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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

汚濁竜から得た物《スキル》

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「要するに、ダンジョンの中心部にあるコアをどうにかすれば収まるんじゃないかということですね?」


「コアはダンジョンの中心…………たとえ、コアに原因がなくても、元を辿れば分かる……………」


 カッコつけてそう言うワチ。わざわざそうまでして、カッコよく思われたいのだろうか。


「ワチにしては、中々いいこと言うじゃない。そう。ダンジョンコアに行けば、何か手がかりを得られるかもだしね。レクスの言う通り、ダンジョンコアが原因だったら、それをどうにかしちゃえば良いだけなんだけど」


 ミドクは苦笑しながらそう言った。─────と。


「おい、魔物が来るぞ。……………数がやけに多いな…………。八か九ってところだ」


 フウシはそう言った。フウシのスキル『温度感知』によるものだ。『温度感知』は案外便利なもので、色々と応用が利くのだ。


「確かに、この時間帯にしては多いね……………」


 この時間帯なら、階層ごとに三~四体くらいのポップ率のはず。それがその倍近くの魔物の数。やはり、ウグイヴの砦は年々暴走が悪化しているようだ。


「ほ、本当にいた……………」


 レクス達が曲がり角を曲がったところで、イルミがそう呟いた。イルミは魔力で魔物を感知することができないし、そういった系統のスキルも持っていない。あとでイルミに教えておいてもいいかもしれない、とレクスはそんなことを思った。


「どうしよう……………あれだけ多いと、分散させて倒したいところだけど、ここ、一本道だから出来ないんだよね…………唯一ある道が、あの魔物の群れの奥なんだよね…………」


 悩ましい表情のミドク。─────と。


「あの、ミドクさん。試したい事があるので、ここは任せてもらって良いですか?」


 レクスはミドクにそう提案した。ミドクは一瞬ためらったが、特にこれといった打開策も思い付かず、まあ、レクスなら大丈夫だろうということもあってレクスの提案を受け入れ、レクスに任せることにした。


(汚濁竜ダストドラゴンから得たスキル……………試させてもらうよ!)



「『濁煙ダストモウク』!」


 レクスがスキルを発動すると、レクスの目の前の魔法陣らしきものが現れ、そこから煙が魔物に向かって押し出されるように出ていく。


「ガアァ……………?」


 魔物──────ゴブリンとコボルトが合体したような特徴を持つ──────は、突如漂い始めた煙に疑問の声をあげると同時に、パタリ…………と泡を吹いて倒れた。


「おお、レクス凄い! 新しい魔法…………?」


 イルミが驚いたようにそう言う。魔法ではなくスキルなのだが…………。まあ、エキストラスキルもあまり隠す意味もなくなってきたし、話しても大丈夫かな…………なんてことを考える。


「…………って、ごめんごめん。聞くのはマナー違反だったわね」


 イルミは苦笑しながらそう言った。別に言っても良かったのだが……………特段話したいわけでもないし、頷いておくことにした。



(いやでも……………このスキルの効果を教えとかないとやばいことになる──────)


 そう思い立ったレクスだったが、既に手遅れだった。


「くっさ……………!?」


「ぐううぅぅ……………!? や、やばい……………」


「魔物の臭いでもない……………ということは」


 フウシはそう言いながら、レクスの方を向く。みんなもフウシにならってレクスの方を向いた。レクスは苦笑いしながら。


「すいません……………言い忘れてましたが、さっきのスキル、強烈な悪臭を放つスキルなんです…………。臭いのは分かってましたが、まさかここまで臭いとは思いませんでした……………す、すいません……………」


 申し訳なさそうに謝った。この後、レクス以外、吐き気を催し、幸い吐くのだけは免れたそうだ。レクスは、このスキルは封印しよう、と内心決意したのだった。
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