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6章 突如、領地経営へ

異種族来訪

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「お姉さま、今日も愛しの妹、メアが遊びに来ましたよ~!」



 フィアの屋敷とレクスの屋敷を繋げてからというもの、メアは毎日のようにフィアの元へ、遊びに来ていた。




「メア…………毎日遊びに来てる気がするんだけど………。っていうか、執務はちゃんとこなしてるの?」




「は、はい、ちゃんとこなしていますよ」



 しどろもどろになりながらもそう言うメア。




「こなしてないわね。全く……………ほら、手伝ってあげるから。ちゃっちゃとやるわよ」




「お姉さま、優しいですっ。そういうところも大好きです!」




 フィアがはいはい、と適当に流しながらゲートに入っていき、その後にメアもゲートを潜っていった。




「本当に仲の良い姉妹だね…………」



「………………うん…………」



「そうね」





 その様子を見ていたレクス達は、苦笑混じりにそう言ったのだった。



◇◆◇◆◇


「あ、あれは、まさか…………」



「ああ………間違いねぇ…………! あれは────ダークエルフ族とセイレーン族じゃねえか!」




 2人の門番の目先には、そこそこの数のダークエルフ族と、多数のセイレーン族がいた。セイレーン族は、耳の部分が少し青みがかったヒレのような形なので、直ぐに分かる。



「ちょっ、ちょっと領主様に知らせて来る!!」




 衛兵の内の一人がそう言って、颯爽と駆け出していった。




「え? ………………え!?」



 残された衛兵が、異種族の来訪にどう対応すればいいか、戸惑っていた。



◇◆◇◆◇


「領主様! 大変です!」




 急いで執務室のドアを開けるなり、そう言う衛兵。




「………………どうしたの?」





 衛兵のただ事ではない様子に、事の深刻さを悟ったレクスは、真剣な顔つきで尋ねる。





「────ダ、ダークエルフ族と、セイレーン族が只今このレクス区の門まで来ております!!」




「ダークエルフ族にセイレーン族ね……………」





 なんでこのタイミングで訪れたのかは知らないけど、実際に会ってみないと、何とも言えないね。




「分かった。直ぐに向かおう」



「…………私達も行く………………」




 声のした方を見れば、既に身支度を終えたエレナ達がいた。



「うん、分かった」




 レクスは頷いてそう言うと、身支度を整えて門へと向かうのだった。



◇◆◇◆◇


「りょ、領主様! 丁度良いところに!!」



 衛兵が今にも泣きそうな顔だった。そして、確かに門の前にはダークエルフ族とセイレーン族がいた。





「この人達、領主様に会いたいらしくて…………」



「僕に?」




 なるほど…………敵意は一切感じられないね。敵意があったらどうしようかと思ったけど…………大丈夫そうだね。





「貴方様が、ここの領主様であらせられますか?」



「え、ええ。そうですが…………」



「そうでしたか。私はセイレーン族の首長、メラルオリニアと申します。以後、お見知りおきを」




 丁寧に頭を下げるメラルオリニア。───と。




「─────ロゼールじゃないか!」



 声のした方には、カレン────本当の名前はロゼール────とも交流のあった友達であるルーティーだ。普段は、部下と上司の関係だった。



「げっ…………」




 カレンは、嫌そうな顔をした。自分の名前を堂々とばらしたからだ。可愛らしくもない、男っぽい名前を。





「ロゼール? それは一体─────」




「─────ああ、そんな目で私を見ないで!」






 レクスの言葉に食い気味にそう叫ぶルーティー。見れば、ハァ、ハァと興奮していた。どうやら、彼女は嬉しかったらしい。目にはハートマークが浮かんでいた。




「ロ、ロゼール! 久しぶりに会ったんだ! 少し話がしたい!!」




「うげぇ……………」




 ルーティーの変わりように、カレンは引いてしまった。




「……………カレンさん。話してきたらどう?」



「………………うんうん…………」



 レクスの後ろで、エレナ達も頷いていた。




 うーん…………と考え込むカレン。しかし、無下には出来ないと判断したのか、渋々だが話をすることにした。




「全く……………会話の途中に大声を出すなど、はしたない。ところで、改めまして領主様。貴方にお願いがあって参りました」



「何でしょう?」




「貴方とけっこ────げふんげふん、間違えました。ここで、水産物の販売と水商売をしたく存じます。水商売は、ダークエルフ族の方達が希望しておられます」




 今結婚って言ったような…………まあいいや。




「水産物っていうと、魚とか貝とかですね。水商売は…………水を売るんですか?」




「違いますよ、領主様。水商売っていうのはですね─────」




 レクスに水商売とはどういうものか、こっそり耳打ちした。




「~~~~~~っ!」





 レクスの顔がみるみる内に真っ赤になっていった。それを見たメラルオリニアは、いたずら好きな笑みを浮かべていた。






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