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学園二日目
厩舎
しおりを挟む見取り図を頼りに向かった厩舎は、想像以上に立派なものだった。
近くには大きな建物がいくつも点在し、行き交う人も多い。そのだれもが学園の生徒ではなく御者(馬車の運転手)のようだった。
生徒を連れてきてそのまま帰らずここらで待機しているようだ。
ずらりと並んだ馬車の中には今朝乗ってきた王子のものもあり、見覚えのある御者がせっせと磨き手入れをしていた。
ひとつひとつ確認しながら進むと、目当ての物を見つけた。
公爵家のメアリローズ専用馬車だ。
「お嬢様、もうお帰りで?」
御者のビリアムが、車輪磨きの手を止めて立ち上がった。
「いいえ、まだよ。ちょっと時間が空いたから様子を見にきただけ。お邪魔してごめんなさい」
理紗は昨夜のうちに執事に馬車の手配を頼んでいた。
王子の馬車につねに付き添うようにと。もちろん本人には内緒だ。
エスコートを断れない上に逃げ場がないのは困るのだ。
何かあったときすぐに乗り変えれると思うと心にも余裕ができる。
馬車を牽くための馬たちは厩舎の中で休んでいると聞き、理紗はそちらへ向かった。
馬房にはずらりと馬が入っており、家紋のようなプレートでグループ分けをされていた。
公爵家の家紋がわからずキョロキョロしていると、背後から不機嫌そうな声がかかった。
「おいあんた邪魔だ。そんなことでなに突っ立ってんだ」
声に振り向くと、飼い葉桶を両手に下げた青年が睨むように理紗を見据えていた。
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