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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

遂に─────

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「『浄化貫通槍パーギングシュペーア』!」


 レクスの放った光の槍は、ミノタウロス目掛けて飛んでいく。ミノタウロスが闇属性だったり、悪魔と似たような体質なら、この一撃は有効打になりうるだろう。


「グッ…………!」


 ミノタウロスは、自らの前に障壁を展開する。『浄化貫通槍パーギングシュペーア』を防ごうと必死の形相だ。しかし、ガガガガガガガッ!!! と鳴り響く騒音の影響もあってか防壁がうまく機能せず、レクスの放った『浄化貫通槍パーギングシュペーア』を受け止めることができずに、割れてしまった。


「グガアアアァァァァ!?」


 心臓部に槍が刺さり、もがき苦しむミノタウロス。やがて、苦しい悲鳴をあげなくなり──────ニヤリ…………と嗤った。


「オマエモミチヅレニシテヤル…………」


 ミノタウロスは不気味な声でそう言うと、ミノタウロスを中心に黒いオーラのようなものが集まった。そして、毒池から何か浮かび上がってきた。それは──────


「─────鎌………!?」


 てっきり溶けたものかと思っていたが…………全く溶けていなかった。むしろ外装が変わっており、更に禍々しさが増していた。そう。ミノタウロスは、偶然毒池に鎌を落とした訳ではない。全て計算し尽くした上での行動だ。ミノタウロスが偶然落とすなんてそんなバカな真似はしない。そして、その鎌は徐々にミノタウロスのもとへ。


「まずい…………!」


 レクスは、ミノタウロスの周囲に集まる黒いオーラのようなものを見て焦りを覚えた。

 レクスは『守る』で障壁を何重にも展開した。しかし、何重も展開していれば障壁の強度も展開するほど落ちる。これでは足りない。


 レクスは更に魔力のほとんどを精力に変換し、障壁を作成。そして、丁度全ての精力を使い終えたその時─────


「──────『終焉ノ鎌フィナーレ』」


 ミノタウロスをも巻き込んで爆散する鎌。その鎌の爆発力はレクスの想像を遥かに越えていた。次々と粉々に砕けていく障壁。


「くっ…………ああああぁぁぁぁぁ!!」


 レクスは踏ん張る。ここでみんなを死なせる訳にはいかない。レクスが死んだら、エレナが居場所を失うことになるし……何よりもレクスの死にみんながからだろう。それだけは決してあってはならない。


「このままじゃっ…………!」


 破られる…………! そう思った時─────





パキ…………パキパキパキパキ!





 障壁に徐々に亀裂が入り──────




パキイイイィィィ──────ン!!






 そして、割れた。



(せめて、みんなだけでも─────)



「『強風ストロングウィンド』!!」


 レクスは半ば強引にエレナ達を爆発エリアよりも外へと押し出した。


「くそっ…………!」


 『守る』でもう一度障壁を展開するが、やはり間に合わないようだ。障壁を展開するもサイズが小さく強度も脆いのですぐにパキイイイィィィン! と割れてしまった。


「うわあああぁぁぁ!?」


 レクスの叫び声が木霊した。レクスは爆発に巻き込まれ、そのまま吹き飛んでいった。エレナ達も、爆風に巻き込まれて更に吹き飛ばされた。


 やがて、爆発音もおさまり、視界も晴れてくる。すぐに立ち上がったエレナ達は信じられない惨状を目にした。それは──────


「…………レクス!!」


 血まみれで、所々に黒いアザを残し、服もボロボロに破けながら倒れ伏しているレクスの姿があった。
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