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第14章 それはオーパーツ?
234.船内探索は人海戦術で
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船を見て回る先行部隊は、狭い船内の廊下に苦戦していた。手を伸ばせない程狭い廊下は、大柄な者なら肩や首がぶつかる。それを堪えて、身を縮こませながら進んだ。
途中で見つけた部屋に寄り道せず、大まかな形を把握したところで外へ出た。あくまでも危険がないか確かめるのが目的で、内部の調査は手分けして行う予定だ。
「大丈夫そうです。罠はありません」
「ご苦労でした」
ひょいっと甲板から身を乗り出したストラスの言葉に、魔王軍を預かるベールが応じた。ここからは軍から志願した部隊が、それぞれの部屋や内部構造のマッピングに取り掛かる。洞窟の調査と同じ手法が用いられた。
各部隊の回った廊下や部屋の大きさが、白紙の上に自動筆記される。そのための水晶を手に、敬礼した部隊が入っていく。そわそわしながら見守る魔王夫妻は、この段階で許可が出なかった。
「調査が終わるまでお待ちください」
話す間にも、手元の白紙に地図が作られていく。立体的な地図も作れるようになったのは、2万年ほど前の洞窟探検以降だった。洞窟は横に進むだけでなく、縦穴も存在する。さらに斜めに降ることもあった。正確な地図を作るために、縦横高さを正確に記録する魔法陣が開発されたのだ。
魔法陣を刻んだ水晶は15個用意されたが、すべて魔王軍の部隊に振り分けられた。洞窟と違って緊急時の脱出が容易なこともあり、窓や穴から手を振る魔族も見受けられる。
「甲板、穴だらけっすね」
忘れがちだが、アベルは魔王軍所属である。魔王チャレンジで剣を与えられた実力は、本物だった。当然のように船に乗り込むアベルの姿に、ルシファー達の期待は高まる。
「もういいか?」
「甲板に乗りたいわ」
ルシファーとリリスの要望に、ベールは額を押さえた。あと少しなのにどうして待てないのでしょうか。そんな意味合いの仕草に、アスタロトが仲介に乗り出した。
「ではこうしましょう。ルシファー様はイヴ姫を抱いたリリス様を守る。その上で私がルシファー様をお守りすれば……いかがです? ベール」
珍しく味方になったアスタロトに、目を輝かせて頷く魔王夫妻。外から見れば、引率の先生と子ども達といった風情だ。これ以上留めると、勝手に動きそうと考えたのはベールも同じだった。適度に発散させないと、予想外の行動に出るのがルシファーだ。
「分かりました。アスタロトの言うことをよく聞いてください」
「分かった」
「もちろんよ」
まったく当てにならない二つ返事で喜ぶ夫婦を、アスタロトが預かることになった。船内で発見された物は、すべて公共の資産となる。欲しいものがあれば、申請して買い取ることが可能だった。
すでに持ち出された幾つかの品は、物珍しさに惹かれた魔族により購入希望が入っている。ルシファー達はそういった物欲が薄いので、好奇心が主な動機だった。
「この塊はなんだ?」
「貝でしょうね」
壁や天井など、至る所に張り付いた硬い何かを突くルシファーの手は、続いて別の物を掴んだ。
「これは……骨か」
「乗っていた人族と思われますが」
白い骨を興味深そうに眺めたあと、元の位置に戻した。後ろのリリスはイヴがあれこれ触らないよう、注意しながら進む。と、途中でいきなりルシファーが振り返った。
「リリス、イヴの抱っこを交代しよう」
「本当? 助かるわ」
目が覚めて興奮状態のイヴを抱き上げ、ルシファーは先頭をリリスに譲った。好奇心旺盛で、様々な物に興味を示す妻のはしゃいだ声に微笑む。
「ぱっぱ、ぱっぱ」
「どうした? イヴ」
天井を指差すイヴのはしゃいだ呼びかけに、上を見たルシファーは顔を引き攣らせた。
「うわぁああああ!」
途中で見つけた部屋に寄り道せず、大まかな形を把握したところで外へ出た。あくまでも危険がないか確かめるのが目的で、内部の調査は手分けして行う予定だ。
「大丈夫そうです。罠はありません」
「ご苦労でした」
ひょいっと甲板から身を乗り出したストラスの言葉に、魔王軍を預かるベールが応じた。ここからは軍から志願した部隊が、それぞれの部屋や内部構造のマッピングに取り掛かる。洞窟の調査と同じ手法が用いられた。
各部隊の回った廊下や部屋の大きさが、白紙の上に自動筆記される。そのための水晶を手に、敬礼した部隊が入っていく。そわそわしながら見守る魔王夫妻は、この段階で許可が出なかった。
「調査が終わるまでお待ちください」
話す間にも、手元の白紙に地図が作られていく。立体的な地図も作れるようになったのは、2万年ほど前の洞窟探検以降だった。洞窟は横に進むだけでなく、縦穴も存在する。さらに斜めに降ることもあった。正確な地図を作るために、縦横高さを正確に記録する魔法陣が開発されたのだ。
魔法陣を刻んだ水晶は15個用意されたが、すべて魔王軍の部隊に振り分けられた。洞窟と違って緊急時の脱出が容易なこともあり、窓や穴から手を振る魔族も見受けられる。
「甲板、穴だらけっすね」
忘れがちだが、アベルは魔王軍所属である。魔王チャレンジで剣を与えられた実力は、本物だった。当然のように船に乗り込むアベルの姿に、ルシファー達の期待は高まる。
「もういいか?」
「甲板に乗りたいわ」
ルシファーとリリスの要望に、ベールは額を押さえた。あと少しなのにどうして待てないのでしょうか。そんな意味合いの仕草に、アスタロトが仲介に乗り出した。
「ではこうしましょう。ルシファー様はイヴ姫を抱いたリリス様を守る。その上で私がルシファー様をお守りすれば……いかがです? ベール」
珍しく味方になったアスタロトに、目を輝かせて頷く魔王夫妻。外から見れば、引率の先生と子ども達といった風情だ。これ以上留めると、勝手に動きそうと考えたのはベールも同じだった。適度に発散させないと、予想外の行動に出るのがルシファーだ。
「分かりました。アスタロトの言うことをよく聞いてください」
「分かった」
「もちろんよ」
まったく当てにならない二つ返事で喜ぶ夫婦を、アスタロトが預かることになった。船内で発見された物は、すべて公共の資産となる。欲しいものがあれば、申請して買い取ることが可能だった。
すでに持ち出された幾つかの品は、物珍しさに惹かれた魔族により購入希望が入っている。ルシファー達はそういった物欲が薄いので、好奇心が主な動機だった。
「この塊はなんだ?」
「貝でしょうね」
壁や天井など、至る所に張り付いた硬い何かを突くルシファーの手は、続いて別の物を掴んだ。
「これは……骨か」
「乗っていた人族と思われますが」
白い骨を興味深そうに眺めたあと、元の位置に戻した。後ろのリリスはイヴがあれこれ触らないよう、注意しながら進む。と、途中でいきなりルシファーが振り返った。
「リリス、イヴの抱っこを交代しよう」
「本当? 助かるわ」
目が覚めて興奮状態のイヴを抱き上げ、ルシファーは先頭をリリスに譲った。好奇心旺盛で、様々な物に興味を示す妻のはしゃいだ声に微笑む。
「ぱっぱ、ぱっぱ」
「どうした? イヴ」
天井を指差すイヴのはしゃいだ呼びかけに、上を見たルシファーは顔を引き攣らせた。
「うわぁああああ!」
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