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休日
姪のミリアム
しおりを挟む迎えの馬車の中で王子の対面に座し「どこへ行くの?」と尋ねた。
口にしてからこの世界のことに疎いので「店名をきいてもどうせわかんないか」と思ったが、相手の回答は意外なものだった。
「今夜は急遽兄に予定が入ってね。姪のミリアムがひとりになってしまうから、ディナーは城でとりたいんだ」
いいかな、とすまなそうに言うエドアルドに理紗はもちろんと頷いた。
「お城ならわざわざ迎えに来なくてもいいのに」
メアリローズ専用馬車を思い浮かべながら言うと、咎めるような目を向けられる。
「レディをひとりで馬車に乗せるなんて無礼じゃないか」
はあ…。そういうもんなの?
「それに少しでも長くきみと居たいんだ。寂しいことを言わないでくれ」
はあ…。そうですか。
メアリローズの本を読んでからというもの、エドアルドをどう扱ったらいいのか決めかねている理紗は曖昧な笑みで回答を避けた。
「ミリアムと面識は?」
「少し」
そうか、と頷きエドアルドが顎に手を添え考え込む様子をみせた。
「……年のわりに聡明な子だ。淑女としてのマナーは完璧だし、おとなしく控えめだが、少しばかり人見知りでね」
おとなしく控えめ? と理紗は思わず首をかしげた。
舞踏会の夜に会った王女はネグリジェのまま部屋を抜け出し、庭や場内を忍び歩きするなかなか好奇心旺盛で大胆な子だった。
きっと大好きな「エディ」にはそういったお転婆なところは隠しているのだろう。
可愛い乙女心だ、と理紗は微笑ましく思った。
「大丈夫、きっと仲良くなれるわ」
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