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3章
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氷の破片の形をした、立花にとってはお守りでもある忠誠の証。それは彼女が天災地変に正式に入った時に、トップ────零から授かったものだ。
彼女はその時からこれを肌身離さず持ち歩いている。これを所持していれば、例え捉えられても零にはその居場所が分かる。さっきのように結界を切り開くことも。
言ってしまえば破片は、GPS機能がついた社員証。立花はこれを重宝している。今はこうして零と離れているが、これさえあれば零と共にいる気がして心強い。
今回の仕事は、この学園に侵入して麓の様子を報告せよ、というもの。あの忌々しいツラをまた拝まなければいけないのは癪だが、零の言うことならば従うのみ。
それに今回が初めての仕事らしい仕事。
今までは先輩に同行して仕事の様子をそばで見たり、サポートしていた。
だから今回、現場に1人で赴く日が来てそれなりにはりきっていた。監察対象が気に食わないと言えども。
立花はしばらく校舎全体を眺めていたが、東校舎に向かって歩き始めた。彼女がかつて通っていた場所。
その近くには寮があり、ヘアピンを持って黒い笑みを浮かべた、人間のくせにやたら狂暴な女のことを思い出した。
風紀委員の1年生である蒼に能力で箱に閉じ込められ、暴言を吐いたあの女にヘアピンを箱に突き刺してきた。正確には小刀に化けたヘアピンを。
あの時を思い出すと恐怖で震え、嫌な汗が背中を伝う。絶対あれは本気で殺すつもりの勢いだった。
────ほう…。やたら強い人間の女…。そんな者があの学園にいるのか。風紀委員寮にそのような寮長がいたとは初耳だ。
────実は私も初めて見ました。あの女寮長の存在はどうやら、あまり知られていないようで。
不思議な女だ。人間のくせしてあのお方に興味を持たれるなんて。
在籍時、大して話さなかった元ルームメイトやクラスメイトに聞いてみたら、そんな人は知らないと言われた。女子寮の寮長たちに聞いたら知っていたが、細かく追求しようとしたら仕事があるからとそれ以上相手にしてもらえなかった。
よく考えると”人間のくせに”という言葉を多用している。それはあの女が人間離れしているようだからか。
(もしそうだったら? 人間じゃないとしたらあの女は一体何者?)
立花が真っ先に思いついたのは大熊。いや、それこそ人間ではないのだけど。
もしもの時は人間と精霊の力量の差を顧みずに立ち向かってくるかもしれない。あのヘアピンを変化させて。あながち、熊というのは間違っていないかもしれない。
(脅威になる前に始末してしまおうか)
心の隅に滑り込んできた。体中の血液が熱くなってドクドクと波打ち、冬にも関わらず全身が熱くなってきた。
戦闘モードに入りつつあり、そのうち体から湯気が立ち昇りそうだ。だがそれを解除し、不敵な笑みで寮を見上げた。
(今回をやめておくわ。学園の襲撃が決まったら、今度は私が恐怖のどん底に落とす。せいぜいその時までのんきに過ごしなさい。風紀委員、女寮長…)
彼女はその場を離れ、再び東校舎へ向かう。
授業中だろうか。校舎近くに来ても静かだ。思えば授業というのはひどく退屈で、なんの面白みもなかった。
教科書は棒読み、板書してあることをただノートに書き写すだけ、教師の話は耳を右から左へ。成績は悪くなかったが、何のために授業を受けているのか目的は分からなかった。
(さて。久しぶりに教室へ行きましょうか)
立花は再び巾着を取り出した。これがあれば自分の姿を見えなくすることも可能だ。しかし、手の甲を軽く引っかいて血をわずかに流す必要がある。当然痛くてひりひりして気になるが、一時的なもの。彼女は息をついて、氷の破片を手の甲に軽く押し当てた。
「そんなことしたら痛いぞ。精霊だから傷跡なんて残らないが、痛かった思い出は記憶から消えない」
「誰っ!?」
突然聞こえた声は、手にしている氷のように冷たい。
振り向くとそこには、腕を組んで冷たく見下ろす男がいた。
彼のことは知っているが、直接会ったことも話したこともない。
