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4章
Part 262『呪術の代償』
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「呪いにも色々ある。だが、共通してんのは、呪いには代償が必要だって事だ。それは、俺にみたいに行動に制限をかけるものなんかも含まれる。そして、代償の種類は、二種類ある。支払う代償の量を決めておくものと継続して支払い続ける方法だ。俺にかけてる呪いは、前者だ。」
「いまいちよく分かってないんですけど・・・・・・」
「要するに一括払いか、分割払いかみたいなもんだ。俺は基本的に一括払いだ。自分の命を支払う呪術と自分の寿命を削り続ける呪術とじゃ違うだろ。」
「それって何か違うんですか? 結果的に同じじゃ・・・・・・」
最終的に無くなっているのだから結果は変わらない。呪術は基本的に使用者が死ぬまで半永久的に起動するのだからそこに違いがある様には見えない。
「呪術は、解除出来るからな。解除した時に違いが出る。支払った代償は帰ってこないからな。」
そう言われて、サツキさんの事を思い出した。自分の命を消費する『禍神』は、解除しても命が失われる効果は消えなかった。
そうなってくると、確かに意味合いが変わってくる。先に代償を支払う場合、途中で解除しても効果がなくなるだけで、返ってくる事はないが、継続で支払えば、解除した段階までの代償で済むという事だ。
「つまり、継続で支払う方が便利って事ですか?」
「いや、一概にそうとは言えねぇ。一括で支払う方法は、呪術の効果が継続的に支払うよりも効力が大きいからな。」
つまりは高い効力を得ようとすれば、一括で支払う必要があると言うことか。
だが、そもそも、呪術の代償は何で決まるのだろうか。得られる効果に見合っているかどうかはどこで判定するのだろうか。
そう思って尋ねてみると篝さんは難しそうな表情を浮かべて「・・・・・・勘だな」と本当に感覚的な事を言われた。
「そんな微妙な顔すんじゃねぇよ。事実だ。代償ってのは、感覚的なもんだからな。正当な代償だと認められれば正しく機能する。」
「正当じゃないとどうなるんですか?」
「機能しないか、明らかに破綻した代償は、マイナスが大きすぎる呪いを受ける。俺の先代は、交渉に失敗して右足がほとんど動かなくなった。メリットも何もない。先代達は、天罰って呼んでたもんだ。」
最初から危険と言われていたがこうして、改めて再認識した。こういう危険が存在しているものなのだ。
「まあ、今回、お前がやるのは、過去の先代達がもうすでにやって大丈夫だったもんだからな。ちゃんとやりゃあ、危険はねぇよ。だから、過去の先人に感謝しろって話をしたんだよ。」
そう言われてもう一度、手元にある本に目を向ける。多くの犠牲があって、俺は教えてもらっているのだ。そう思うと目の前にある本が一層重く感じた。これを無視してはいけない。
「だが、それは、継続に関する代償だ。起動には、別の代償がいるんだよ。」
「別の代償?」
「ああ、それが俺達のやってる事だ。文字を使い自分の手で作業をする。そうして初めて呪いは完成する。」
篝さんは、俺にそう言って俺の前に作りかけの作品を取り出した。
「いまいちよく分かってないんですけど・・・・・・」
「要するに一括払いか、分割払いかみたいなもんだ。俺は基本的に一括払いだ。自分の命を支払う呪術と自分の寿命を削り続ける呪術とじゃ違うだろ。」
「それって何か違うんですか? 結果的に同じじゃ・・・・・・」
最終的に無くなっているのだから結果は変わらない。呪術は基本的に使用者が死ぬまで半永久的に起動するのだからそこに違いがある様には見えない。
「呪術は、解除出来るからな。解除した時に違いが出る。支払った代償は帰ってこないからな。」
そう言われて、サツキさんの事を思い出した。自分の命を消費する『禍神』は、解除しても命が失われる効果は消えなかった。
そうなってくると、確かに意味合いが変わってくる。先に代償を支払う場合、途中で解除しても効果がなくなるだけで、返ってくる事はないが、継続で支払えば、解除した段階までの代償で済むという事だ。
「つまり、継続で支払う方が便利って事ですか?」
「いや、一概にそうとは言えねぇ。一括で支払う方法は、呪術の効果が継続的に支払うよりも効力が大きいからな。」
つまりは高い効力を得ようとすれば、一括で支払う必要があると言うことか。
だが、そもそも、呪術の代償は何で決まるのだろうか。得られる効果に見合っているかどうかはどこで判定するのだろうか。
そう思って尋ねてみると篝さんは難しそうな表情を浮かべて「・・・・・・勘だな」と本当に感覚的な事を言われた。
「そんな微妙な顔すんじゃねぇよ。事実だ。代償ってのは、感覚的なもんだからな。正当な代償だと認められれば正しく機能する。」
「正当じゃないとどうなるんですか?」
「機能しないか、明らかに破綻した代償は、マイナスが大きすぎる呪いを受ける。俺の先代は、交渉に失敗して右足がほとんど動かなくなった。メリットも何もない。先代達は、天罰って呼んでたもんだ。」
最初から危険と言われていたがこうして、改めて再認識した。こういう危険が存在しているものなのだ。
「まあ、今回、お前がやるのは、過去の先代達がもうすでにやって大丈夫だったもんだからな。ちゃんとやりゃあ、危険はねぇよ。だから、過去の先人に感謝しろって話をしたんだよ。」
そう言われてもう一度、手元にある本に目を向ける。多くの犠牲があって、俺は教えてもらっているのだ。そう思うと目の前にある本が一層重く感じた。これを無視してはいけない。
「だが、それは、継続に関する代償だ。起動には、別の代償がいるんだよ。」
「別の代償?」
「ああ、それが俺達のやってる事だ。文字を使い自分の手で作業をする。そうして初めて呪いは完成する。」
篝さんは、俺にそう言って俺の前に作りかけの作品を取り出した。
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