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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
trouble again
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「ところで、変なものってこれですか……………?」
「確かに奇妙ではあるけど……………」
レクスとイルミは首を傾げながらそう呟く。ミドクが言っていた変なものとは、レクス達の目の前にあるもの─────つまりは、石碑のことだ。一見すると、なんの変哲もない石碑のようにしか見えないが……………。
「だって、ダンジョンの中に石碑だよ!? 奇妙だけど……………じゃなくて、奇妙でしょ!」
ミドクはレクス達にそう言った。だが、それも果たして石碑と呼んで良いものなのかどうか……………正直微妙なサイズなのだ。石碑の大きさは、大体幅一メートルくらい。立ってるというよりも、ぶっ刺さっているといった方がいい。これは、自然にこうなっただけという可能性の方がむしろ高いと思われる。──────と。
「うわっ!?」
紫色の魔法陣が展開され、その中からは─────武器を持ったスケルトン達が現れた。
「ケタケタケタ…………………」
スケルトン達は次々に召喚されていく。その数は──────数えられない程である。しかも、それだけでは終わらない。更にスケルトン達は、集まり、壁のようになったかと思うと────────その瞬間、カッ!! とまばゆい光を放った。やがて、光も収まり、視界が開けてくる。そこには──────
「ケタケタケタケタッ!!」
一匹の巨大なスケルトンへと変化を遂げた。それは言うなれば、生ける鎧にそっくりであった。手には大剣、大槍、大楯など、様々な装備を手に持っている。というか、このダンジョン、結構色々と厄介事が起きすぎな気が……………なんか、うまく行く先々に魔物が現れている気がする。さっきの召喚も……………
「…………まあ、でも今は目の前の敵に集中だよね」
レクスはそう呟くと、目の前の敵を睨み付けるように凝視するのだった。
◇◆◇◆◇
─────ウグイヴの砦のとある場所にて。
「なあ、こんなことはもうやめないか? 俺、もう堪えられないよ……………」
「───────は?」
ある男の言葉に、もう一人の男が不機嫌そうに顔を歪めた。どちらの男にも、エルフよりは長くないが、常人よりは長い耳を持っている。いわゆるハイエルフ族である。
「ひっ……………!? い、いや、これ以上やったら取り返しがつかないことに…………今まではどうにかして、ダンジョンの拡大を抑えていたよ。だけど、もうこれ以上は抑えられない。このままダンジョンが拡大し続ければ、諸国にも甚大な被害を与えることになるぞっ。が、外交問題になりかねない。そ、そんなことにでもなったら……………」
ハイエルフ族の法は厳しい。膨大な力を持つがゆえに、それを私利私欲のために振るう者が現れる。それを防ぐために。法を犯しでもしたら……………自分の命はもうないと思った方がいい。
「……………今さら後に引けるわけねえだろ。それに、これが終われば、金ももらえるし、あのくそ女ともおさらばだ。正直、俺だってあんなのと関わりたくねえ。今だって、こんなん放り出してえくらいだ……………」
「な、なら……………」
「だが、俺には家族がいる。お前だってそうだろう? ……………逃げるわけにはいかねえよ」
ちっ…………と舌打ちしながらそう言う男。あの女は、一言で言えば不気味。そして冷淡で残酷だ。二人の男の家族は、人質なのだ。束縛などはされていないが、逆らえば即座に殺す、と脅されたのだ。ただの脅しなら笑って流せたかもしれない。だが──────あの女は本気だったのだ。
「……………魔法陣なんか仕掛けやがってっ…………」
そう。魔力の扱いに長けているこの男ですらも分解出来ないような魔法陣を男達の家に設置し、逆らえば爆破する、と言われたのだ。そうまでされれば、逃げることもできない。─────やるしかないのだ。
「止まれ、止まってくれ………………!! 頼む……………」
魔力で写し出されたある映像を見ながら、ただ祈るばかりであった。
「確かに奇妙ではあるけど……………」
レクスとイルミは首を傾げながらそう呟く。ミドクが言っていた変なものとは、レクス達の目の前にあるもの─────つまりは、石碑のことだ。一見すると、なんの変哲もない石碑のようにしか見えないが……………。
「だって、ダンジョンの中に石碑だよ!? 奇妙だけど……………じゃなくて、奇妙でしょ!」
ミドクはレクス達にそう言った。だが、それも果たして石碑と呼んで良いものなのかどうか……………正直微妙なサイズなのだ。石碑の大きさは、大体幅一メートルくらい。立ってるというよりも、ぶっ刺さっているといった方がいい。これは、自然にこうなっただけという可能性の方がむしろ高いと思われる。──────と。
「うわっ!?」
紫色の魔法陣が展開され、その中からは─────武器を持ったスケルトン達が現れた。
「ケタケタケタ…………………」
スケルトン達は次々に召喚されていく。その数は──────数えられない程である。しかも、それだけでは終わらない。更にスケルトン達は、集まり、壁のようになったかと思うと────────その瞬間、カッ!! とまばゆい光を放った。やがて、光も収まり、視界が開けてくる。そこには──────
「ケタケタケタケタッ!!」
一匹の巨大なスケルトンへと変化を遂げた。それは言うなれば、生ける鎧にそっくりであった。手には大剣、大槍、大楯など、様々な装備を手に持っている。というか、このダンジョン、結構色々と厄介事が起きすぎな気が……………なんか、うまく行く先々に魔物が現れている気がする。さっきの召喚も……………
「…………まあ、でも今は目の前の敵に集中だよね」
レクスはそう呟くと、目の前の敵を睨み付けるように凝視するのだった。
◇◆◇◆◇
─────ウグイヴの砦のとある場所にて。
「なあ、こんなことはもうやめないか? 俺、もう堪えられないよ……………」
「───────は?」
ある男の言葉に、もう一人の男が不機嫌そうに顔を歪めた。どちらの男にも、エルフよりは長くないが、常人よりは長い耳を持っている。いわゆるハイエルフ族である。
「ひっ……………!? い、いや、これ以上やったら取り返しがつかないことに…………今まではどうにかして、ダンジョンの拡大を抑えていたよ。だけど、もうこれ以上は抑えられない。このままダンジョンが拡大し続ければ、諸国にも甚大な被害を与えることになるぞっ。が、外交問題になりかねない。そ、そんなことにでもなったら……………」
ハイエルフ族の法は厳しい。膨大な力を持つがゆえに、それを私利私欲のために振るう者が現れる。それを防ぐために。法を犯しでもしたら……………自分の命はもうないと思った方がいい。
「……………今さら後に引けるわけねえだろ。それに、これが終われば、金ももらえるし、あのくそ女ともおさらばだ。正直、俺だってあんなのと関わりたくねえ。今だって、こんなん放り出してえくらいだ……………」
「な、なら……………」
「だが、俺には家族がいる。お前だってそうだろう? ……………逃げるわけにはいかねえよ」
ちっ…………と舌打ちしながらそう言う男。あの女は、一言で言えば不気味。そして冷淡で残酷だ。二人の男の家族は、人質なのだ。束縛などはされていないが、逆らえば即座に殺す、と脅されたのだ。ただの脅しなら笑って流せたかもしれない。だが──────あの女は本気だったのだ。
「……………魔法陣なんか仕掛けやがってっ…………」
そう。魔力の扱いに長けているこの男ですらも分解出来ないような魔法陣を男達の家に設置し、逆らえば爆破する、と言われたのだ。そうまでされれば、逃げることもできない。─────やるしかないのだ。
「止まれ、止まってくれ………………!! 頼む……………」
魔力で写し出されたある映像を見ながら、ただ祈るばかりであった。
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