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7章 旅行先で
アリリルも一緒に
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─────翌日、朝。
レクス達は、街中を歩いていた。既に朝食は済ませており、今日もアリリルの食いっぷりが凄かった。
「アリリル、僕達の屋敷まで来ない?」
「屋敷? レクス、そんなにでかい家持ってるの?」
アリリルは驚いたように目を見開いてそう言った。
まあ、本当は辺境伯なんだけど…………これは伏せておいた方がいいよね。言ったところで、変に遠慮されても困るし。
「うん、セレニア皇国にあるんだけど、部屋がいくつか余っちゃってるし、どうかなって」
アリリルにとっては、魅力的な提案ではあったが、少し考え込む。
レクスの目を見る限り、嘘を言っているようには思えない。アリリルとしても、そこは信用できる。しかし、悩んでいるのはそこではない。
「…………ごめん、ちょっと考えさせて」
悩んだ末に、保留にした。アリリルとしては、将来的に自分で生活したいと思っている。そのために冒険者ギルドにっておきたい。今のアリリルの年齢であれば、問題はない。しかし、技術とステータスが足りないのだ。今の体力では、帰ってくる度に一苦労しなければならない。
「………分かったよ。まあ、アリリルにはアリリルの考え方があるだろうしね」
レクスはそれ以上は深く追求しなかった。
「ねえねえ、レクス。取り敢えず、ダンジョンにいかない? 取りたい鉱石とかあるんでしょ?」
「行きたいのは山々だけど…………」
チラッとアリリルを見るレクス。レクスとしては、深層まで潜りたいのだが、アリリルに危険が伴う。行っても始めの方の階層までしか行けない。
「アリリルの事なら、私達が見ておくから。ね?」
ミーシャは皆に同意を求めるように視線を送った。みんな、ミーシャの意図を汲み取って頷く。
「我も鉱石を取りに行きたいのだ!」
しかし、ティーナを除いてだが。
「じゃあ、ティーナとレクスの2人で行って来ればいいわ」
ミーシャがそう言った。
というわけで、鉱石が取れるドワーフ国有数のダンジョンに行くことになった。
◇◆◇◆◇
「うわっ…………上が見えないね、これは……」
外からダンジョンを見上げると、天を貫くかのようにして高く伸びている。
「冒険者カードを見せてくれ」
遂にレクス達の番が来た。さっきから冒険者のつくる列に並び、待っていたのだ。4ヶ所くらい受付があったのだが、どこも長蛇の列で、順番が来るまでに時間がかかってしまった。
「はい、これです」
レクスはエレナ達から冒険者カードをもらってまとめて出した。
「あれ? 6人とそこの従魔の分しかないけど…………嬢ちゃん、冒険者カードは?」
「………………持ってない」
その発言にレクス達はしまった、と思った。冒険者カードがあるか聞くのを忘れていた。
この後、冒険者ギルドカードを急いで取得しに行き、再び並び直したという。全部で1時間と少しロスした。
◇◆◇◆◇
レクス達は、無事に受付を済ませてダンジョンに入った。今は5階層にいる。このダンジョンは未だに何階層あるか分からないそうだ。
受付のゴツい男の人は先程も冒険者カードを見たはずなのに、レクス達のカードを見て目がこれでもかとというぐらい飛び出て、驚いていた。何でも、さっきはよく見てなかったらしい。
『坊主なら、今の最高記録の136階層を更新できるかもな!』
そう言われた事が記憶に新しい。
因みに、アリリルはDランクである。
「じゃあ、僕達は奥に行ってくるよ」
「………………気をつけて………。…………レクスとティーナの事だから、大丈夫だとは……思うけど…………」
エレナはそんなことを口にした。
「うん、いろんな鉱石を取ってくるよ」
「わーー! ここにも、あそこにも! 光るものが一杯なのだ!!」
2人とも、魔物より鉱石の方に目がいっているようであった。エレナは2人の様子を見て、苦笑していた。
そのまま奥に入っていく2人を見送った。
「さてと…………行ったようね」
