とある訳あり物件についての記録

<地方に念願の広い家を買ったんです。でもこの町、どこか奇妙なんです––––>

怪談師である僕、「幽玄」は毎月第二火曜の夜、音声SNSを使って実話怪談会を開いている。事前応募された中から面白い実話怪談を選び、紹介してくれた一般リスナーに当日話してもらう形式で、僕は基本的に聞き役に徹している。

これはある日の音声スペース内で聞いた、とある町に住む主婦の話。
––––時には幽霊なんかより、ずっと怖いものがある。僕はそう、思っている。

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