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9章 祝福
フィアのお見合い⑥
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「──────『八斬同時攻』!!」
レクスの元に離れた位置から八つ同時に斬撃を飛ばすロウコ。普通なら防ぐのは困難なはずだが───────
「『守る』!!」
キィンキィンキィン!!
甲高い音と共に弾かれてしまう。ロウコの攻撃は先程から一つも通っていない。仮にも剣豪と呼ばれる身。そんな者が、一人の青年相手に苦戦しているのだ。
「領主様って見かけによらず凄かったのね……………」
「ね? だから言ったでしょ? 見てれば分かるって。レクスの強さはでたらめなんだから」
「………………そうね」
神妙な顔で頷くフィアの母。
「くっ──────」
ロウコは一旦後退する。分が悪いと判断したためだろう。というか、純粋な剣技のぶつかり合いなのに、障壁とか展開していいのだろうか。まあ、相手もスキルを使っているのだし、おあいこだろう。おあいこ……………だよね?
相手からの攻撃も止み、今度は反撃に打って出ようかな、なんてことを考えるレクス。相手がどのくらいの強さなのか分からないから、一応計っていたが……………これなら大丈夫そうだ。正々堂々の勝負なので、『見る』でステータスは見ないでおいた。
「よっと」
「────────!?」
レクスが一瞬にして消えた。ロウコは急いでレクスの姿を探す。姿が見えない。肉眼で捉えられない。だが、ロウコにも剣豪の意地がある。肉眼で捉えられなくとも──────そこだっ!
ガコオオオォォォォォ──────ン!!
「うぐっ……………! …………重い」
ロウコの手が痺れる。これまでに感じてこなかった程の痺れ。まともに剣を握ることすらできない。だが、それでもしっかりと握る。振るえるのは、一刀のみ。
(………………認めるしかない。このチビ…………いや、領主様は私より遥かに強い。今の私では足元にも及ばないだろう。……………だが、私にも意地がある。倒せずとも、一矢報いてやる………………!!)
剣先に魔力を注ぎ込む。ロウコのユニークスキル『超魔力注入』。このスキルのお陰で、通常武器に注ぎ込める魔力の十倍もの量を注げる。勿論、武器に限った話ではない。
「───────我流『全一点集中』!!」
一点だけを貫く。一点に集中──────
ロウコが一瞬にして、間合いを詰める。鋭い突きが、レクスの胸元へ───────
ガコオオオォォォォォ────────ン!!
「ふぅ……………今のは中々鋭かった…………」
ロウコの鋭い突きを木剣で受け止めていた。レクスは尚も平然としていた。一仕事終えたかのような軽さで息を吐くレクス。
「……………くくくく。はっはっはっはっ!」
突如笑い出すロウコ。そんなロウコに思わず身構えるレクス。
「────────参りました。私の完敗です、領主様」
深々と頭を下げて、そう言った。そして、何かを決意したように顔を上げるロウコ。そして───────
「──────私を貴方様の弟子にしていただけませんか」
「……………え? え? どうして?」
「………………? 強い者に教えを請うのは普通なのでは?」
レクスはロウコの言葉を聞き、何かを確信したような表情に。てっきり結婚だなんだで頭がいっぱいなのかと思っていたが─────
(…………………この人、絶対剣術バカだ)
そんな失礼な事を考えたのだった。
レクスの元に離れた位置から八つ同時に斬撃を飛ばすロウコ。普通なら防ぐのは困難なはずだが───────
「『守る』!!」
キィンキィンキィン!!
甲高い音と共に弾かれてしまう。ロウコの攻撃は先程から一つも通っていない。仮にも剣豪と呼ばれる身。そんな者が、一人の青年相手に苦戦しているのだ。
「領主様って見かけによらず凄かったのね……………」
「ね? だから言ったでしょ? 見てれば分かるって。レクスの強さはでたらめなんだから」
「………………そうね」
神妙な顔で頷くフィアの母。
「くっ──────」
ロウコは一旦後退する。分が悪いと判断したためだろう。というか、純粋な剣技のぶつかり合いなのに、障壁とか展開していいのだろうか。まあ、相手もスキルを使っているのだし、おあいこだろう。おあいこ……………だよね?
相手からの攻撃も止み、今度は反撃に打って出ようかな、なんてことを考えるレクス。相手がどのくらいの強さなのか分からないから、一応計っていたが……………これなら大丈夫そうだ。正々堂々の勝負なので、『見る』でステータスは見ないでおいた。
「よっと」
「────────!?」
レクスが一瞬にして消えた。ロウコは急いでレクスの姿を探す。姿が見えない。肉眼で捉えられない。だが、ロウコにも剣豪の意地がある。肉眼で捉えられなくとも──────そこだっ!
ガコオオオォォォォォ──────ン!!
「うぐっ……………! …………重い」
ロウコの手が痺れる。これまでに感じてこなかった程の痺れ。まともに剣を握ることすらできない。だが、それでもしっかりと握る。振るえるのは、一刀のみ。
(………………認めるしかない。このチビ…………いや、領主様は私より遥かに強い。今の私では足元にも及ばないだろう。……………だが、私にも意地がある。倒せずとも、一矢報いてやる………………!!)
剣先に魔力を注ぎ込む。ロウコのユニークスキル『超魔力注入』。このスキルのお陰で、通常武器に注ぎ込める魔力の十倍もの量を注げる。勿論、武器に限った話ではない。
「───────我流『全一点集中』!!」
一点だけを貫く。一点に集中──────
ロウコが一瞬にして、間合いを詰める。鋭い突きが、レクスの胸元へ───────
ガコオオオォォォォォ────────ン!!
「ふぅ……………今のは中々鋭かった…………」
ロウコの鋭い突きを木剣で受け止めていた。レクスは尚も平然としていた。一仕事終えたかのような軽さで息を吐くレクス。
「……………くくくく。はっはっはっはっ!」
突如笑い出すロウコ。そんなロウコに思わず身構えるレクス。
「────────参りました。私の完敗です、領主様」
深々と頭を下げて、そう言った。そして、何かを決意したように顔を上げるロウコ。そして───────
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「………………? 強い者に教えを請うのは普通なのでは?」
レクスはロウコの言葉を聞き、何かを確信したような表情に。てっきり結婚だなんだで頭がいっぱいなのかと思っていたが─────
(…………………この人、絶対剣術バカだ)
そんな失礼な事を考えたのだった。
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