319 / 454
8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
汚濁竜から得た物《スキル》
しおりを挟む
「要するに、ダンジョンの中心部にあるコアをどうにかすれば収まるんじゃないかということですね?」
「コアはダンジョンの中心…………たとえ、コアに原因がなくても、元を辿れば分かる……………」
カッコつけてそう言うワチ。わざわざそうまでして、カッコよく思われたいのだろうか。
「ワチにしては、中々いいこと言うじゃない。そう。ダンジョンコアに行けば、何か手がかりを得られるかもだしね。レクスの言う通り、ダンジョンコアが原因だったら、それをどうにかしちゃえば良いだけなんだけど」
ミドクは苦笑しながらそう言った。─────と。
「おい、魔物が来るぞ。……………数がやけに多いな…………。八か九ってところだ」
フウシはそう言った。フウシのスキル『温度感知』によるものだ。『温度感知』は案外便利なもので、色々と応用が利くのだ。
「確かに、この時間帯にしては多いね……………」
この時間帯なら、階層ごとに三~四体くらいのポップ率のはず。それがその倍近くの魔物の数。やはり、ウグイヴの砦は年々暴走が悪化しているようだ。
「ほ、本当にいた……………」
レクス達が曲がり角を曲がったところで、イルミがそう呟いた。イルミは魔力で魔物を感知することができないし、そういった系統のスキルも持っていない。あとでイルミに教えておいてもいいかもしれない、とレクスはそんなことを思った。
「どうしよう……………あれだけ多いと、分散させて倒したいところだけど、ここ、一本道だから出来ないんだよね…………唯一ある道が、あの魔物の群れの奥なんだよね…………」
悩ましい表情のミドク。─────と。
「あの、ミドクさん。試したい事があるので、ここは任せてもらって良いですか?」
レクスはミドクにそう提案した。ミドクは一瞬ためらったが、特にこれといった打開策も思い付かず、まあ、レクスなら大丈夫だろうということもあってレクスの提案を受け入れ、レクスに任せることにした。
(汚濁竜から得たスキル……………試させてもらうよ!)
「『濁煙』!」
レクスがスキルを発動すると、レクスの目の前の魔法陣らしきものが現れ、そこから煙が魔物に向かって押し出されるように出ていく。
「ガアァ……………?」
魔物──────ゴブリンとコボルトが合体したような特徴を持つ──────は、突如漂い始めた煙に疑問の声をあげると同時に、パタリ…………と泡を吹いて倒れた。
「おお、レクス凄い! 新しい魔法…………?」
イルミが驚いたようにそう言う。魔法ではなくスキルなのだが…………。まあ、エキストラスキルもあまり隠す意味もなくなってきたし、話しても大丈夫かな…………なんてことを考える。
「…………って、ごめんごめん。聞くのはマナー違反だったわね」
イルミは苦笑しながらそう言った。別に言っても良かったのだが……………特段話したいわけでもないし、頷いておくことにした。
(いやでも……………このスキルの効果を教えとかないとやばいことになる──────)
そう思い立ったレクスだったが、既に手遅れだった。
「くっさ……………!?」
「ぐううぅぅ……………!? や、やばい……………」
「魔物の臭いでもない……………ということは」
フウシはそう言いながら、レクスの方を向く。みんなもフウシにならってレクスの方を向いた。レクスは苦笑いしながら。
「すいません……………言い忘れてましたが、さっきのスキル、強烈な悪臭を放つスキルなんです…………。臭いのは分かってましたが、まさかここまで臭いとは思いませんでした……………す、すいません……………」
申し訳なさそうに謝った。この後、レクス以外、吐き気を催し、幸い吐くのだけは免れたそうだ。レクスは、このスキルは封印しよう、と内心決意したのだった。
「コアはダンジョンの中心…………たとえ、コアに原因がなくても、元を辿れば分かる……………」
カッコつけてそう言うワチ。わざわざそうまでして、カッコよく思われたいのだろうか。
「ワチにしては、中々いいこと言うじゃない。そう。ダンジョンコアに行けば、何か手がかりを得られるかもだしね。レクスの言う通り、ダンジョンコアが原因だったら、それをどうにかしちゃえば良いだけなんだけど」
ミドクは苦笑しながらそう言った。─────と。
「おい、魔物が来るぞ。……………数がやけに多いな…………。八か九ってところだ」
フウシはそう言った。フウシのスキル『温度感知』によるものだ。『温度感知』は案外便利なもので、色々と応用が利くのだ。
「確かに、この時間帯にしては多いね……………」
この時間帯なら、階層ごとに三~四体くらいのポップ率のはず。それがその倍近くの魔物の数。やはり、ウグイヴの砦は年々暴走が悪化しているようだ。
「ほ、本当にいた……………」
レクス達が曲がり角を曲がったところで、イルミがそう呟いた。イルミは魔力で魔物を感知することができないし、そういった系統のスキルも持っていない。あとでイルミに教えておいてもいいかもしれない、とレクスはそんなことを思った。
「どうしよう……………あれだけ多いと、分散させて倒したいところだけど、ここ、一本道だから出来ないんだよね…………唯一ある道が、あの魔物の群れの奥なんだよね…………」
悩ましい表情のミドク。─────と。
「あの、ミドクさん。試したい事があるので、ここは任せてもらって良いですか?」
レクスはミドクにそう提案した。ミドクは一瞬ためらったが、特にこれといった打開策も思い付かず、まあ、レクスなら大丈夫だろうということもあってレクスの提案を受け入れ、レクスに任せることにした。
(汚濁竜から得たスキル……………試させてもらうよ!)
