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3章
Part 157『鬼の中の最強』
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氷華さんの話が終わり夕食を食べてから、俺達は、自分の部屋に戻っていた。夕食の内容は、宴会の時に比べれば、質素ではあったが十分に豪勢な料理だった。
鬼の数も宴会の時ほどではなく、約半数以下がいるだけで、どうやら、皆で食事をするのは、特別な事だったらしい。
氷華さんは、餓狼衆を強襲するという情報を全体に流していたので、鬼達はざわついていた。
もっとも、それは困惑ではなく戦いがあるという歓喜の声がほとんどだった。
粉雪、曰く「まあ、鬼って基本的に勝負が好きなんですよね。放置でいいですよ。」と言う事らしい。
その結果、誰が餓狼衆を倒しに行くかを決めるために別邸に用意された道場のような場所で勝負することになっているらしい。
ただ、そのほとんどが男性で女性達は、あまり興味がないようだった。
どうやら、血気盛んなのは男の鬼ばかりらしい。
「ちょっと気になるけど、巻き添えくらいそうなんだよな。」
縁側で俺は、聞こえてくる喧騒を聴きながらそう呟く。
鬼の身体能力ととんでもなさに関しては知っているので、その鬼同士の戦闘ともなれば壮絶に違いない。
魔女同士の戦いも派手ではあったけれど、肉体的な戦闘ではなかったのでまた違っているのだろう。
「でも話によるとマコトさんが一番強いんじゃないかな。」
「そうですね。マコトは、今うちにいる中では三本の指に入る実力者ですかね。」
ぬるりと俺の独り言に入ってきたのは粉雪だった。手には日本でも見たことのある携帯ゲーム機をプレイしており、画面の中では赤い髪の美少女が話しかけてきていた。
「びっくりした。急に出てくるから・・・・・・」
「あはは、すみません。ちょっと驚くなーって思って」
「わざとじゃないか・・・・・・」
「この家だと一番強いとかを決めるのは難しいですけど、やっぱり、今回の勝負だと群を抜いてるのは、マコトだと思いますよ。まあ、確実に餓狼衆の捕獲のメンバーには入りますね。」
「やっぱり、強いんだな。」
「まあ、努力してるのは間違いないですね。ただ、今回参加しない人の中にとんでもない鬼が何人かいるのでなんとも言えませんけど・・・・・・」
とんでもない鬼って誰のことだと思っていると「お姉ちゃんとお母様は、やっぱり別格かなぁ。」と粉雪は、呟いた。
「真冬さん? やっぱり、真冬さんって強いのか。」
「身体能力の高さは多分一番かなぁ。体の構成され方がもう鬼とは別のものって感じ。ただ、お姉ちゃんは、戦う技術は一応身につけてるけど、お嫁さんしてて、かなりブランクがあるから、今だとマコトの方が強いかも?」
そこまでの身体能力を持っているとは思ってもみなかった。それにその口ぶりから察するに技術さえあれば、マコトにも互角以上の勝負が出来るって事だ。
「ていうか、そんな事ってあるのか? 鍛えてる奴が鍛えてない奴よりも身体能力が劣るなんてこと」
「んー本来ならないかな。私がマコトと力勝負すれば確実に負けるし、本来なら覆らない事なんだけどね。ただ、お姉ちゃんは、やっぱり別格かな。うちの家系は、結構、天才肌の鬼もいるけど、お姉ちゃんは、鬼がたどり着ける最高の遺伝子で構成された存在みたいな感じ、初期ステータスが違うからちょっと努力したらすぐに強くなっちゃう。」
粉雪は、憂鬱そうに「まあ、だから私は・・・・・・いや、なんでもありません。」と呟いた。
鬼の数も宴会の時ほどではなく、約半数以下がいるだけで、どうやら、皆で食事をするのは、特別な事だったらしい。
氷華さんは、餓狼衆を強襲するという情報を全体に流していたので、鬼達はざわついていた。
もっとも、それは困惑ではなく戦いがあるという歓喜の声がほとんどだった。
粉雪、曰く「まあ、鬼って基本的に勝負が好きなんですよね。放置でいいですよ。」と言う事らしい。
その結果、誰が餓狼衆を倒しに行くかを決めるために別邸に用意された道場のような場所で勝負することになっているらしい。
ただ、そのほとんどが男性で女性達は、あまり興味がないようだった。
どうやら、血気盛んなのは男の鬼ばかりらしい。
「ちょっと気になるけど、巻き添えくらいそうなんだよな。」
縁側で俺は、聞こえてくる喧騒を聴きながらそう呟く。
鬼の身体能力ととんでもなさに関しては知っているので、その鬼同士の戦闘ともなれば壮絶に違いない。
魔女同士の戦いも派手ではあったけれど、肉体的な戦闘ではなかったのでまた違っているのだろう。
「でも話によるとマコトさんが一番強いんじゃないかな。」
「そうですね。マコトは、今うちにいる中では三本の指に入る実力者ですかね。」
ぬるりと俺の独り言に入ってきたのは粉雪だった。手には日本でも見たことのある携帯ゲーム機をプレイしており、画面の中では赤い髪の美少女が話しかけてきていた。
「びっくりした。急に出てくるから・・・・・・」
「あはは、すみません。ちょっと驚くなーって思って」
「わざとじゃないか・・・・・・」
「この家だと一番強いとかを決めるのは難しいですけど、やっぱり、今回の勝負だと群を抜いてるのは、マコトだと思いますよ。まあ、確実に餓狼衆の捕獲のメンバーには入りますね。」
「やっぱり、強いんだな。」
「まあ、努力してるのは間違いないですね。ただ、今回参加しない人の中にとんでもない鬼が何人かいるのでなんとも言えませんけど・・・・・・」
とんでもない鬼って誰のことだと思っていると「お姉ちゃんとお母様は、やっぱり別格かなぁ。」と粉雪は、呟いた。
「真冬さん? やっぱり、真冬さんって強いのか。」
「身体能力の高さは多分一番かなぁ。体の構成され方がもう鬼とは別のものって感じ。ただ、お姉ちゃんは、戦う技術は一応身につけてるけど、お嫁さんしてて、かなりブランクがあるから、今だとマコトの方が強いかも?」
そこまでの身体能力を持っているとは思ってもみなかった。それにその口ぶりから察するに技術さえあれば、マコトにも互角以上の勝負が出来るって事だ。
「ていうか、そんな事ってあるのか? 鍛えてる奴が鍛えてない奴よりも身体能力が劣るなんてこと」
「んー本来ならないかな。私がマコトと力勝負すれば確実に負けるし、本来なら覆らない事なんだけどね。ただ、お姉ちゃんは、やっぱり別格かな。うちの家系は、結構、天才肌の鬼もいるけど、お姉ちゃんは、鬼がたどり着ける最高の遺伝子で構成された存在みたいな感じ、初期ステータスが違うからちょっと努力したらすぐに強くなっちゃう。」
粉雪は、憂鬱そうに「まあ、だから私は・・・・・・いや、なんでもありません。」と呟いた。
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