と赤毛でも、ピンクは生まれないわ。
赤や青が普通に生まれてるから、なんとも言えないけど。そういえば、緑の髪は見かけないわね。色々考えながら、情報の書かれた紙を花瓶の底へ押し込んだ。水に溶ける紙を使うから、溶かして処分が可能よ。
「仕事は片付けた、開けてくれ……レティ」
名前を呼んだ直前に、はあはあと荒い呼吸が混じってたのは何かしらね。溜め息をついて入室を許可した。
黒髪騎士様だったのに、今は涎を垂らして尻尾を全力で振る駄犬だった。これはこれで可愛いけど、躾をしっかりしないと噛まれそうだわ。
ゆったりと寝室のソファに腰掛け、手招きする。大喜びで駆け寄った彼は、手前で膝を突いた。
「隣に行ってもいいかい?」
「そうね、今日はいい子でお仕事をしたから許すわ」
感謝の言葉を並べて、肩が触れるぎりぎりの距離に座る。ちらちらとこちらを窺うから、私から距離を詰めた。ぴたりと左半身が彼に触れる。
「っ!」
「ねえ、シルヴァン。学院へ通いたいの」
「嫌だ」
ダメだ、じゃなくて嫌だ?
「それなら、一緒に見学に行くのは?」
「……嫌だが、一緒なら」
うーんと迷う姿勢を見せる。ここは押しどころよ。今日はドレスだから、人工形成したスタイルはボンキュッボンである。ぐいと胸を近づけた。
「……っ、れ、れれれ、レティ?」
こういうおじさんいたわね。前世の記憶を刺激するどもり方をする夫へ、満面の笑みで畳み掛けた。
「私はあなたと思い出の地を巡りたいの」
ごくんと唾を飲み込むシルの視線は、私の谷間に釘付けだ。人工物であれ、この脂肪や肉は私の一部。詐欺もギリギリセーフのはず!
「わかった」
承諾した彼へのご褒美に、頬へキスをした。真っ赤になる首や耳を見ながら、襲われる心配はあと数年は必要なさそうねと微笑む。
ところで、私との思い出はあの裏路地からだと思うんだけど……学院で会った記憶はなかった。思い出の地で何を想像したのか、気になるわ。
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