59 / 454
4章 学園編
月日は流れーーーー
しおりを挟む
あの騒動から、約2年の月日が流れた。この2年間、特に騒動が起こることはなく、平和だった。そして、今日はーーーー。
「お兄ちゃん…………緊張する………」
「大丈夫だよ、ミアならきっと良い職をもらえるから」
「うぅ…………。そうかなぁ?」
そう。今日はミアの適正検査の日なのだ。今はそのために教会に向かっている。クジャ村の時には、鑑定士が派遣されたが、王都などの都市では、教会の鑑定士に見てもらうのが一般的だ。
「大丈夫よ、ミアなら」
「……うん………………」
珍しく、励ましの言葉をかけるミーシャ。エレナもミアなら大丈夫、と握り拳で頷いた。
「着いたよ」
「ここが教会……………でかいね」
そこには、まるで城のように巨大な建物が聳え立っていた。
「準備はいい?」
「う、うん………………」
「じゃあ、入るよ」
レクスはそう言うと、教会のドアを開いた。教会の中は、街の中よりも静かであり、どこか神聖な雰囲気さえ感じる。
「ようこそ当教会へお越しくださいました。お布施ですか? 入会ですか?」
ここの教会は、王都でメジャーの『イクエール教』のものだ。基本的に、どんな人に対しても差別することはない。
「じゃあ、入会でーーーーって違います! 今日はこの子、ミアの適正検査をしに来たんです」
「そうでしたか。チッ…………」
なに、このシスターさん。舌打ちしたんですけど…………。
「それでは、『鑑定士』を呼んで参りますので、少々お待ちください」
シスターは、先程の態度から一転、笑顔で一礼してその場を後にする。
暫くすると、別の女性の『鑑定士』を連れて戻ってきた。その女性は、淡紅藤色のロングヘアーに白いローブを着ており、頭にはスクエアキャップを被っている。
「こちらが『鑑定士』の…………」
「ライトナーよ。宜しくね?」
ライトナーはウィンクしながらそんなことを言った。それは、レクスに向けられている。
「………………色目使ってんじゃねえよ。このババアがっ」
シスターがケッと吐き捨てるように言った。
「………………誰がババアだって? 私はまだピチピチの26歳よ!」
ライトナーがそう叫ぶと、今度は何かに気づいたように顔をニヤリと綻ばせた。
「…………あんた、さては嫉妬でもしてるんでしょ?」
ライトナーは豊満な胸を強調しながらそう言った。シスターには…………それは無理だった。
「ああ? 誰が嫉妬だ……………」
「あのー…………大丈夫ですか?」
「「あ、はい! 大丈夫です!」」
レクスが声をかけた途端、2人とも同時に反応した。
「そ、そうですか…………。では、こちらのミアの『鑑定』をお願いします」
◇◆◇◆◇
「うぅ…………」
「ミア、大丈夫だよ。ミアなら絶対いい職業に就けるって」
ほら、とレクスはポンと背中を押す。ミアは覚悟を決めたようで、ライトナーの元へ。
「よ、宜しくお願いします!」
「オッケー。じゃあ、始めるわよ~」
ライトナーはそう言うと、詠唱し始める。
「彼のものを見通す力を…………『鑑定』!」
ライトナーの前にミアのステータスが現れた。
ミア Lv.1 職業:『召喚師』
HP 2067/2067
MP 5684/5684
攻撃力 1786
防御力 2154
知力 4325
素早さ 2543
スキル
『従魔召喚Lv.1』
アビリティ
なし
「ミアさんの職業はーーーー『召喚師』です」
「『召喚師』っていうと…………『従魔師』の上級職の?」
「ええ、そうです」
ライトナーがレクスの言葉に頷いた。
「やったね、ミア!」
「ミア、良かったじゃない」
「………良かったね…………」
3人とも、ミアが上級職であったことを喜んだ。レクスは表面上は平静を装っていたが、内心物凄くホッとしていた。自分と同じ『無職』にだけはなってほしくなかったからだ。
「むぅ~…………お兄ちゃんに養ってもらう予定だったのにっ」
当のミアは不満そうだが。
こうして、ミアの適正検査は特に何事もなく終わったのだった。
