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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
もう、逃がさない
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「スキルが手に入った………………!? そ、そんな一朝一夕で手に入るようなものじゃないはずなんだけどなぁ~……………スキルって」
「………………普通はそうだね」
レクスは教えてやる義理も理由もないと思った。ゆえに、頷くだけにとどめた。因みにレクスが手に入れたスキルは、『看破』というスキル。『遠目』というスキルを集めて進化させたらそうなった。景色と同化するスキルは精度が高ければ『見る』でも見破れないかもしれないが………………『看破』というスキルなら、そういったものも全て見破れる。ここに来るまでの間にある程度ステータスをとっておいて良かった、とレクスは思った。
「ま、まぁ~、君にどんなスキルがあるのかは知らないけど~………………どっちみち君には消えてもらうから~、関係ないね~」
表向きなんてことはないといった態度でそう答えるリミル。しかし、レクスはリミルに余裕がないことを既に見抜いていた。
「じゃあ~、とりあえずぅ~、いきなりで悪いけど、死んでもらうよぉ~♪」
リミルはそう言うと、あらかじめ空中に設置していたのか、魔法陣を展開した。その魔法陣からなんと出てきたのは──────巨大な隕石。レクスとの距離、およそ二メートル。超至近距離だ。これは明らかに殺しにかかっている。
「────────『鋼壁』!!」
レクスは何重にも障壁を展開する。その上に更に『守る』も重ね───────そこに、隕石が勢いよくぶつかってくる。
「ぐっ……………おおおおぉぉぉぉぉ!!」
割れては再生、割れては再生を繰り返す。そして、隕石は徐々に勢いを失っていき────────バキッ! と音を立てて割れる。見事に防ぎきってみせたのだ。
「か、勘弁して欲しいなぁ~……………全く」
口調はさほど慌てたような様子はなかったが、目は全く笑っていなかった。
「───────今までの借りを返させてもらうよ」
リミルはレクスの言葉にギリッ……………! 奥歯を強く噛むのだった。
◇◆◇◆◇
「はぁ、はぁ……………スラちゃん、しっちゃん………………大、丈夫?」
「私はまだまだいけますが……………ミア様の方は大丈夫でしょうか? 少し、お休みになられた方が………………」
「キュー!!」
スラちゃんもしっちゃんもミアを心配してくれているらしい。正直なところ、立っているのが精一杯な状況だ。魔力も残りが心もとない。
「わたしは、大丈夫、だから………………」
ミアがそう言うと同時に───────
「ミア様、後ろ!!」
ガキイイイイィィィィ───────ン!!
後ろからのソーンコボルトの襲撃を間一髪のところで防ぐしっちゃん。障壁を展開するのが後一歩遅ければ───────そう考えるとゾッとする。
《『突撃・極』!!》
レインはスキルを発動。魔物達に向かって突進していく。
「グガアアアアァァァァ!?」
『突撃・極』の威力はすさまじく、魔物数十体を余波で木っ端微塵にしてしまうほどだった。───────と。
「あれ………………? 魔物達が……………?」
目の前の魔物達のサイズが、急に元に戻った。そして、何かにハッと気づいたように一目散に逃げていく。
(………………………?)
よく分からないが、ひとまず窮地を脱したと思っていいだろう。
大きな安堵から、ミアは張っていた気を緩め、そのまま意識を失ったのだった。
「………………普通はそうだね」
レクスは教えてやる義理も理由もないと思った。ゆえに、頷くだけにとどめた。因みにレクスが手に入れたスキルは、『看破』というスキル。『遠目』というスキルを集めて進化させたらそうなった。景色と同化するスキルは精度が高ければ『見る』でも見破れないかもしれないが………………『看破』というスキルなら、そういったものも全て見破れる。ここに来るまでの間にある程度ステータスをとっておいて良かった、とレクスは思った。
「ま、まぁ~、君にどんなスキルがあるのかは知らないけど~………………どっちみち君には消えてもらうから~、関係ないね~」
表向きなんてことはないといった態度でそう答えるリミル。しかし、レクスはリミルに余裕がないことを既に見抜いていた。
「じゃあ~、とりあえずぅ~、いきなりで悪いけど、死んでもらうよぉ~♪」
リミルはそう言うと、あらかじめ空中に設置していたのか、魔法陣を展開した。その魔法陣からなんと出てきたのは──────巨大な隕石。レクスとの距離、およそ二メートル。超至近距離だ。これは明らかに殺しにかかっている。
「────────『鋼壁』!!」
レクスは何重にも障壁を展開する。その上に更に『守る』も重ね───────そこに、隕石が勢いよくぶつかってくる。
「ぐっ……………おおおおぉぉぉぉぉ!!」
割れては再生、割れては再生を繰り返す。そして、隕石は徐々に勢いを失っていき────────バキッ! と音を立てて割れる。見事に防ぎきってみせたのだ。
「か、勘弁して欲しいなぁ~……………全く」
口調はさほど慌てたような様子はなかったが、目は全く笑っていなかった。
「───────今までの借りを返させてもらうよ」
リミルはレクスの言葉にギリッ……………! 奥歯を強く噛むのだった。
◇◆◇◆◇
「はぁ、はぁ……………スラちゃん、しっちゃん………………大、丈夫?」
「私はまだまだいけますが……………ミア様の方は大丈夫でしょうか? 少し、お休みになられた方が………………」
「キュー!!」
スラちゃんもしっちゃんもミアを心配してくれているらしい。正直なところ、立っているのが精一杯な状況だ。魔力も残りが心もとない。
「わたしは、大丈夫、だから………………」
ミアがそう言うと同時に───────
「ミア様、後ろ!!」
ガキイイイイィィィィ───────ン!!
後ろからのソーンコボルトの襲撃を間一髪のところで防ぐしっちゃん。障壁を展開するのが後一歩遅ければ───────そう考えるとゾッとする。
《『突撃・極』!!》
レインはスキルを発動。魔物達に向かって突進していく。
「グガアアアアァァァァ!?」
『突撃・極』の威力はすさまじく、魔物数十体を余波で木っ端微塵にしてしまうほどだった。───────と。
「あれ………………? 魔物達が……………?」
目の前の魔物達のサイズが、急に元に戻った。そして、何かにハッと気づいたように一目散に逃げていく。
(………………………?)
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大きな安堵から、ミアは張っていた気を緩め、そのまま意識を失ったのだった。
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