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王宮舞踏会 ~入園セレモニー・夜の部~
小さなプリンセス
しおりを挟む「…お兄さん? エディは叔父よ」
妹じゃなくて姪だったんだ。
──エディって、エドアルドの愛称よね。なんか可愛い。
「エディに妹はいないわ。フィアンセなのにそんなことも知らないの?」
いぶかしげな目を向けられ、理紗は苦笑した。
また不審者に逆戻りだ。
「もしかしてさっきの人が誰かもわかってないの?」
あの騎士に囲まれた男性のことだろう。
理紗が頷くと、少女が目を見開いた。
「ならなぜ会いたくないと言ったの」
「イケメンだから」
「いけ、?」
あ、しまった。
「格好いいひとってこと。私そういうひととは極力関わりたくないの」
「ならエディは格好悪いってこと?」
理紗は思わず吹き出した。笑いながら首を振る。
少女はますます意味がわからないという顔をした。
「王子は親が決めた婚約者なの。だから私が好きで選んだ訳じゃないわ」
おっと、この言い方は不敬だろうか。慌てて理紗は付け足した。
「それは向こうも同じでしょうけど」
「…王族なら仕方のないことよ」
ポツリと少女がつぶやいた。
理紗がじっと見つめると、小さな口をきゅ、とかみしめる。
「あなたにももうフィアンセがいるの?」
理紗の…メアリローズの婚約は生まれる前からの約定だった。
そういうのが当たり前なのだろうか。
まだこんなに小さいのに…。
「まだいないけど、いずれお父様がお決めになるわ。私の結婚相手がこの国の王になるの」
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