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第14章 それはオーパーツ?
232.戦艦の説明から銀河鉄道まで
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海底で発見した時は、さほど大きく感じなかった。周囲に視界を遮るものがなく、比較対象もなかったせいだろう。実際取り出した船を見て、全員がほぼ同じ感想を抱いた。大きい、と。
「お話より大きいですね」
アスタロトが皮肉るでもなく呟く。見上げる彼の視線の先は、折れた帆柱だった。ぐらぐらと揺れるので、ひとまず危険な突起物は折ることが決まった。もし落下してケガ人が出たら気の毒だし、事前に予見できる危険は避けるべきだろう。
ドラゴン達を含め空を飛べる種族が協力して、空中の突起物は処理された。船の形を出来るだけ保存したまま、不安定な物は甲板へ並べられる。
「うわぁ! 戦艦ですね、かっけぇ!!」
「せんかん?」
すげぇと大声を上げるアベルの単語に、ほぼ全員が首を傾げた。その様子に、アベルがイザヤの応援を頼む。現在は魔王城に住む彼なら、作家活動をしていることもあり説明上手なのだ。妻の仕事の関係で魔王城に住んだアベルとイザヤだが、今も週末は城下町の家で過ごすことがあるらしい。
イザヤが呼ばれる間、説明は不得手だと自認するアベルの説明が始まった。
「えっと、文字としては戦う船って書いて戦艦です」
「戦う船なら、せんせんではないか?」
もっともな指摘が上がり、呻きながら説明用の単語をひねり出す。
「艦隊ってわかります?」
「いや?」
これまた通じない。ルキフェルは興味津々でメモを取ったり、スケッチに勤しんでいた。そんな彼を見守りながら、民の安全を確保するベール。会話の記録を取るアスタロトが、質問担当のルシファーと交代した。
「アベル、ひとまず戦う船の意味で話を進めてください」
「あ、うん。言葉の意味や単語はイザヤ先輩に聞いてもらうとして……普通の船は移動や魚捕りに行くとき使います。戦艦は戦う為だけに作られた軍隊の船です」
「水軍みたいなものか」
ルシファーが首を傾げながら理解しようとすれば、大きく頷いたアベルが手を叩いた。
「そう、それです! 空を飛ぶのが空軍で、地上は歩兵などの部隊ですよね。それと同じっす」
ここでアスタロトに疑問が生じた。これは異世界の知識であり、自分達がまったく知らない話なので尋ねて疑問を解消した方がいいだろう。うっかり先に進んだ後で「知らない」と切り出すより効率的である。ここで知ったかぶりをする意地や感情はなかった。
「人族も空を? 日本人という種族に羽は見当たりませんが」
「うーん、飛行機って道具があるんだけど。船みたいに人を乗せて空を飛ぶんだよな」
「空を飛ぶ船……」
それでは宇宙船だ。イザヤがいたら突っ込んでくれたかもしれない。だが誰も指摘しないまま、話の論点はどんどんズレていった。最終的に宇宙戦艦の話が始まったところで、ようやくイザヤが到着する。
「宇宙戦艦とやらについて、説明してくれ」
「すみません、前後の状況が掴めないのですが……この船についてのご質問では?」
ヤマトがどうのこうの、そんなアニメの話に突入していた彼らに、イザヤは軌道修正の一石を投じた。そこでアスタロトが我に返る。そうでした、戦艦の単語を紐解くうちに空を飛んだり宇宙なる奇妙な空間の話になったのでしたね。慌てて頷いた。
「イザヤの言う通りでした。この船をアベルが「戦艦」と呼称したのですが、教えていただけますか」
「ああ、確かに戦艦のようですね。戦いに使う船全般を「戦艦」と呼称します。正確には「艦」だけでも同じ意味があります」
理路整然と語りだしたイザヤの隣で、アベルはぽりぽりと顳を指で掻いた。明らかに話が脱線していたのに、さらに銀河鉄道の話へ飛び火した自分に気づいたのだ。これからは聞かれたことだけ答えよう。そう心に決めるのだが、当然ながら彼はまた同じことを繰り返すのだろう。それもまた、アベルの個性である。
「お話より大きいですね」
アスタロトが皮肉るでもなく呟く。見上げる彼の視線の先は、折れた帆柱だった。ぐらぐらと揺れるので、ひとまず危険な突起物は折ることが決まった。もし落下してケガ人が出たら気の毒だし、事前に予見できる危険は避けるべきだろう。
ドラゴン達を含め空を飛べる種族が協力して、空中の突起物は処理された。船の形を出来るだけ保存したまま、不安定な物は甲板へ並べられる。
「うわぁ! 戦艦ですね、かっけぇ!!」
「せんかん?」
すげぇと大声を上げるアベルの単語に、ほぼ全員が首を傾げた。その様子に、アベルがイザヤの応援を頼む。現在は魔王城に住む彼なら、作家活動をしていることもあり説明上手なのだ。妻の仕事の関係で魔王城に住んだアベルとイザヤだが、今も週末は城下町の家で過ごすことがあるらしい。
イザヤが呼ばれる間、説明は不得手だと自認するアベルの説明が始まった。
「えっと、文字としては戦う船って書いて戦艦です」
「戦う船なら、せんせんではないか?」
もっともな指摘が上がり、呻きながら説明用の単語をひねり出す。
「艦隊ってわかります?」
「いや?」
これまた通じない。ルキフェルは興味津々でメモを取ったり、スケッチに勤しんでいた。そんな彼を見守りながら、民の安全を確保するベール。会話の記録を取るアスタロトが、質問担当のルシファーと交代した。
「アベル、ひとまず戦う船の意味で話を進めてください」
「あ、うん。言葉の意味や単語はイザヤ先輩に聞いてもらうとして……普通の船は移動や魚捕りに行くとき使います。戦艦は戦う為だけに作られた軍隊の船です」
「水軍みたいなものか」
ルシファーが首を傾げながら理解しようとすれば、大きく頷いたアベルが手を叩いた。
「そう、それです! 空を飛ぶのが空軍で、地上は歩兵などの部隊ですよね。それと同じっす」
ここでアスタロトに疑問が生じた。これは異世界の知識であり、自分達がまったく知らない話なので尋ねて疑問を解消した方がいいだろう。うっかり先に進んだ後で「知らない」と切り出すより効率的である。ここで知ったかぶりをする意地や感情はなかった。
「人族も空を? 日本人という種族に羽は見当たりませんが」
「うーん、飛行機って道具があるんだけど。船みたいに人を乗せて空を飛ぶんだよな」
「空を飛ぶ船……」
それでは宇宙船だ。イザヤがいたら突っ込んでくれたかもしれない。だが誰も指摘しないまま、話の論点はどんどんズレていった。最終的に宇宙戦艦の話が始まったところで、ようやくイザヤが到着する。
「宇宙戦艦とやらについて、説明してくれ」
「すみません、前後の状況が掴めないのですが……この船についてのご質問では?」
ヤマトがどうのこうの、そんなアニメの話に突入していた彼らに、イザヤは軌道修正の一石を投じた。そこでアスタロトが我に返る。そうでした、戦艦の単語を紐解くうちに空を飛んだり宇宙なる奇妙な空間の話になったのでしたね。慌てて頷いた。
「イザヤの言う通りでした。この船をアベルが「戦艦」と呼称したのですが、教えていただけますか」
「ああ、確かに戦艦のようですね。戦いに使う船全般を「戦艦」と呼称します。正確には「艦」だけでも同じ意味があります」
理路整然と語りだしたイザヤの隣で、アベルはぽりぽりと顳を指で掻いた。明らかに話が脱線していたのに、さらに銀河鉄道の話へ飛び火した自分に気づいたのだ。これからは聞かれたことだけ答えよう。そう心に決めるのだが、当然ながら彼はまた同じことを繰り返すのだろう。それもまた、アベルの個性である。
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