「お兄ちゃん…………緊張する………」
「大丈夫だよ、ミアならきっと良い職をもらえるから」
「うぅ…………。そうかなぁ?」
そう。今日はミアの適正検査の日なのだ。今はそのために教会に向かっている。クジャ村の時には、鑑定士が派遣されたが、王都などの都市では、教会の鑑定士に見てもらうのが一般的だ。
「大丈夫よ、ミアなら」
「……うん………………」
珍しく、励ましの言葉をかけるミーシャ。エレナもミアなら大丈夫、と握り拳で頷いた。
「着いたよ」
「ここが教会……………でかいね」
そこには、まるで城のように巨大な建物が聳え立っていた。
「準備はいい?」
「う、うん………………」
「じゃあ、入るよ」
レクスはそう言うと、教会のドアを開いた。教会の中は、街の中よりも静かであり、どこか神聖な雰囲気さえ感じる。
「ようこそ当教会へお越しくださいました。お布施ですか? 入会ですか?」
ここの教会は、王都でメジャーの『イクエール教』のものだ。基本的に、どんな人に対しても差別することはない。
「じゃあ、入会でーーーーって違います! 今日はこの子、ミアの適正検査をしに来たんです」
「そうでしたか。チッ…………」
なに、このシスターさん。舌打ちしたんですけど…………。
「それでは、『鑑定士』を呼んで参りますので、少々お待ちください」
シスターは、先程の態度から一転、笑顔で一礼してその場を後にする。
暫くすると、別の女性の『鑑定士』を連れて戻ってきた。その女性は、淡紅藤色のロングヘアーに白いローブを着ており、頭にはスクエアキャップを被っている。
「こちらが『鑑定士』の…………」
「ライトナーよ。宜しくね?」
ライトナーはウィンクしながらそんなことを言った。それは、レクスに向けられている。
「………………色目使ってんじゃねえよ。このババアがっ」
シスターがケッと吐き捨てるように言った。
「………………誰がババアだって? 私はまだピチピチの26歳よ!」
ライトナーがそう叫ぶと、今度は何かに気づいたように顔をニヤリと綻ばせた。
「…………あんた、さては嫉妬でもしてるんでしょ?」
ライトナーは豊満な胸を強調しながらそう言った。シスターには…………それは無理だった。
「ああ? 誰が嫉妬だ……………」
「あのー…………大丈夫ですか?」
「「あ、はい! 大丈夫です!」」
レクスが声をかけた途端、2人とも同時に反応した。
「そ、そうですか…………。では、こちらのミアの『鑑定』をお願いします」
◇◆◇◆◇
「うぅ…………」
「ミア、大丈夫だよ。ミアなら絶対いい職業に就けるって」
ほら、とレクスはポンと背中を押す。ミアは覚悟を決めたようで、ライトナーの元へ。
「よ、宜しくお願いします!」
「オッケー。じゃあ、始めるわよ~」
ライトナーはそう言うと、詠唱し始める。
「彼のものを見通す力を…………『鑑定』!」
ライトナーの前にミアのステータスが現れた。
ミア Lv.1 職業:『召喚師』
HP 2067/2067
MP 5684/5684
攻撃力 1786
防御力 2154
知力 4325
素早さ 2543
スキル
『従魔召喚Lv.1』
アビリティ
なし
「ミアさんの職業はーーーー『召喚師』です」
「『召喚師』っていうと…………『従魔師』の上級職の?」
「ええ、そうです」
ライトナーがレクスの言葉に頷いた。
「やったね、ミア!」
「ミア、良かったじゃない」
「………良かったね…………」
3人とも、ミアが上級職であったことを喜んだ。レクスは表面上は平静を装っていたが、内心物凄くホッとしていた。自分と同じ『無職』にだけはなってほしくなかったからだ。
「むぅ~…………お兄ちゃんに養ってもらう予定だったのにっ」
当のミアは不満そうだが。
こうして、ミアの適正検査は特に何事もなく終わったのだった。
1
お気に入りに追加
8,241
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。