4 / 57
1章 王宮編
訓練。そして、初の大迷宮。ー1
しおりを挟む
俺たちは今王宮の謁見の間にいる。国王陛下が昨日話せなかったことを今日話すために、ここに皆を集めたらしい。目の前には、言わずもがな、国王陛下が一段高い場所に置いてある椅子に座っており、今からその話したいことを話そうとしている。
「……ソナタたちに伝え忘れていたことがあった。それは、ここにソナタたちを召喚した目的じゃ」
……ああ、そういえばそうだな。まだ俺たちが召喚された目的とやらを聞いてない気がする。
昨日は自分のチートぶりに大発狂していたので、その事がすっぽりと頭の中から抜け落ちていたようだ。
「儂がソナタたちを召喚した目的は、今この世界で起こっている争いを止めて欲しいのじゃ」
「争い?」
誰かが疑問の声をあげる。
「……ああ、争いというのは、人間と他種族との争いのことじゃ」
この世界には10種類の種族がいる。天使族、吸血族、海人族、エルフ族、巨人族、竜族、魔族、不死族、神獣族、獣人族である。これらの種族は亜人族と呼ばれている。人間の奴隷にされている亜人族もおり、争いが絶えないのも仕方ないだろうと思う。でも、この世界に来て争いというものを目撃したことがないんだが……まあ、でも昨日は疲れ切っていて王宮の各々にあてがわれた部屋にこもりっぱなしだったから知らないだけだ。後から聞いた話だが、俺たちはこの世界の人間族たちよりも能力値が数倍高いらしく、スキルも幾分か強力になっているらしい。それでも、ステータスの最高値は2500だとか。
「人間族はほとんどの亜人族と敵対している。この争いを止めるためには、ソナタらの助けが、力が必要なのだ。どうか……どうか……! 我らに力を貸してくれ……!」
国王陛下が必死に懇願している。だが、蓮斗には妙に引っ掛かることがあった。だが、些細なことなので頭の片隅に留めておいた。
「……はい。おまかせください」
高峰が代表して答えた。
「そうか……。ありがとう。勇者殿」
国王陛下がホッとしたような笑みを浮かべた。その時レミリーと国王陛下の瞳に暗い炎が宿っているのに気づいたのは蓮斗だけだった。
「訓練?」
「はい。あなた方には訓練を受けてもらいます」
謁見の間を後にした俺たちは、王宮の長い廊下みたいなところを歩きながら、レミリーから訓練についての説明をうけていた。
「あなた方は今のままでは、他種族に力では劣っていなくとも技術で劣り、負けてしまいます。あなた方はまだこの世界に来てから1日しか経っていないのもあって、魔法の扱いや剣術には慣れていないでしょう。それを訓練で解消するのです」
「はあ……。なるほど」
今受け答えしているのも当然高峰だ。
「具体的なことは騎士団団長から聞いてください……。着きました。ここが訓練場です」
そう言ってレミリーは目の前にたたずんでいる巨大な鉄の扉を指差した。
「中に騎士団団長と他の騎士団員たちもいると思いますので、指示に従ってください」
そう言いながらレミリーは重そうな鉄の扉を開け、中に入るよう俺たちに促した。
中に入ると騎士の甲冑を身につけた人たちが数人待ち構えていた。訓練場の中は殺風景で余計なものが何一つ無かった。壁もなんだかとても分厚そうだった。しばらくすると、騎士団の中から一人いかにもベテラン感じの男の騎士が前に進み出てきた。
「よくお越しくださいました。私は騎士団団長のレギーロ・ルアモンテです」
……この人が騎士団団長か。なんか、纏ってるオーラがすごい……。
俺はそんな感想を抱いた。口調こそ丁寧なものの、全身から放つオーラが他の団員とは一線を画している。
「……では、私はこれで。健闘をいのります」
そう言うと王女は元来た道を引き返していった。騎士団団長を含め団員が皆王女に敬礼した。しばらくして、王女の姿は見えなくなり、団員は皆敬礼を解いた。
「では、早速訓練を開始しましょう。5班に別れてください。各班に団員が一人つきます。訓練の説明はその団員から聞いてください」
団長にそう指示され、それぞれの班に別れて訓練を開始したー。
ー訓練を開始してから14日後ー
「今日の訓練は大迷宮に潜りたいと思います。目標は、二十階層くらいですが……。何か質問のある人は?」
「……どこの迷宮に潜るんですか?」
誰かが疑問の声をあげた。
