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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
寝静まった──────行くしかない
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「…………どうやら寝静まったようですね」
念のためばれないように、念には念を入れて二部屋隣を取って同じ宿に滞在していたイウティス。二部屋越しからでもエレナ達の声が聞こえてきていたが、それが全く聞こえなくなった。やるなら今しかない。
「ふぅー…………」
イウティスは自分の緊張を紛らわすために息を吐いた。いつもの自分らしくない。普段はないとこんなに緊張することなんてないのだ。今回は、難しいものであるがゆえに自分の臆病さや慎重さがより一層滲み出てしまっているのだろう。
「やるしかないんです、やるしか…………!」
自分に言い聞かせるようにそう言うイウティス。覚悟を決めたのか、ふっと短く息を吐いて。
「…………行きますか」
イウティスはそう言うと、自分の部屋を出ていった。
◇◆◇◆◇
「ここですね…………」
イウティスはそう呟くと、ドアを叩こうと──────
(って、危ない、危ない…………なんでドアをノックする必要があるんですか。危うくノックするところでした…………)
いつもの癖でドアを叩きそうになったイウティス。ここで丁寧にしても仕方がない。因みに、イウティスは部屋を出たときから『透明化』を使っている。自分の魔力に対して。魔力反応でばれる可能性が一番高いと考慮したからだ。
イウティスはギギギ…………と静かにドアを開けた。ドアの音が鳴っている間、見つかってしまうのではないかとひやひやした。
「う~ん…………」
部屋から誰かの声が聞こえた。急いでパッとドアを閉めるイウティス。
「お兄ちゃん…………えへへへ」
どうやら寝言だったらしい。イウティスはほっと息を吐くと、再度ドアを開けて侵入を試みる。
「……………………」
どうやら誰も起きていないようだ。無事、部屋に侵入できたらしい。例の『愛し子』はどこに…………。
(あそこですか………………)
イウティスの探し求めている愛し子────ルーパは、カレンの隣で寝ていた。位置的にも一番端なので、連れ去りやすい位置にいた。
(慎重にいかないとですね…………)
イウティスは出来るだけ足音を立てずにこっそり忍び寄る。飛行魔法でも使えればここまで苦労することもなかったのだが…………まあ、無い物ねだりをしても仕方あるまい。
こっそり、こっそりと近づいていく。あと少しで手が届く───────
パキッ
何かが折れる音がした。恐らく木の破片でも落ちていたのだろう。これはまずい。
「ん…………」
まずい、まずい…………! と内心焦るイウティス。しかし──────
(…………どうやら起きてないみたいですね)
エレナ達の様子を見て、そう言うイウティス。そして、今日何度目かわからない安堵の息を吐いた。
イウティスは、ルーパまで近づくとそっとルーパを持ち上げる。
「さてと…………ずらかりますか」
イウティスはそう呟くと、颯爽と部屋から出ていった。勿論、ドアも静かに閉めて。相変わらず、エレナ達は寝たままだ。
「早く届けないといけませんからね…………」
イウティスは静かに泊まっていた宿屋を後にしたのだった。
◇◆◇◆◇
──────翌朝。
「ん…………おはよう…………」
エレナは大きく伸びをしながら起き上がって、そう言った。みんな既に起きており、寝ているのはエレナだけだった。しかし、みんな表情が険しい。エレナはその理由をすぐに察した。
「…………ルーパは…………!?」
「──────多分、私達が寝ている間に連れ去られたのよ」
ミーシャがそう言ったのだった。
念のためばれないように、念には念を入れて二部屋隣を取って同じ宿に滞在していたイウティス。二部屋越しからでもエレナ達の声が聞こえてきていたが、それが全く聞こえなくなった。やるなら今しかない。
「ふぅー…………」
イウティスは自分の緊張を紛らわすために息を吐いた。いつもの自分らしくない。普段はないとこんなに緊張することなんてないのだ。今回は、難しいものであるがゆえに自分の臆病さや慎重さがより一層滲み出てしまっているのだろう。
「やるしかないんです、やるしか…………!」
自分に言い聞かせるようにそう言うイウティス。覚悟を決めたのか、ふっと短く息を吐いて。
「…………行きますか」
イウティスはそう言うと、自分の部屋を出ていった。
◇◆◇◆◇
「ここですね…………」
イウティスはそう呟くと、ドアを叩こうと──────
(って、危ない、危ない…………なんでドアをノックする必要があるんですか。危うくノックするところでした…………)
いつもの癖でドアを叩きそうになったイウティス。ここで丁寧にしても仕方がない。因みに、イウティスは部屋を出たときから『透明化』を使っている。自分の魔力に対して。魔力反応でばれる可能性が一番高いと考慮したからだ。
イウティスはギギギ…………と静かにドアを開けた。ドアの音が鳴っている間、見つかってしまうのではないかとひやひやした。
「う~ん…………」
部屋から誰かの声が聞こえた。急いでパッとドアを閉めるイウティス。
「お兄ちゃん…………えへへへ」
どうやら寝言だったらしい。イウティスはほっと息を吐くと、再度ドアを開けて侵入を試みる。
「……………………」
どうやら誰も起きていないようだ。無事、部屋に侵入できたらしい。例の『愛し子』はどこに…………。
(あそこですか………………)
イウティスの探し求めている愛し子────ルーパは、カレンの隣で寝ていた。位置的にも一番端なので、連れ去りやすい位置にいた。
(慎重にいかないとですね…………)
イウティスは出来るだけ足音を立てずにこっそり忍び寄る。飛行魔法でも使えればここまで苦労することもなかったのだが…………まあ、無い物ねだりをしても仕方あるまい。
こっそり、こっそりと近づいていく。あと少しで手が届く───────
パキッ
何かが折れる音がした。恐らく木の破片でも落ちていたのだろう。これはまずい。
「ん…………」
まずい、まずい…………! と内心焦るイウティス。しかし──────
(…………どうやら起きてないみたいですね)
エレナ達の様子を見て、そう言うイウティス。そして、今日何度目かわからない安堵の息を吐いた。
イウティスは、ルーパまで近づくとそっとルーパを持ち上げる。
「さてと…………ずらかりますか」
イウティスはそう呟くと、颯爽と部屋から出ていった。勿論、ドアも静かに閉めて。相変わらず、エレナ達は寝たままだ。
「早く届けないといけませんからね…………」
イウティスは静かに泊まっていた宿屋を後にしたのだった。
◇◆◇◆◇
──────翌朝。
「ん…………おはよう…………」
エレナは大きく伸びをしながら起き上がって、そう言った。みんな既に起きており、寝ているのはエレナだけだった。しかし、みんな表情が険しい。エレナはその理由をすぐに察した。
「…………ルーパは…………!?」
「──────多分、私達が寝ている間に連れ去られたのよ」
ミーシャがそう言ったのだった。
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