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4章
Part 259『世界一俺の恋人は可愛いと思う。』
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本当に創作というのは難しい。やる気があったとしても腕がその通りに動くとは限らない。逆にそのせいでやる気が削がれる事も多いのだ。
かと思うと今回の様にちょっと落ち着いた時にあっさりと出来上がったりする。
「まあ、単純に前までは気持ちが空回りしてたんだろうな。」
要するに力が入り過ぎていたのだろう。と俺は、完成したクマの絵を見ながら結論付けた。
一度のミスでダメになってしまうという意識が頭の中にあり過ぎたのだ。今後はその辺りを注意しなければいけない。
「で、一応は出来たんだけど、どうだった? あんまり、面白くなかっただろ?」
俺は、隣にいたサクヤに声をかけると「そんな事ありません。」と凄い勢いで首を振った。
「確かに作業はシンプルでしたけど、絵が出来ていくのは面白いですし、その・・・・・・」
少しサクヤは言い淀む。心なしか頬が赤い様な気がする。不思議そうに見守っているとサクヤは、こちらを上目遣いで見つめてくる。
「真剣な表情の日向さんは、新鮮で格好良かったです。」
俺は、慌てて顔を逸らして「あ、ありがとう。」とお礼を言った。
緩む頬を必死に元に戻す様に努める。サクヤの表情は照れがあってもお世辞は感じられなかった。それがとても嬉しくて、けれど、格好良いと言われた手前、緩んだ表情を見せるのは恥ずかしい。
ていうか、俺の恋人可愛過ぎか・・・・・・。うわぁ、本気で誰かに自慢したい。俺の恋人自慢したい。
今の瞬間を写真に撮って見せびらかしたい。これ、俺の恋人なんだぜ?ってドヤ顔したい・・・・・・いや、いや、落ち着け、落ち着け。
ナチュラルに上目遣いで褒めてくるなんて、まさに魔性の女・・・・・・。
「まあ、これからもっと練習して凄いのを作れる様になってサクヤの指輪も必ず作るからな!」
そして、俺も単純な男なので褒められるとやる気も出る。それも好きな女の子から褒められればなおさらだ。
本当は、もう少し話がしたかったのだが、妹からのメッセージもあるので帰らなければいけないので、俺は、サクヤと別れて帰路に着いた。
帰る途中もこのトキメキを誰かに伝えたい気持ちがあったのだが、流石に惚気話を人にする度胸はなかった。
ニヤケた表情を浮かべながら帰っている背筋に何か視線を感じた。まとわりつく様な気味の悪い感覚に慌てて後ろを振り返るとそこには誰もいない。
視線も振り返ると何も感じなくなってしまった。
「気のせいか・・・・・・?」
俺は自分に言い聞かせる様にそう呟いた。しかし、気味が悪いのは変わらなかったので俺は急いで家に帰った。
かと思うと今回の様にちょっと落ち着いた時にあっさりと出来上がったりする。
「まあ、単純に前までは気持ちが空回りしてたんだろうな。」
要するに力が入り過ぎていたのだろう。と俺は、完成したクマの絵を見ながら結論付けた。
一度のミスでダメになってしまうという意識が頭の中にあり過ぎたのだ。今後はその辺りを注意しなければいけない。
「で、一応は出来たんだけど、どうだった? あんまり、面白くなかっただろ?」
俺は、隣にいたサクヤに声をかけると「そんな事ありません。」と凄い勢いで首を振った。
「確かに作業はシンプルでしたけど、絵が出来ていくのは面白いですし、その・・・・・・」
少しサクヤは言い淀む。心なしか頬が赤い様な気がする。不思議そうに見守っているとサクヤは、こちらを上目遣いで見つめてくる。
「真剣な表情の日向さんは、新鮮で格好良かったです。」
俺は、慌てて顔を逸らして「あ、ありがとう。」とお礼を言った。
緩む頬を必死に元に戻す様に努める。サクヤの表情は照れがあってもお世辞は感じられなかった。それがとても嬉しくて、けれど、格好良いと言われた手前、緩んだ表情を見せるのは恥ずかしい。
ていうか、俺の恋人可愛過ぎか・・・・・・。うわぁ、本気で誰かに自慢したい。俺の恋人自慢したい。
今の瞬間を写真に撮って見せびらかしたい。これ、俺の恋人なんだぜ?ってドヤ顔したい・・・・・・いや、いや、落ち着け、落ち着け。
ナチュラルに上目遣いで褒めてくるなんて、まさに魔性の女・・・・・・。
「まあ、これからもっと練習して凄いのを作れる様になってサクヤの指輪も必ず作るからな!」
そして、俺も単純な男なので褒められるとやる気も出る。それも好きな女の子から褒められればなおさらだ。
本当は、もう少し話がしたかったのだが、妹からのメッセージもあるので帰らなければいけないので、俺は、サクヤと別れて帰路に着いた。
帰る途中もこのトキメキを誰かに伝えたい気持ちがあったのだが、流石に惚気話を人にする度胸はなかった。
ニヤケた表情を浮かべながら帰っている背筋に何か視線を感じた。まとわりつく様な気味の悪い感覚に慌てて後ろを振り返るとそこには誰もいない。
視線も振り返ると何も感じなくなってしまった。
「気のせいか・・・・・・?」
俺は自分に言い聞かせる様にそう呟いた。しかし、気味が悪いのは変わらなかったので俺は急いで家に帰った。
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