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4章
Part 299 『意外にも意気投合』
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作業もとりあえず指導は終了して、篝さんは篝さんの作業に戻っていた。相変わらず、作っては満足出来ずに破壊するを繰り返している。
よっぽど、高度な技量を必要とする作品なのだろうなと傍目から見ていてもわかる。緻密で数ミリの誤差も許容できないほどに精巧な作りをしている。
というよりも、複雑に作られているせいで、それがどうやって作られているのか見ていてもよく分からなくなる。
集中力を高めるために自身に呪いを付与しているというだけあって、その視線は一切、作品から逸らされる事はない。その様子は、さながら機械のようだ。
結局、指導中に呪術まで行くことが出来なかったが、手応えはあった。数日中には、呪術の文字に移行することが出来る気がする。
しばらく、作業を行なっていると椿が顔を出した。
「外に知らない女の人がいます。」と明らかに不審者を見るような目をして、扉の前にいるサクヤを見ていた。
そういえば、椿は幽霊を見ることが出来るのだった。
というか、サクヤを外に出したまま放置してしまっていた。
「あ、もう良いよ。サクヤ、中に入っても、今日は呪術まで出来なかったから」
「私のこと忘れてませんでした?」
少し拗ねたような表情を浮かべてサクヤも家に入ってくる。
椿は、見知らぬ他人を見て少し困惑した表情を浮かべていた。もしかしたら、見えるだけで、妖怪にそこまで関わりはないのかもしれない。
「ごめん。椿、紹介するよ。俺の彼女のサクヤ」
「はじめまして、サクヤといいます。」
俺が紹介すると椿は、目を大きくさせて驚いていた。一瞬、理解出来ずに「え? ん?」と考えるような表情を浮かべている。
「彼女さん・・・・・・? でも、その人」
椿の言いかけた言葉はすぐに分かった。冷静に考えてみれば、妖精と人間が付き合うなんて普通じゃないので困惑も当然だ。
「ああ、桜の妖精なんだ。」
「妖精・・・・・・彼女・・・・・・」
椿は考え込むような表情を浮かべて少し呆然としていた。
「椿? どうかした?」
「え、いえ、なんでもありません。マスター。そうですか、マスターには、恋人がいらっしゃったのですね。」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「いいえ。言ってません。まあ、それはとりあえず良いです。はじめまして、サクヤさん、本機は、KS3415-通称 椿。人工AIを搭載したアンドロイドです。」
椿は、機械的に抑揚のない口調でそういうとぺこりと頭を下げた。
その設定、全員に説明してるらしい。
「アンドロイドなんですか!? はじめまして、アンドロイドの方とは、初めてお会いしました!」
椿の発言を真に受けたサクヤが椿の手を握り握手する。
「ロケットパンチとか出せるんですか? 私、昔読んだ。『機械怪人 スクラッパー』っていうアニメが大好きで!」
「出せます。ロケットパンチ-ラストフォームも完璧です。ただ、発射すると体が全て破壊されるので最終奥義です。スクラッパーは、私達アンドロイドの誇りです。」
俺は全く知らないアニメの話が展開されていた。しかし、意外にも意気投合した二人は、椿がアンドロイドという前提で話がどんどん進んでいた。
まあ、仲良くなれそうなら良いか。と納得して俺は、彼女達の話を聞いていた。
「スクラッパーの必殺技の産業廃棄砲とかもかっこいいですよね。あの地球の汚染と引き換えに超強力攻撃を出して敵へ攻撃する技」
なんだ、その環境に優しくないアニメ・・・・・・
よっぽど、高度な技量を必要とする作品なのだろうなと傍目から見ていてもわかる。緻密で数ミリの誤差も許容できないほどに精巧な作りをしている。
というよりも、複雑に作られているせいで、それがどうやって作られているのか見ていてもよく分からなくなる。
集中力を高めるために自身に呪いを付与しているというだけあって、その視線は一切、作品から逸らされる事はない。その様子は、さながら機械のようだ。
結局、指導中に呪術まで行くことが出来なかったが、手応えはあった。数日中には、呪術の文字に移行することが出来る気がする。
しばらく、作業を行なっていると椿が顔を出した。
「外に知らない女の人がいます。」と明らかに不審者を見るような目をして、扉の前にいるサクヤを見ていた。
そういえば、椿は幽霊を見ることが出来るのだった。
というか、サクヤを外に出したまま放置してしまっていた。
「あ、もう良いよ。サクヤ、中に入っても、今日は呪術まで出来なかったから」
「私のこと忘れてませんでした?」
少し拗ねたような表情を浮かべてサクヤも家に入ってくる。
椿は、見知らぬ他人を見て少し困惑した表情を浮かべていた。もしかしたら、見えるだけで、妖怪にそこまで関わりはないのかもしれない。
「ごめん。椿、紹介するよ。俺の彼女のサクヤ」
「はじめまして、サクヤといいます。」
俺が紹介すると椿は、目を大きくさせて驚いていた。一瞬、理解出来ずに「え? ん?」と考えるような表情を浮かべている。
「彼女さん・・・・・・? でも、その人」
椿の言いかけた言葉はすぐに分かった。冷静に考えてみれば、妖精と人間が付き合うなんて普通じゃないので困惑も当然だ。
「ああ、桜の妖精なんだ。」
「妖精・・・・・・彼女・・・・・・」
椿は考え込むような表情を浮かべて少し呆然としていた。
「椿? どうかした?」
「え、いえ、なんでもありません。マスター。そうですか、マスターには、恋人がいらっしゃったのですね。」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「いいえ。言ってません。まあ、それはとりあえず良いです。はじめまして、サクヤさん、本機は、KS3415-通称 椿。人工AIを搭載したアンドロイドです。」
椿は、機械的に抑揚のない口調でそういうとぺこりと頭を下げた。
その設定、全員に説明してるらしい。
「アンドロイドなんですか!? はじめまして、アンドロイドの方とは、初めてお会いしました!」
椿の発言を真に受けたサクヤが椿の手を握り握手する。
「ロケットパンチとか出せるんですか? 私、昔読んだ。『機械怪人 スクラッパー』っていうアニメが大好きで!」
「出せます。ロケットパンチ-ラストフォームも完璧です。ただ、発射すると体が全て破壊されるので最終奥義です。スクラッパーは、私達アンドロイドの誇りです。」
俺は全く知らないアニメの話が展開されていた。しかし、意外にも意気投合した二人は、椿がアンドロイドという前提で話がどんどん進んでいた。
まあ、仲良くなれそうなら良いか。と納得して俺は、彼女達の話を聞いていた。
「スクラッパーの必殺技の産業廃棄砲とかもかっこいいですよね。あの地球の汚染と引き換えに超強力攻撃を出して敵へ攻撃する技」
なんだ、その環境に優しくないアニメ・・・・・・
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