「ああ、すみません。言ってませんでしたね。初心者向けの迷宮のアリスレナ大迷宮です。……初心者向けとは言っても下に行けば行くほど難しくなります。因みに、100階層まであります。今の君たちだと……40階層が限界だと思います。…皆さんいく準備が終わり次第、王宮の外にある門の近くに集まって下さい」
「「「「はい!」」」」
こうして、俺たちの初の大迷宮での訓練が幕を開けた。
「……ソナタたちに伝え忘れていたことがあった。それは、ここにソナタたちを召喚した目的じゃ」
……ああ、そういえばそうだな。まだ俺たちが召喚された目的とやらを聞いてない気がする。
昨日は自分のチートぶりに大発狂していたので、その事がすっぽりと頭の中から抜け落ちていたようだ。
「儂がソナタたちを召喚した目的は、今この世界で起こっている争いを止めて欲しいのじゃ」
「争い?」
誰かが疑問の声をあげる。
「……ああ、争いというのは、人間と他種族との争いのことじゃ」
この世界には10種類の種族がいる。天使族、吸血族、海人族、エルフ族、巨人族、竜族、魔族、不死族、神獣族、獣人族である。これらの種族は亜人族と呼ばれている。人間の奴隷にされている亜人族もおり、争いが絶えないのも仕方ないだろうと思う。でも、この世界に来て争いというものを目撃したことがないんだが……まあ、でも昨日は疲れ切っていて王宮の各々にあてがわれた部屋にこもりっぱなしだったから知らないだけだ。後から聞いた話だが、俺たちはこの世界の人間族たちよりも能力値が数倍高いらしく、スキルも幾分か強力になっているらしい。それでも、ステータスの最高値は2500だとか。
「人間族はほとんどの亜人族と敵対している。この争いを止めるためには、ソナタらの助けが、力が必要なのだ。どうか……どうか……! 我らに力を貸してくれ……!」
国王陛下が必死に懇願している。だが、蓮斗には妙に引っ掛かることがあった。だが、些細なことなので頭の片隅に留めておいた。
「……はい。おまかせください」
高峰が代表して答えた。
「そうか……。ありがとう。勇者殿」
国王陛下がホッとしたような笑みを浮かべた。その時レミリーと国王陛下の瞳に暗い炎が宿っているのに気づいたのは蓮斗だけだった。
「訓練?」
「はい。あなた方には訓練を受けてもらいます」
謁見の間を後にした俺たちは、王宮の長い廊下みたいなところを歩きながら、レミリーから訓練についての説明をうけていた。
「あなた方は今のままでは、他種族に力では劣っていなくとも技術で劣り、負けてしまいます。あなた方はまだこの世界に来てから1日しか経っていないのもあって、魔法の扱いや剣術には慣れていないでしょう。それを訓練で解消するのです」
「はあ……。なるほど」
今受け答えしているのも当然高峰だ。
「具体的なことは騎士団団長から聞いてください……。着きました。ここが訓練場です」
そう言ってレミリーは目の前にたたずんでいる巨大な鉄の扉を指差した。
「中に騎士団団長と他の騎士団員たちもいると思いますので、指示に従ってください」
そう言いながらレミリーは重そうな鉄の扉を開け、中に入るよう俺たちに促した。
中に入ると騎士の甲冑を身につけた人たちが数人待ち構えていた。訓練場の中は殺風景で余計なものが何一つ無かった。壁もなんだかとても分厚そうだった。しばらくすると、騎士団の中から一人いかにもベテラン感じの男の騎士が前に進み出てきた。
「よくお越しくださいました。私は騎士団団長のレギーロ・ルアモンテです」
……この人が騎士団団長か。なんか、纏ってるオーラがすごい……。
俺はそんな感想を抱いた。口調こそ丁寧なものの、全身から放つオーラが他の団員とは一線を画している。
「……では、私はこれで。健闘をいのります」
そう言うと王女は元来た道を引き返していった。騎士団団長を含め団員が皆王女に敬礼した。しばらくして、王女の姿は見えなくなり、団員は皆敬礼を解いた。
「では、早速訓練を開始しましょう。5班に別れてください。各班に団員が一人つきます。訓練の説明はその団員から聞いてください」
団長にそう指示され、それぞれの班に別れて訓練を開始したー。
ー訓練を開始してから14日後ー
「今日の訓練は大迷宮に潜りたいと思います。目標は、二十階層くらいですが……。何か質問のある人は?」
「……どこの迷宮に潜るんですか?」
誰かが疑問の声をあげた。