襟足が長めの黒髪に紫のネクタイ。間違いない、彼は。
「11年生の彰…」
「俺のことを知っているのか」
彼は意外にも、ごく普通な態度を取った。女嫌いの噂のある男だから、睨みつけられるかと思った。
と言うかそれ以前に、これは不法侵入者に対して取る態度なのだろうか。立花は手を下ろした。
「何よ。もう1人の問題児が」
「お前が言えた義理か。嫌がらせで退学した女が」
「はぁ!?」
「小者ごときでも退学っつー珍しい処分を受けたら有名人だ。校内中であんたのやったことが噂になっていたぜ。…まぁ、噂は75日。すぐに消滅したがな」
彰は片頬を上げ、嘲笑した。立花の神経は逆なでされ、腹の底から怒りの炎が湧き上がってくる。
「…それが何? わざわざそんなことを言いにきたのかしら。だったらとっとと失せてちょうだい。こちとら学生とは違って立派な仕事があるの。邪魔されちゃ報酬がなくなるわ」
「俺が暇を持て余してここに来たとでも思っているのか。バカめ、学業をおろそかにして脳漿が腐ったか。あ、元からかもしれんな」
無表情で煽っている。精霊の中でもトップクラスの美しい外見とは裏腹に、話すことはいちいち癪にさわる。
彼女は氷の破片を懐にしまい、手を入れたまま冷たくアゴを持ち上げた。
「さっきの聞こえなかったかしら────とっとと失せろォ!!」
立花は2本のクナイを握り、語気を強めて彰に向かって飛ばした。しかし彼は取り乱すことなく、その場から動こうとしない。
(フン。組織に入ってから叩き込まれたクナイの扱い…無防備なヤツは避けられない!!)
立花は鼻で笑う。クナイが彼に到達すると、2本とも彰の心臓に刺突し鮮血が吹き出す。彼は膝と手をついて崩れ落ち、煽っていた口からは血が吐き出る────。
しかしそれは立花の脳内の映像であり、実際にそうはならなかった。
彰は確かにクナイを避けようとしなかった。クナイを素手で掴んでみせたのだ。先ほどと表情を何1つ変えずに。
とんでもない反射神経。立花はクナイを、銃に装填された弾丸のごとく投げたのだ。なのにそれをいともたやすく…。
「なんで…外したことはなかったのに…」
それなりに鍛錬を積み上げていた。悔しい。特に立花は負けず嫌いであった。
すると彰が立花の方を向いてクナイを持ち、構えた。その瞳には殺気がこもっている。今の彼女にはそう見えた。
(し…し、死ぬのなんて怖くない…! 精霊だから簡単には死なない。私が死ぬのは零様のおそばだけ…!)
心の中では強がっていながら、全身が震え出していた。ビクビクしていると、彰は構えを解いて立花の足元にクナイを投げた。力なく放られたそれは、無様に転がる。
立花は慌てて拾い上げ、彰のことを見上げる。腰を抜かさずに済んだが、クナイを持つ手はまだ震えている。
「死に場所、か。永遠の命を持つ精霊には随分と縁遠そうな言葉だ。天災地変のお前は死と隣り合わせかもしれんが」
彰はそれだけつぶやくと、立花に背を向けた。
これでやっと邪魔者が消える。
そうほっとしたのも束の間。立花は帰せないとばかりに腕を伸ばした。
「ちょ…待ちなさい!」
彰は迷惑そうな色を含んだ顔で振り向いた。眉間にシワが寄っている。
「なんだよ…失せろだとか待てだとか。俺はそんなに都合のいい男じゃない」
「そんなのどうでもいいわ。あんた…言ったわね。死に場所とか天災地変って…それは適当に言っているのかしら? それとも────」
あの組織に入ってから、外部の者に素性を話していない。会う事すらなかったが。
今まで関わったことのない男がそんなことを知っているはずがない。
だが彰は、見事なまでに立花を裏切った。
アゴを引き、歯をわずかにのぞかせ、瞳をスッと細めた。
「別に? お前の考えていることを読み取っただけだ」
「はぁ!? そんなことできるわけないでしょ! デタラメばかり並べていると、今度こそ心臓を貫くわよ」
「デタラメならお前が言っているじゃないか。さっきのクナイ投げの腕前はなんだ。言葉だけは殊勝だな。俺のツレの方がよっぽど筋がいい」
「へぇ…? 一匹狼にもツレだなんて呼べる人がいるとはね」
「なめるなよ。俺はお前と違って他人を全て拒否ってきたわけじゃねぇ…」
