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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

冒険者ギルド─────ではなく

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「エレナ~、なーに朝からラブラブしてんのよ」


 ミーシャはニヤニヤしてそんなことを言う。ミーシャ達は、レクス達が抱き合って寝ているのを見てしまったのだ。勿論、ユキメウラとマリューシュ、イスメラも目撃してしまっている。


「…………うぅ……………」


 エレナの顔は、ゆでダコの如く真っ赤である。今にも爆発しそうなくらい。


「レクスも一緒だったら、もっと面白かったのにね」


 カレンがそんなことを言う。レクスは、逃げるように領主の仕事の方に行ってしまったため、今日はエレナ達だけで街中を歩いているのだ。



「なぁ、お嬢ちゃん達、俺達とちょっと遊ばねえか?」


「はあ? 誰が悲しくて貴方達と遊ばなきゃなんないの?」


 ミーシャは顔に思いっきり嫌そうな表情を浮かべてそう言った。こうして街中で堂々とナンパ? している辺り、相当バカそうだ。男達は、当然怒る。


「ほう…………? Bランク冒険者の俺達に向かってそんな口聞けるたぁなぁ……………いい度胸じゃねえか。後悔しても知らねえよ?」


「ええ、どうぞ、御勝手に。でも、後悔するのはそっちだけど」


「んだと、ごら!!」


 男達は、素手で殴りかかった。手元に武器があるのにそれを使わないのは、最低限の配慮といったところだろうか? それとも、単に男達がバカなのか。


「ねえねえ、喧嘩売ってるわよ。あいつら」


「きっと余所者なんだろう。仕方ねえさ」


 男達に哀れみの目線が向けられた。普通ならミーシャ達に向けられてもおかしくはないのだが。知っているのだ、ここにいる人達は、ミーシャ達の強さを。



ドゴッ、バキッ、ドゴッ!




「ぐえ!?」


「あがぁ!?」


「ぐおおぉぉ…………」


 あまりに呆気ない幕引きだった。男達は、ミーシャに顎を殴られて一撃で気絶した。間抜けな姿をさらした男達。もう二度と、ここはうろつけまい。


「ふん、たかがBランク冒険者に後れを取るわけがないじゃない」


 バカにしたように鼻で笑うと、気絶した男達をそこら辺に蹴飛ばしておいた。余程気に食わなかったのだろう。


「行こ」


 ミーシャの声に、皆はそのままその場を後にした。



◇◆◇◆◇


「ここが錬金術師ギルド…………で間違いないはずよ」


 ドワーフの時みたいに、看板詐欺が無ければだけど。


「す、凄い…………」


「わぁ~…………」


「錬金術師のギルド……なのよね? もっと小さいものかと思ったけど、でかいのね…………」


 マリューシュ、イスメラ、ユキメウラは、驚きながらそう呟いた。『ヘミスフィア』は、小さな冒険者ギルドしかないので、このようにでかいギルドは初めてなのだ。

 今回は、マリューシュとイスメラたっての希望なので、ここに来ている。



「……………入ろう………」


 エレナはそう言って先を促す。気のせいか、瞳がキラキラしている。


 ミーシャが錬金術師ギルドのドアを開けると、そこには静かな雰囲気が漂っていた。カフェのような心地のいい静けさ…………ではなく、いてはいけないような気まずい静けさだ。


「ねえ、マリューシュ、イスメラ。登録してくの?」


「もちろん。また来るつもりだから」


「もちろん………」


 小声でそんな会話をかわすマリューシュ、イスメラとミーシャ。ミーシャの目の先には、ギルドの受付嬢らしき人物がいた。ミーシャ達は、その人物のもとまでいく。魔法使いがよく被るような帽子を深く被っているので、顔はよく見えない。


「ふひひひ…………いらっしゃい」


 第一声で確信した。これはヤバい奴だと。


「ね、ねえ、マリューシュ、イスメラ。本当に登録するの?」


「? するけど?」


「どうしたの…………?」


 不思議そうな顔をする2人。もしかすると、そこら辺の感覚が少し違うのかもしれない。


 ミーシャはそんな2人に溜め息をつきながらも苦笑するのだった。



 





 







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