94 / 352
2章
Part 94 『変わっていく今』
しおりを挟む
後日談
随分と時間のかかった今回の依頼も無事に終了し俺は帰路に着いた。
ユキは、その次の日からリューの店で働くこととなった。元々、リューの店は、リドがほぼほぼ管理していた事もあって、基本的にリドのサポートという形で仕事を覚えていっているようだ。
「魔法使ってお湯を沸かそうとしたら怒られるんだよ? 私、お湯沸かして怒られたの初めてだよ。」
不満げにユキは僕に訴えてくる。しかし、記憶を代償とする魔法をお湯を沸かすためだけに使うのはどう考えても馬鹿だ。
「いや、それは横着したユキが悪いだろ・・・」
「えーだって、待つの面倒臭い・・・」
「みんな、そんなめんどくさい中で生きてんだよ。現代の科学技術のおかげで本来ならもっと時間のかかってたであろう作業が・・・」
「あーあー! そんなお説教が聞きたいいんじゃないよ! もう、お兄さんならわかってくれると思ったのに!」
両手で耳を塞ぎながらこちらに向かってそう叫ぶユキはなんだか年相応の子供に見えた。
「あ、そうだ。私、名前変えたんだ。ユキが2人いたらお兄さん呼ぶときややこしいでしょ?」
「あ、そうなのか。まあ、確かにややこしいはややこしいな。」
「これからは、ツララって名前で呼んでね。」
「ツララか、分かった。いい名前じゃないか。」
そういうとツララは笑って「ありがとう。」と笑った。新しいく自分の人生を生きて行くのにはずいぶん前向きで安心した。
「でも、本当はもっとかっこいい名前にしたかったんだけど、リドさんが、それは、後々傷口をえぐるからやめとけって・・・意味わかんないよね。」
ユキはわざと少し離れたところで事務作業をしているリドに聞こえるようにそう言った。
「名前にダークネスとかシルバーとか付いてるのが許されるのは若いうちだけだっての・・・先人の意見は聞いとくもんだ。」
リドが溜息を吐きながらそう呟いた。ああ、なるほど、闇に葬りたい歴史になるのを防いだのか。優しいな・・・
「キューティー・ダークネス・フレイム・エンペラー・ウィッチとか、かっこ良くない?」
「スタバのメニューかってぐらい盛ってんな・・・ちなみにめちゃくちゃダサイ。」
ダークネス・フレイム・エンペラーはちょっとかっこいいと思うけど・・・
「えー! そっか・・・じゃあ、いいや、ツララで」
どうやら、諦めがついた様でお茶を飲みながら「お兄さん、今度遊びに連れてってよ。」と言ってくるので「また今度な」と返事をすると「ほんと? 約束だからね? じゃあ、お仕事戻るかなぁ・・・」と言ってそそくさと店の奥に行ってしまった。
「じゃあ、俺も今日は帰る。」とリドに伝えて店を出るとちょうど、凛からメールが送られて来た。
それは、遊びに行く予定についての連絡だった。そうだ。サクヤを誘わないと・・・あと、ユキも誘ってみるか・・・
少し前までなら考えられなかった今の状況に少しだけ笑みが漏れる。
「さて、じゃあ、会いに行くかな・・・」
変わっていく事がこんなに楽しいのは久しぶりだと俺は思うのだった。
随分と時間のかかった今回の依頼も無事に終了し俺は帰路に着いた。
ユキは、その次の日からリューの店で働くこととなった。元々、リューの店は、リドがほぼほぼ管理していた事もあって、基本的にリドのサポートという形で仕事を覚えていっているようだ。
「魔法使ってお湯を沸かそうとしたら怒られるんだよ? 私、お湯沸かして怒られたの初めてだよ。」
不満げにユキは僕に訴えてくる。しかし、記憶を代償とする魔法をお湯を沸かすためだけに使うのはどう考えても馬鹿だ。
「いや、それは横着したユキが悪いだろ・・・」
「えーだって、待つの面倒臭い・・・」
「みんな、そんなめんどくさい中で生きてんだよ。現代の科学技術のおかげで本来ならもっと時間のかかってたであろう作業が・・・」
「あーあー! そんなお説教が聞きたいいんじゃないよ! もう、お兄さんならわかってくれると思ったのに!」
両手で耳を塞ぎながらこちらに向かってそう叫ぶユキはなんだか年相応の子供に見えた。
「あ、そうだ。私、名前変えたんだ。ユキが2人いたらお兄さん呼ぶときややこしいでしょ?」
「あ、そうなのか。まあ、確かにややこしいはややこしいな。」
「これからは、ツララって名前で呼んでね。」
「ツララか、分かった。いい名前じゃないか。」
そういうとツララは笑って「ありがとう。」と笑った。新しいく自分の人生を生きて行くのにはずいぶん前向きで安心した。
「でも、本当はもっとかっこいい名前にしたかったんだけど、リドさんが、それは、後々傷口をえぐるからやめとけって・・・意味わかんないよね。」
ユキはわざと少し離れたところで事務作業をしているリドに聞こえるようにそう言った。
「名前にダークネスとかシルバーとか付いてるのが許されるのは若いうちだけだっての・・・先人の意見は聞いとくもんだ。」
リドが溜息を吐きながらそう呟いた。ああ、なるほど、闇に葬りたい歴史になるのを防いだのか。優しいな・・・
「キューティー・ダークネス・フレイム・エンペラー・ウィッチとか、かっこ良くない?」
「スタバのメニューかってぐらい盛ってんな・・・ちなみにめちゃくちゃダサイ。」
ダークネス・フレイム・エンペラーはちょっとかっこいいと思うけど・・・
「えー! そっか・・・じゃあ、いいや、ツララで」
どうやら、諦めがついた様でお茶を飲みながら「お兄さん、今度遊びに連れてってよ。」と言ってくるので「また今度な」と返事をすると「ほんと? 約束だからね? じゃあ、お仕事戻るかなぁ・・・」と言ってそそくさと店の奥に行ってしまった。
「じゃあ、俺も今日は帰る。」とリドに伝えて店を出るとちょうど、凛からメールが送られて来た。
それは、遊びに行く予定についての連絡だった。そうだ。サクヤを誘わないと・・・あと、ユキも誘ってみるか・・・
少し前までなら考えられなかった今の状況に少しだけ笑みが漏れる。
「さて、じゃあ、会いに行くかな・・・」
変わっていく事がこんなに楽しいのは久しぶりだと俺は思うのだった。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
思い出を売った女
志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。
それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。
浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。
浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。
全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。
ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。
あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。
R15は保険です
他サイトでも公開しています
表紙は写真ACより引用しました
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる