342 / 454
8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
事態は更に…………
しおりを挟む
「……………昨日の夜中に、ヴァンナさんが連れ去られた…………!?」
「…………ああ。おかげで、朝からどこもかしこも大騒ぎだ」
セレスが疲れたような表情でそう言った。セレスは街の住民達の混乱に巻き込まれたのだ。昨日は財務局の方に出向いており、早く帰りたくて今日の未明ではあったが、馬車で帰ってきていたのだ。その道中では、民衆が大騒ぎ。原因は、ヴァンナが王宮から連れ去られたからだ。
「……………フィオナ達にも、この事を伝えないと」
これを聞いたら、きっと慌てるし混乱するだろう。だが、これは推測の粋をでないが、恐らくヴァンナは生きている。セレスは連れ去られたと言った。連れ去ってすぐに殺すなんてことはしないだろうし、何かするつもりがあるからこそ、ヴァンナを連れ去ったのだ。
レクスはそんなことを考えつつ、みんなを呼びに行くのだった。
◇◆◇◆◇
それから暫くして。レクスの部屋にはフィア、セレスも含めて全員集合していた。
「そ、そんな……………お母様が」
フィオナの顔は青ざめていた。そうなるのも当然だろう。自分の母が連れ去られたとなれば、慌てるものである。
「……………今すぐ、探しに行かないと…………」
エレナは深刻そうな表情でそう言った。フィオナが困っているのだ。助けないわけにはいかない。それに─────フィオナの悲しむ顔は見たくない。
「でも、問題は場所よね……………」
ミーシャはそう言った。そう。最大の問題はそこだ。せめて、犯人さえ分かればどうにかなったのかもしれないが、実際のところは分かっていない。ここは───────
「─────『見る』」
レクスの見たことのある場所なら、どこでも見渡せる優れもののスキル。レクスは、あらゆる場所を見渡した。セレニア皇国中を、果ては他国周辺まで。最近行った場所も探した。しかし───────
「いないね……………」
レクスは深刻な表情でそう言った。
「じゃあ、お母様は、もう……………!」
「フィオナ。まだそうだと決まった訳じゃない。王宮にいた兵士の証言によると、ヴァンナ皇女は連れ去られたそうだ。そもそも、犯人にそんなつもりがあるのなら、連れ去りはしない。つまり─────近いうちに、また何か仕掛けてくるということだ」
セレスはそう言った。確かにその通りなのだ。そしてそれは、先程レクスも考えていたこと。
「それに──────いや、今話すべき話題ではないな」
セレスはそう言った。フィオナの前で話すべき話題ではない。セレスはレクスに視線を送った。後で話がある、という。レクスも意図を理解したのか、静かに頷いた。
「……………とりあえず、みんな準備しよう。ヴァンナさんを探しに行くよ」
レクスの言葉にエレナ達は頷くと、急いで準備しに行った。勿論、冒険に行く時の身支度と同様だ。フィオナもとりあえず、準備しに行ったようだ。
「…………それで、セレスさん。先程の話というのは?」
レクスはセレスにそう尋ねる。
「実は、ヴァンナ皇女が連れ去られことで、もう一つ問題が生じるんだ。──────過激派の貴族がこの機に乗じて反乱を起こす可能性がある、というより、ほぼ確実に起こるだろう」
「────────!」
レクスもハッとしたような表情になった。皇女が不在の今、セレニア皇国内は荒れるだろう。そうなったら大変なことになる。一刻も早く事態の沈静化を図る必要がある。
「……………………やばいね………」
レクスは顔をしかめながらそう呟くのだった。
「…………ああ。おかげで、朝からどこもかしこも大騒ぎだ」
セレスが疲れたような表情でそう言った。セレスは街の住民達の混乱に巻き込まれたのだ。昨日は財務局の方に出向いており、早く帰りたくて今日の未明ではあったが、馬車で帰ってきていたのだ。その道中では、民衆が大騒ぎ。原因は、ヴァンナが王宮から連れ去られたからだ。
「……………フィオナ達にも、この事を伝えないと」
これを聞いたら、きっと慌てるし混乱するだろう。だが、これは推測の粋をでないが、恐らくヴァンナは生きている。セレスは連れ去られたと言った。連れ去ってすぐに殺すなんてことはしないだろうし、何かするつもりがあるからこそ、ヴァンナを連れ去ったのだ。
レクスはそんなことを考えつつ、みんなを呼びに行くのだった。
◇◆◇◆◇
それから暫くして。レクスの部屋にはフィア、セレスも含めて全員集合していた。
「そ、そんな……………お母様が」
フィオナの顔は青ざめていた。そうなるのも当然だろう。自分の母が連れ去られたとなれば、慌てるものである。
「……………今すぐ、探しに行かないと…………」
エレナは深刻そうな表情でそう言った。フィオナが困っているのだ。助けないわけにはいかない。それに─────フィオナの悲しむ顔は見たくない。
「でも、問題は場所よね……………」
ミーシャはそう言った。そう。最大の問題はそこだ。せめて、犯人さえ分かればどうにかなったのかもしれないが、実際のところは分かっていない。ここは───────
「─────『見る』」
レクスの見たことのある場所なら、どこでも見渡せる優れもののスキル。レクスは、あらゆる場所を見渡した。セレニア皇国中を、果ては他国周辺まで。最近行った場所も探した。しかし───────
「いないね……………」
レクスは深刻な表情でそう言った。
「じゃあ、お母様は、もう……………!」
「フィオナ。まだそうだと決まった訳じゃない。王宮にいた兵士の証言によると、ヴァンナ皇女は連れ去られたそうだ。そもそも、犯人にそんなつもりがあるのなら、連れ去りはしない。つまり─────近いうちに、また何か仕掛けてくるということだ」
セレスはそう言った。確かにその通りなのだ。そしてそれは、先程レクスも考えていたこと。
「それに──────いや、今話すべき話題ではないな」
セレスはそう言った。フィオナの前で話すべき話題ではない。セレスはレクスに視線を送った。後で話がある、という。レクスも意図を理解したのか、静かに頷いた。
「……………とりあえず、みんな準備しよう。ヴァンナさんを探しに行くよ」
レクスの言葉にエレナ達は頷くと、急いで準備しに行った。勿論、冒険に行く時の身支度と同様だ。フィオナもとりあえず、準備しに行ったようだ。
「…………それで、セレスさん。先程の話というのは?」
レクスはセレスにそう尋ねる。
「実は、ヴァンナ皇女が連れ去られことで、もう一つ問題が生じるんだ。──────過激派の貴族がこの機に乗じて反乱を起こす可能性がある、というより、ほぼ確実に起こるだろう」
「────────!」
レクスもハッとしたような表情になった。皇女が不在の今、セレニア皇国内は荒れるだろう。そうなったら大変なことになる。一刻も早く事態の沈静化を図る必要がある。
「……………………やばいね………」
レクスは顔をしかめながらそう呟くのだった。
0
お気に入りに追加
8,241
あなたにおすすめの小説
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。