彰はニヒルな笑みだけを残し、校舎に向かって歩き出した。
取り残された立花は、憎しみの目で彼の背中を睨みつけ、爪が食い込みそうなほど拳を握った。
彼女はその時からこれを肌身離さず持ち歩いている。これを所持していれば、例え捉えられても零にはその居場所が分かる。さっきのように結界を切り開くことも。
言ってしまえば破片は、GPS機能がついた社員証。立花はこれを重宝している。今はこうして零と離れているが、これさえあれば零と共にいる気がして心強い。
今回の仕事は、この学園に侵入して麓の様子を報告せよ、というもの。あの忌々しいツラをまた拝まなければいけないのは癪だが、零の言うことならば従うのみ。
それに今回が初めての仕事らしい仕事。
今までは先輩に同行して仕事の様子をそばで見たり、サポートしていた。
だから今回、現場に1人で赴く日が来てそれなりにはりきっていた。監察対象が気に食わないと言えども。
立花はしばらく校舎全体を眺めていたが、東校舎に向かって歩き始めた。彼女がかつて通っていた場所。
その近くには寮があり、ヘアピンを持って黒い笑みを浮かべた、人間のくせにやたら狂暴な女のことを思い出した。
風紀委員の1年生である蒼に能力で箱に閉じ込められ、暴言を吐いたあの女にヘアピンを箱に突き刺してきた。正確には小刀に化けたヘアピンを。
あの時を思い出すと恐怖で震え、嫌な汗が背中を伝う。絶対あれは本気で殺すつもりの勢いだった。
────ほう…。やたら強い人間の女…。そんな者があの学園にいるのか。風紀委員寮にそのような寮長がいたとは初耳だ。
────実は私も初めて見ました。あの女寮長の存在はどうやら、あまり知られていないようで。
不思議な女だ。人間のくせしてあのお方に興味を持たれるなんて。
在籍時、大して話さなかった元ルームメイトやクラスメイトに聞いてみたら、そんな人は知らないと言われた。女子寮の寮長たちに聞いたら知っていたが、細かく追求しようとしたら仕事があるからとそれ以上相手にしてもらえなかった。
よく考えると”人間のくせに”という言葉を多用している。それはあの女が人間離れしているようだからか。
(もしそうだったら? 人間じゃないとしたらあの女は一体何者?)
立花が真っ先に思いついたのは大熊。いや、それこそ人間ではないのだけど。
もしもの時は人間と精霊の力量の差を顧みずに立ち向かってくるかもしれない。あのヘアピンを変化させて。あながち、熊というのは間違っていないかもしれない。
(脅威になる前に始末してしまおうか)
心の隅に滑り込んできた。体中の血液が熱くなってドクドクと波打ち、冬にも関わらず全身が熱くなってきた。
戦闘モードに入りつつあり、そのうち体から湯気が立ち昇りそうだ。だがそれを解除し、不敵な笑みで寮を見上げた。
(今回をやめておくわ。学園の襲撃が決まったら、今度は私が恐怖のどん底に落とす。せいぜいその時までのんきに過ごしなさい。風紀委員、女寮長…)
彼女はその場を離れ、再び東校舎へ向かう。
授業中だろうか。校舎近くに来ても静かだ。思えば授業というのはひどく退屈で、なんの面白みもなかった。
教科書は棒読み、板書してあることをただノートに書き写すだけ、教師の話は耳を右から左へ。成績は悪くなかったが、何のために授業を受けているのか目的は分からなかった。
(さて。久しぶりに教室へ行きましょうか)
立花は再び巾着を取り出した。これがあれば自分の姿を見えなくすることも可能だ。しかし、手の甲を軽く引っかいて血をわずかに流す必要がある。当然痛くてひりひりして気になるが、一時的なもの。彼女は息をついて、氷の破片を手の甲に軽く押し当てた。
「そんなことしたら痛いぞ。精霊だから傷跡なんて残らないが、痛かった思い出は記憶から消えない」
「誰っ!?」
突然聞こえた声は、手にしている氷のように冷たい。
振り向くとそこには、腕を組んで冷たく見下ろす男がいた。
彼のことは知っているが、直接会ったことも話したこともない。
襟足が長めの黒髪に紫のネクタイ。間違いない、彼は。
「11年生の彰…」
「俺のことを知っているのか」
彼は意外にも、ごく普通な態度を取った。女嫌いの噂のある男だから、睨みつけられるかと思った。