「ああ、すみません。言ってませんでしたね。初心者向けの迷宮のアリスレナ大迷宮です。……初心者向けとは言っても下に行けば行くほど難しくなります。因みに、100階層まであります。今の君たちだと……40階層が限界だと思います。…皆さんいく準備が終わり次第、王宮の外にある門の近くに集まって下さい」
「「「「はい!」」」」
こうして、俺たちの初の大迷宮での訓練が幕を開けた。
0
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
「専門職に劣るからいらない」とパーティから追放された万能勇者、教育係として新人と組んだらヤベェ奴らだった。俺を追放した連中は自滅してるもよう
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「近接は戦士に劣って、魔法は魔法使いに劣って、回復は回復術師に劣る勇者とか、居ても邪魔なだけだ」
パーティを組んでBランク冒険者になったアンリ。
彼は世界でも稀有なる才能である、全てのスキルを使う事が出来るユニークスキル「オールラウンダー」の持ち主である。
彼は「オールラウンダー」を持つ者だけがなれる、全てのスキルに適性を持つ「勇者」職についていた。
あらゆるスキルを使いこなしていた彼だが、専門職に劣っているという理由でパーティを追放されてしまう。
元パーティメンバーから装備を奪われ、「アイツはパーティの金を盗んだ」と悪評を流された事により、誰も彼を受け入れてくれなかった。
孤児であるアンリは帰る場所などなく、途方にくれているとギルド職員から新人の教官になる提案をされる。
「誰も組んでくれないなら、新人を育て上げてパーティを組んだ方が良いかもな」
アンリには夢があった。かつて災害で家族を失い、自らも死ぬ寸前の所を助けてくれた冒険者に礼を言うという夢。
しかし助けてくれた冒険者が居る場所は、Sランク冒険者しか踏み入ることが許されない危険な土地。夢を叶えるためにはSランクになる必要があった。
誰もパーティを組んでくれないのなら、多少遠回りになるが、育て上げた新人とパーティを組みSランクを目指そう。
そう思い提案を受け、新人とパーティを組み心機一転を図るアンリ。だが彼の元に来た新人は。
モンスターに追いかけ回されて泣き出すタンク。
拳に攻撃魔法を乗せて戦う殴りマジシャン。
ケガに対して、気合いで治せと無茶振りをする体育会系ヒーラー。
どいつもこいつも一癖も二癖もある問題児に頭を抱えるアンリだが、彼は持ち前の万能っぷりで次々と問題を解決し、仲間たちとSランクを目指してランクを上げていった。
彼が新人教育に頭を抱える一方で、彼を追放したパーティは段々とパーティ崩壊の道を辿ることになる。彼らは気付いていなかった、アンリが近接、遠距離、補助、“それ以外”の全てを1人でこなしてくれていた事に。
※ 人間、エルフ、獣人等の複数ヒロインのハーレム物です。
※ 小説家になろうさんでも投稿しております。面白いと感じたらそちらもブクマや評価をしていただけると励みになります。
※ イラストはどろねみ先生に描いて頂きました。
現実だと思っていたら、異世界だった件
ながれ
ファンタジー
スメラギ ヤスト 17歳 ♂
はどこにでもいる普通の高校生だった。
いつものように学校に通い、学食を食べた後に居眠りしていると、
不意に全然知らない場所で目覚めることになった。
そこで知ったのは、自分が今まで生活していた現実が、
実は現実じゃなかったという新事実!
しかし目覚めた現実世界では人間が今にも滅びそうな状況だった。
スキル「魔物作成」を使いこなし、宿敵クレインに立ち向かう。
細々としかし力強く生きている人々と、ちょっと変わった倫理観。
思春期の少年は戸惑いながらも成長していく。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
魔獣奉賛士
柚緒駆
ファンタジー
砂漠の巨大帝国アルハグラを支配する冷酷な王ゲンゼルは、東の果て、氷の山脈に棲む魔獣ザンビエンに、己の姫リーリアを生け贄として捧げる事を決めた。姫を送り届ける役目には、三十人の傭兵達と年老いた魔獣奉賛士が一人。それ以外の奉賛隊はアルハグラの民から選ばれる。孤児として育ったランシャは、報奨金目当てに奉賛隊に参加した。一方隣国ダナラムは、奉賛隊を壊滅すべく秘密裏に聖滅団を差し向ける。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる