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44.奇妙な噂の真偽は?
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他にもいくつか噂を聞いた。王家と神殿が対立していること、王妃殿下の離縁の話など。この辺りは私が知っている噂に近い。でも平民が語る噂は、少し違っていた。
セサル達は私に関する魔女の噂を打ち消すため、あれこれと動いてくれるらしい。お礼を言って土産を渡して送り出した。彼らが見えなくなる頃、ようやく公爵夫人が戻ってくる。
「いきなりで焦ってしまったわ。そちらはお話が終わった?」
「はい、私に関する噂を聞いて、心配してくれたそうです」
「まあ、優しい方達だこと」
ほほほと笑った公爵夫人に相槌を打ち、着替えに向かった彼女の様子に、ふと疑問が湧いた。
「ギータ様、先ほど突然お客様が来たのは」
「ああ、俺の仕業だ。実際に客は来ていないぞ。神殿からの客が来たと錯覚させただけだ」
幻術の一種だと言われ、驚いた。そんな魔法もあるのね。お客様が来たと思い込み、執事と一緒に応接室で一人お茶を飲む公爵夫人を想像したら、なんだかおかしくなった。隠れて笑ってもバレるので、遠慮なく口元を緩める。
「お前の想像通りだが、確かに滑稽だな」
そこまでは言わなかったのに! くすくす笑いながら階段を上り、部屋に引き上げる。私は未婚の貴族令嬢だから、まだ適齢期じゃなくても男性と同室は問題がある。侍女がいても、ドアを開けるのがマナーだった。
婚約者であっても、二人きりはふしだらと言われるのに、ギータ様は平然とドアを閉めてしまう。これに関して、両親や執事は何も触れなかった。ギータ様のお力なのか、それとも神の婚約者だから問題ないとされたのか。
「ん? 俺は何もしてないぞ」
柔らかな絨毯の上で、ペキと眠るアデライダの上に毛布を掛ける。遊び疲れたのね。子猫のペキは、私以上にアデライダに懐いてしまった。一緒にいる時間が長いから仕方ないけど、少しだけ寂しい。
「ギータ様が、古代竜の生き神様だから?」
「興味がないので確認してないが、そんなところか」
娘に何かするのではと疑うこと自体、神様への冒涜だものね。もし何かあっても、ギータ様に嫁ぐから問題ないと考えた? 神様に責任をとってもらえるなら、確かにこれ以上ない安心材料よね。
「さて、先ほどの噂だが……少しばかりおかしな点が見受けられたな」
ギータ様は、私の手を引いて長椅子に腰掛ける。当然のように膝へ座るよう促された。素直に従えば、後ろから抱き込まれる。腕に閉じ込められた状態で、彼は淡々と指摘を始めた。
「神殿が建つと俺には伝わる。だが知らなかった。俺の力が弱まったわけでもないのに、おかしいだろう?」
確かにおかしいわ。神様に内緒で、神殿を建てられるなんて。
「神殿の形をした別の目的の建物なら、あり得るが」
私の頭へ顎を乗せた声は、不思議な響き方をした。まるで神託みたいに、ぼやんと届く。
「公爵邸の噂話も辻褄が合わぬ」
この地域の人じゃない誰かが、公爵邸の裏で何かを埋めた。その後に屋敷が土砂崩れに襲われた。何かおかしいかしら? その人が何かしたんだと思うけど。
「少なくとも3つは違和感が残るぞ」
まるでクイズね。うーんと唸り、真剣に考え込んだ。
セサル達は私に関する魔女の噂を打ち消すため、あれこれと動いてくれるらしい。お礼を言って土産を渡して送り出した。彼らが見えなくなる頃、ようやく公爵夫人が戻ってくる。
「いきなりで焦ってしまったわ。そちらはお話が終わった?」
「はい、私に関する噂を聞いて、心配してくれたそうです」
「まあ、優しい方達だこと」
ほほほと笑った公爵夫人に相槌を打ち、着替えに向かった彼女の様子に、ふと疑問が湧いた。
「ギータ様、先ほど突然お客様が来たのは」
「ああ、俺の仕業だ。実際に客は来ていないぞ。神殿からの客が来たと錯覚させただけだ」
幻術の一種だと言われ、驚いた。そんな魔法もあるのね。お客様が来たと思い込み、執事と一緒に応接室で一人お茶を飲む公爵夫人を想像したら、なんだかおかしくなった。隠れて笑ってもバレるので、遠慮なく口元を緩める。
「お前の想像通りだが、確かに滑稽だな」
そこまでは言わなかったのに! くすくす笑いながら階段を上り、部屋に引き上げる。私は未婚の貴族令嬢だから、まだ適齢期じゃなくても男性と同室は問題がある。侍女がいても、ドアを開けるのがマナーだった。
婚約者であっても、二人きりはふしだらと言われるのに、ギータ様は平然とドアを閉めてしまう。これに関して、両親や執事は何も触れなかった。ギータ様のお力なのか、それとも神の婚約者だから問題ないとされたのか。
「ん? 俺は何もしてないぞ」
柔らかな絨毯の上で、ペキと眠るアデライダの上に毛布を掛ける。遊び疲れたのね。子猫のペキは、私以上にアデライダに懐いてしまった。一緒にいる時間が長いから仕方ないけど、少しだけ寂しい。
「ギータ様が、古代竜の生き神様だから?」
「興味がないので確認してないが、そんなところか」
娘に何かするのではと疑うこと自体、神様への冒涜だものね。もし何かあっても、ギータ様に嫁ぐから問題ないと考えた? 神様に責任をとってもらえるなら、確かにこれ以上ない安心材料よね。
「さて、先ほどの噂だが……少しばかりおかしな点が見受けられたな」
ギータ様は、私の手を引いて長椅子に腰掛ける。当然のように膝へ座るよう促された。素直に従えば、後ろから抱き込まれる。腕に閉じ込められた状態で、彼は淡々と指摘を始めた。
「神殿が建つと俺には伝わる。だが知らなかった。俺の力が弱まったわけでもないのに、おかしいだろう?」
確かにおかしいわ。神様に内緒で、神殿を建てられるなんて。
「神殿の形をした別の目的の建物なら、あり得るが」
私の頭へ顎を乗せた声は、不思議な響き方をした。まるで神託みたいに、ぼやんと届く。
「公爵邸の噂話も辻褄が合わぬ」
この地域の人じゃない誰かが、公爵邸の裏で何かを埋めた。その後に屋敷が土砂崩れに襲われた。何かおかしいかしら? その人が何かしたんだと思うけど。
「少なくとも3つは違和感が残るぞ」
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