織畑ナズナの姐さん飯

KUROGANE Tairo

文字の大きさ
上 下
46 / 92

織畑ナズナの姐さん飯-45[炒めたフランスパンのチーズソースかけ]

しおりを挟む
 今日はレンカが久しぶりに《稲荷神の正装》が必要になったと、部屋のクローゼットの中身をだして探していました。しかし、見つかりせんでした。

『おかーさん!私の正装、どこだっけ?』

 そうきかれても、わかりません。私も自分の正装の収納場所の記憶怪しいです。最後に着たのは、第二次世界大戦前だった気がします。いや、一次のほうだったかも。

 休日に半日かけて探していたら、なぜか母のクローゼットから出てきました。孫の服、なぜかおばーちゃんのクローゼットからでてくるという実家のあるあるです。

 見つかった正装は長い間着ていなかったせいで神力失われ、見た目だけの飾り衣装になってしまいました。しかも稲荷神なりたての頃にデザインしたものなので、とくに胸囲の発育が良い彼女の体型では、もう入らないかもしれません。

 そこで新しく作る話になりました。現在服としても違和感のないワンピースタイプを採用し、一族伝統の下着無し着用を嫌うレンカは、専用インナーまで準備しました。

 あとは神力の注入を上位の神に依頼するのですが、そこは古くからの知り合いの布袋尊様に頼みます。問題は、神力注入の材料です。どこかの拳に鎧姿で戦う闘士たちのように、血がいるのです。この場合は稲荷神の血ですね。長く生きて強いほどいいのです。

『おばあちゃんの血を使っていいわよー。』

 と祖母が名乗り出たのですが、ソラちゃんが

『いや、もっといいのがある。定義は稲荷神限定ではなく、稲荷神同等の体質でもいいんだぜ。あんたらより長生きとなると、そこに平安時代から生きてる堕狐がいるじゃねえか。』

 と直感的に危機を感じて走り去ろうとしたタマモ先輩に、水面蹴りをして転倒させます。彼女は稲荷神ではなく、かつて世間を騒がせた最凶妖狐にして伝説の化け狐の玉藻前なんですが、体質は変わりません。同じフォー〇の使い手でもジェダ〇とダークサ〇ドがあるのと同じですね。そして葛の葉様とその子孫の術で弱体化している分はノーカウントなり、本来の力で質が判定されます。さらに母よりも長生き。最高の《素材》です。

『いまだキョウちゃん!』

 とレンカがキャメルクラッチを決めている間に、キョウちゃんが血をぬいて専用の保存瓶にいれました。これには血が固まらず、新鮮なまま保存できる術がかけられています。

 素材は手に入ったので布袋尊様に連絡して、都合のいい日に神力を付与してもらいましょう。

 さて、今夜は[炒めたフランスパンのチーズソースかけ]を紹介します。

 チーズフォンデュの場合は1つずつ溶かしたチーズの容器の中につけますが、これはチーズソースを作って、あらかじめかけた状態で食卓に出します。メリットはチーズを必要なだけ用意し易い(消費量を計算し易い)のと着ける手間がない。他の人と同じ容器でチーズを漬けたくない人がいても作れるところです。

 それでは作り方を紹介しましょう。

[1]フランスパンを一口大に切る
 フランスパンが無い場合、または硬いパンが苦手なひとは食パンで代用してください。

[2]フライパンでフランスパンを炒めて水分を飛ばす。
 火の通りが早いので、焦がさないように。ちょっと焦げるくらいはご愛敬。パンを炒める感覚がフワフワからカサカサになってきたら、そこでやめましょう。チーズに合うカリカリパンにするための工程なので、ふんわり食感の方がいい方は、この工程は省略します。

[3]耐熱の器にスライスチーズを細かく裂いて入れる
 これはちょっと個人的な感想がありまして、とろけるタイプよりとろけない方が時間調整し易い気がします。あくまで個人的な感覚の差なので、参考程度に。

[4]牛乳を入れる
 チーズ1枚につき、大さじ3杯ほど。この量はチーズの種類や、仕上がりを硬めにしたいか柔らかくしたいかでも変わってくるので同じく参考程度にしてください。

[5]電子レンジの500Wで30秒から1分単位で温めて混ぜる
 少量なら30秒、量がある場合は1分を目安に500Wでレンチンします。

[6]レンジから取り出して混ぜる
 スプーンなどで混ぜましょう。もうこれ以上混ざらないと思ったら、そこでいったんストップ。

[7]レンチンと混ぜるを繰り返す
 [5][6]をチーズの固まりが無くなるまで繰り返します。回数によっては、器が熱くなることがあるので注意してください。

[8]塩とブラックペッパーを好みで入れる
 これは好みの問題なので入れなくてもいいです。

[9]炒めたフランスパンにチーズソースをかける
 硬めだと必要分かけるのがちょっと大変かもしれません。

 カラカラの水分を飛ばして表面がカリっとなったパンに、ブラックペッパーのスパイスが聞いたチーズの風味がよく合います。

 ただ、私が作ったときにちょっと失敗したのは、チーズソースを硬めにしてしまった点です。人数分かける前に固まってしまって、全体に綺麗にかけるのが難しくなりました。

 よくよく考えてみればこれはチーズフォンデュではなく、あくまでもチーズソースの分類なるので、柔め……ほぼ液体ソースに近いくらい柔くした方が良かったと思ってます。

 パン以外にもさ色々な野菜、鶏肉、魚介類に合います。各食材ごとに湯で時間や加熱時間が異なるので、前準備が面倒というのが欠点ですが。

 簡単にパン以外で用意できるのは、パプリカです。こちらは良く洗って、種をとったものを好みの大きさに切るだけなので簡単です。

 パンで物足りなくなったら、色々な食材を追加してみましょう。2品程度追加するか、下準備時間が近いものから始めると挑戦しやすいですよ。

 それではまた次回、よろしくお願いします。


【材料(1人前)】
※チーズと牛乳は目安の比率。チーズの種類や仕上げの状態によっても変わるので目安程度に。
スライスチーズ…※2~3枚
牛乳…※大さじ3杯

お好みで塩・ブラックペッパーを追加(無くても良い)。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

義理の妹が妊娠し私の婚約は破棄されました。

五月ふう
恋愛
「お兄ちゃんの子供を妊娠しちゃったんだ。」義理の妹ウルノは、そう言ってにっこり笑った。それが私とザックが結婚してから、ほんとの一ヶ月後のことだった。「だから、お義姉さんには、いなくなって欲しいんだ。」

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

貴方に側室を決める権利はございません

章槻雅希
ファンタジー
婚約者がいきなり『側室を迎える』と言い出しました。まだ、結婚もしていないのに。そしてよくよく聞いてみると、婚約者は根本的な勘違いをしているようです。あなたに側室を決める権利はありませんし、迎える権利もございません。 思い付きによるショートショート。 国の背景やらの設定はふんわり。なんちゃって近世ヨーロッパ風な異世界。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】

清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。 そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」 こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。 けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。 「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」 夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。 「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」 彼女には、まったく通用しなかった。 「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」 「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」 「い、いや。そうではなく……」 呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。 ──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ! と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。 ※他サイトにも掲載中。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...