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学園三日目
罪深い男
しおりを挟む──メアリローズ嬢
その呼び方にドキリとした。学園初日の出来事が脳裏をよぎる。
つまりこの格子の向こうの人影は──
「……シュバルツ先生?」
「ご名答」
クスリと笑う気配に理紗の口許がヒクついた。密室で二人きりという状況を喜ぶ自分が確かにいる。
同時にエドアルドが近くにいると思うとなにやら後ろめたさを感じた。
「ここで何をなさってるんですか」
「もちろん《ゆるしの秘跡》ですよ。罰と許しを与えるのは得意なので」
堪えきれず吹き出してしまった。さすがドSのシュバルツだ。
「教師兼神父さまなんですか?」
「どちらも資格は持っています。でもとくにやるべきこともなくて困っているんです」
「………」
確かにこの学園は変だ。
決まった授業もカリキュラムもなく、何となく朝やってきて各自昼食を取り、好きな時間に帰ってよいという意味不明なシステムなのだ。
生徒は図書館や馬場や遊戯室などでそれぞれ適当に時間を潰している。
学校というよりはいわば社交の場なのだろう。
つまり授業がないのだから教師はそもそも必要ないのだ。
キャラクターの差別化のために用意されたポジションなのだろうが、なんとなくシュバルツが不憫に思える。
「もうすぐ正午ですが、昼食は王子と?」
「…はい」
「これからずっと?」
「おそらく…」
煮えきらない返答にふっとかすかな笑い声が聞こえた気がした。
「あなたはそれでいいのですか?」
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