「『濁煙』!」
レクスがスキルを発動すると、レクスの目の前の魔法陣らしきものが現れ、そこから煙が魔物に向かって押し出されるように出ていく。
「ガアァ……………?」
魔物──────ゴブリンとコボルトが合体したような特徴を持つ──────は、突如漂い始めた煙に疑問の声をあげると同時に、パタリ…………と泡を吹いて倒れた。
「おお、レクス凄い! 新しい魔法…………?」
イルミが驚いたようにそう言う。魔法ではなくスキルなのだが…………。まあ、エキストラスキルもあまり隠す意味もなくなってきたし、話しても大丈夫かな…………なんてことを考える。
「…………って、ごめんごめん。聞くのはマナー違反だったわね」
イルミは苦笑しながらそう言った。別に言っても良かったのだが……………特段話したいわけでもないし、頷いておくことにした。
(いやでも……………このスキルの効果を教えとかないとやばいことになる──────)
そう思い立ったレクスだったが、既に手遅れだった。
「くっさ……………!?」
「ぐううぅぅ……………!? や、やばい……………」
「魔物の臭いでもない……………ということは」
フウシはそう言いながら、レクスの方を向く。みんなもフウシにならってレクスの方を向いた。レクスは苦笑いしながら。
「すいません……………言い忘れてましたが、さっきのスキル、強烈な悪臭を放つスキルなんです…………。臭いのは分かってましたが、まさかここまで臭いとは思いませんでした……………す、すいません……………」
申し訳なさそうに謝った。この後、レクス以外、吐き気を催し、幸い吐くのだけは免れたそうだ。レクスは、このスキルは封印しよう、と内心決意したのだった。
0
お気に入りに追加
8,242
あなたにおすすめの小説
幼なじみと共に異世界転生〜とあるハーレムパーティーでギルド活動録〜
卯ノ花
ファンタジー
この物語の主人公、剣地は幼馴染の成瀬と出かけていた。しかし、二人は鉄骨の落下事故に巻き込まれてしまい、命を落としてしまう。
命を落とした二人はあの世で神様という人物に話を聞き、あの落下事故は神様の運命操作のミスであることが判明。
生き返るにももう手遅れというわけで、二人は日本とは別の世界にあるペルセラゴンという魔法と科学が発達した世界に転生することとなった。
その後、お詫びとして二人は神様から超レアな武器やスキルを貰い、ペルセラゴンへ旅立つ。だが、ペルセラゴンに到着した直後、二人はゴブリンと遭遇し、戦う事になる。
戦いはすぐに終わったが、その時に近くの町に住む令嬢、ヴァリエーレと遭遇する。
その後、二人はヴァリエーレの協力の下、その町のギルドに入ることとなる。
それから、剣地は成瀬以外の異性と触れ合う事になる。
かなりドスケベな少女のエルフ、ルハラ。
転生した二人と初めて会った女騎士、ヴァリエーレ。
勇者の称号を持つ少女、ティーア。
寂れた魔界に住む魔王の少女、ヴィルソル。
彼らに待ち受ける戦いはどんなものなのか? 彼らの運命はどうなるのか? それは誰にも分からない。
2024.9/17【HOTランキング5位獲得作品】
もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ
中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。
※ 作品
「男装バレてイケメンに~」
「灼熱の砂丘」
「イケメンはずんどうぽっちゃり…」
こちらの作品を先にお読みください。
各、作品のファン様へ。
こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。
故に、本作品のイメージが崩れた!とか。
あのキャラにこんなことさせないで!とか。
その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)
【R18】らぶえっち短編集
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)
R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。
※R18に※
※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。
※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。
※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。
※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。
【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される
鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。
レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。
社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。
そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。
レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。
R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。
ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。