と言うかそれ以前に、これは不法侵入者に対して取る態度なのだろうか。立花は手を下ろした。
「何よ。もう1人の問題児が」
「お前が言えた義理か。嫌がらせで退学した女が」
「はぁ!?」
「小者ごときでも退学っつー珍しい処分を受けたら有名人だ。校内中であんたのやったことが噂になっていたぜ。…まぁ、噂は75日。すぐに消滅したがな」
彰は片頬を上げ、嘲笑した。立花の神経は逆なでされ、腹の底から怒りの炎が湧き上がってくる。
「…それが何? わざわざそんなことを言いにきたのかしら。だったらとっとと失せてちょうだい。こちとら学生とは違って立派な仕事があるの。邪魔されちゃ報酬がなくなるわ」
「俺が暇を持て余してここに来たとでも思っているのか。バカめ、学業をおろそかにして脳漿が腐ったか。あ、元からかもしれんな」
無表情で煽っている。精霊の中でもトップクラスの美しい外見とは裏腹に、話すことはいちいち癪にさわる。
彼女は氷の破片を懐にしまい、手を入れたまま冷たくアゴを持ち上げた。
「さっきの聞こえなかったかしら────とっとと失せろォ!!」
立花は2本のクナイを握り、語気を強めて彰に向かって飛ばした。しかし彼は取り乱すことなく、その場から動こうとしない。
(フン。組織に入ってから叩き込まれたクナイの扱い…無防備なヤツは避けられない!!)
立花は鼻で笑う。クナイが彼に到達すると、2本とも彰の心臓に刺突し鮮血が吹き出す。彼は膝と手をついて崩れ落ち、煽っていた口からは血が吐き出る────。
しかしそれは立花の脳内の映像であり、実際にそうはならなかった。
彰は確かにクナイを避けようとしなかった。クナイを素手で掴んでみせたのだ。先ほどと表情を何1つ変えずに。
とんでもない反射神経。立花はクナイを、銃に装填された弾丸のごとく投げたのだ。なのにそれをいともたやすく…。
「なんで…外したことはなかったのに…」
それなりに鍛錬を積み上げていた。悔しい。特に立花は負けず嫌いであった。
すると彰が立花の方を向いてクナイを持ち、構えた。その瞳には殺気がこもっている。今の彼女にはそう見えた。
(し…し、死ぬのなんて怖くない…! 精霊だから簡単には死なない。私が死ぬのは零様のおそばだけ…!)
心の中では強がっていながら、全身が震え出していた。ビクビクしていると、彰は構えを解いて立花の足元にクナイを投げた。力なく放られたそれは、無様に転がる。
立花は慌てて拾い上げ、彰のことを見上げる。腰を抜かさずに済んだが、クナイを持つ手はまだ震えている。
「死に場所、か。永遠の命を持つ精霊には随分と縁遠そうな言葉だ。天災地変のお前は死と隣り合わせかもしれんが」
彰はそれだけつぶやくと、立花に背を向けた。
これでやっと邪魔者が消える。
そうほっとしたのも束の間。立花は帰せないとばかりに腕を伸ばした。
「ちょ…待ちなさい!」
彰は迷惑そうな色を含んだ顔で振り向いた。眉間にシワが寄っている。
「なんだよ…失せろだとか待てだとか。俺はそんなに都合のいい男じゃない」
「そんなのどうでもいいわ。あんた…言ったわね。死に場所とか天災地変って…それは適当に言っているのかしら? それとも────」
あの組織に入ってから、外部の者に素性を話していない。会う事すらなかったが。
今まで関わったことのない男がそんなことを知っているはずがない。
だが彰は、見事なまでに立花を裏切った。
アゴを引き、歯をわずかにのぞかせ、瞳をスッと細めた。
「別に? お前の考えていることを読み取っただけだ」
「はぁ!? そんなことできるわけないでしょ! デタラメばかり並べていると、今度こそ心臓を貫くわよ」
「デタラメならお前が言っているじゃないか。さっきのクナイ投げの腕前はなんだ。言葉だけは殊勝だな。俺のツレの方がよっぽど筋がいい」
「へぇ…? 一匹狼にもツレだなんて呼べる人がいるとはね」
「なめるなよ。俺はお前と違って他人を全て拒否ってきたわけじゃねぇ…」
彰はニヒルな笑みだけを残し、校舎に向かって歩き出した。
取り残された立花は、憎しみの目で彼の背中を睨みつけ、爪が食い込みそうなほど拳を握った。
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