ミーシャはそう呟きながら、アリリルを見て、何かを企んでいるかのような笑みを浮かべるのだった。
レクス達は、街中を歩いていた。既に朝食は済ませており、今日もアリリルの食いっぷりが凄かった。
「アリリル、僕達の屋敷まで来ない?」
「屋敷? レクス、そんなにでかい家持ってるの?」
アリリルは驚いたように目を見開いてそう言った。
まあ、本当は辺境伯なんだけど…………これは伏せておいた方がいいよね。言ったところで、変に遠慮されても困るし。
「うん、セレニア皇国にあるんだけど、部屋がいくつか余っちゃってるし、どうかなって」
アリリルにとっては、魅力的な提案ではあったが、少し考え込む。
レクスの目を見る限り、嘘を言っているようには思えない。アリリルとしても、そこは信用できる。しかし、悩んでいるのはそこではない。
「…………ごめん、ちょっと考えさせて」
悩んだ末に、保留にした。アリリルとしては、将来的に自分で生活したいと思っている。そのために冒険者ギルドにっておきたい。今のアリリルの年齢であれば、問題はない。しかし、技術とステータスが足りないのだ。今の体力では、帰ってくる度に一苦労しなければならない。
「………分かったよ。まあ、アリリルにはアリリルの考え方があるだろうしね」
レクスはそれ以上は深く追求しなかった。
「ねえねえ、レクス。取り敢えず、ダンジョンにいかない? 取りたい鉱石とかあるんでしょ?」
「行きたいのは山々だけど…………」
チラッとアリリルを見るレクス。レクスとしては、深層まで潜りたいのだが、アリリルに危険が伴う。行っても始めの方の階層までしか行けない。
「アリリルの事なら、私達が見ておくから。ね?」
ミーシャは皆に同意を求めるように視線を送った。みんな、ミーシャの意図を汲み取って頷く。
「我も鉱石を取りに行きたいのだ!」
しかし、ティーナを除いてだが。
「じゃあ、ティーナとレクスの2人で行って来ればいいわ」
ミーシャがそう言った。
というわけで、鉱石が取れるドワーフ国有数のダンジョンに行くことになった。
◇◆◇◆◇
「うわっ…………上が見えないね、これは……」
外からダンジョンを見上げると、天を貫くかのようにして高く伸びている。
「冒険者カードを見せてくれ」
遂にレクス達の番が来た。さっきから冒険者のつくる列に並び、待っていたのだ。4ヶ所くらい受付があったのだが、どこも長蛇の列で、順番が来るまでに時間がかかってしまった。
「はい、これです」
レクスはエレナ達から冒険者カードをもらってまとめて出した。
「あれ? 6人とそこの従魔の分しかないけど…………嬢ちゃん、冒険者カードは?」
「………………持ってない」
その発言にレクス達はしまった、と思った。冒険者カードがあるか聞くのを忘れていた。
この後、冒険者ギルドカードを急いで取得しに行き、再び並び直したという。全部で1時間と少しロスした。
◇◆◇◆◇
レクス達は、無事に受付を済ませてダンジョンに入った。今は5階層にいる。このダンジョンは未だに何階層あるか分からないそうだ。
受付のゴツい男の人は先程も冒険者カードを見たはずなのに、レクス達のカードを見て目がこれでもかとというぐらい飛び出て、驚いていた。何でも、さっきはよく見てなかったらしい。
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そう言われた事が記憶に新しい。
因みに、アリリルはDランクである。
「じゃあ、僕達は奥に行ってくるよ」
「………………気をつけて………。…………レクスとティーナの事だから、大丈夫だとは……思うけど…………」
エレナはそんなことを口にした。
「うん、いろんな鉱石を取ってくるよ」
「わーー! ここにも、あそこにも! 光るものが一杯なのだ!!」
2人とも、魔物より鉱石の方に目がいっているようであった。エレナは2人の様子を見て、苦笑していた。
そのまま奥に入っていく2人を見送った。
「さてと…………行ったようね」
ミーシャはそう呟きながら、アリリルを見て、何かを企んでいるかのような笑みを浮かべるのだった。
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