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クライマックス02
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『準備は、よろしいですか?』
耳元へ「渋くて優しげな声」が囁やく。ここからは、ASMRをエフェクト加工によってエミュレートしたモノなんだそう。仕組みはよくわかんないけど、ガイドを編集するときに設定できるようにしてあった。
『では初めに、からだをラクにしてください』
背筋がゾクッと震えた。合成音声だというのは解ってるつもりなんだけど、まるで背中から抱きすくめられて耳元で囁やきかけられているような気になる。
特殊マイクをレンタルするときに、ガイダンスの新しいバージョンもアナウンスされてて、だいたいどんなモノかはわかってたんだけど、正直ここまでリアルなヤツだとは思ってなかった。内容を知らない方が楽しめると思ってリハーサル的なことは全くしてなかったけど、ソレで正解だったみたいね。
『目を閉じてください…』
ガイドの声に従って静かに目を閉じた。背中には、ソファの背もたれに張ってある布の感触しかしないハズなんだけど、こうやって後ろから囁やく声を聴いてると、からだ中の感覚がバグってしまいそうだ。
『息を吸って…吐いて…吸って…吐いて…目は瞑ったままで構いません』
言われた通りに呼吸を何回か繰り返すと、何となくからだの力が抜けていくような感じがしてくる。「瞑想」なんてちゃんとやったことがないけど、こんな感じなのかな?
『それでは始めます…ワタシはどこに居ますか? 思い浮かべてみてください』
え? 少し意表を突かれた。どこって……すぐ後ろ? あ、でも、ソコには誰も居ないよね……って、声からすると居るのか……だとすると私は……。
ちょっと混乱したものの、大きく両脚を広げてソファに座っている男の人の姿が頭の中へ浮かんだ。その人に背中から凭れかかるように「M字開脚」してるのが私だ。
さっき「背中から抱きすくめられてる」なんていう言い方をしたから、そのイメージがまんま残っていたのかもしれない。
『いかがです? ワタシは見つかりましたか?』
心の中で頷いた。やっぱりスグ後ろに「彼」が居る。目を瞑ってるからなのか、声の聴こえ方がいつも使ってるフツウのガイドとは違ってクッキリした輪郭を持っているようにも思えた。
『では、右手の中指を口元まで持っていきましょう』
声の通りに自然とからだが動く。自分のモノだという意識は残っているものの、何かに操られてるような不思議な感覚。でも全然イヤな感じがしなかった。むしろ、そうなってしまってることが心地よく感じる。
『指先を口に含んで…』
この声の主は、私に何をして欲しいのか? 私を、どうしようとしてるのか? 具体的なことは、ほとんど言ってないのに、いや、だからこそなのか、シンプルな言葉の裏に、様々なイメージが頭の中へ浮かび上がってくる。
指先を関節のところまで吸い込み、口の中で舌を動かして唾液を塗りつけていく。指の腹へ唾液を集めたところで次の声が聴こえた。
『目を開けて…あなたのキレイなところを見てください…』
目蓋を上げて、指を咥えながら俯くと、うっすらと紅潮した乳房の膨らみと薄いピンクの乳首が見える。ソレは、少し尖ってきていた。
『さぁ、やさしく可愛がってあげましょうか…』
ゆっくりと右手を伸ばし、唾液で潤った中指の腹でソコへ触れる。瞬間、からだの中心を鋭く電流が走った。その拍子に、ちょっとお尻を浮かせてしまった私は、思わず声を漏らしていた。
「あっ…」
『いかがです? もっと可愛がってあげていいんですよ…さぁ…』
こちらの様子を窺っていたかのように、タイミングよく言葉が紡がれていく。ホントによく出来たガイドだ、と感想を思い浮かべる間もなく、からだが勝手に動いていた。
右手の中指で乳首を下から擦りあげつつ、左手の指を口に咥えて唾液で潤していく。乳首の先から伝わってくる刺激が頭の先まで届いた。
「…ん…んっ…」
両方の乳首をそれぞれの指先で擦りあげながら、ソノ感触を味わう。おヘソの下辺りからムズムズとした感覚が広がって、ゆるゆると背骨を這い上がっていくのがわかった。
『…もっと好きなようにして構いません…』
頭の中心へ響くやさしい声に背中を押され、からだの脇に置いてあった「おもちゃ」を手に取りスイッチを入れた。ヘッドセットのおかげでモーターの回転音はミュートされ、ソレの振動だけが伝わってくる。球状のパール部分を右の指先で摘んで持ち、ゆっくりと乳首へ押し当てていった。
「…ふあっ…」
指で擦りあげたことで敏感になっていたところへ、追い討ちをかけるような強い刺激。思わず、からだをヒクつかせ、ハシタない声を上げてしまう。
おもちゃを当てている反対側の乳首も指で摘み、塗りつけた唾液で滑らせるようにしてクリクリと捻り苛めていった。
「…ん…んぁ…んん…」
クグもった声が口から漏れ出してしまう。
このくらいのことで感じてしまうなんて……ちょっと悔しくて、抵抗したい気持ちとは裏腹に、どんどん深みへハマっていこうとしている自分が抑えきれない。
『我慢しなくていいんですよ…もっと気持ちよくなって…』
こちらの脆弱な葛藤を全て見透かしたかのように発する柔らかな声に、心のカセが解かれる。こんな風になるのなら、もうダメだ。どうなっても構わないよね……。
耳元へ「渋くて優しげな声」が囁やく。ここからは、ASMRをエフェクト加工によってエミュレートしたモノなんだそう。仕組みはよくわかんないけど、ガイドを編集するときに設定できるようにしてあった。
『では初めに、からだをラクにしてください』
背筋がゾクッと震えた。合成音声だというのは解ってるつもりなんだけど、まるで背中から抱きすくめられて耳元で囁やきかけられているような気になる。
特殊マイクをレンタルするときに、ガイダンスの新しいバージョンもアナウンスされてて、だいたいどんなモノかはわかってたんだけど、正直ここまでリアルなヤツだとは思ってなかった。内容を知らない方が楽しめると思ってリハーサル的なことは全くしてなかったけど、ソレで正解だったみたいね。
『目を閉じてください…』
ガイドの声に従って静かに目を閉じた。背中には、ソファの背もたれに張ってある布の感触しかしないハズなんだけど、こうやって後ろから囁やく声を聴いてると、からだ中の感覚がバグってしまいそうだ。
『息を吸って…吐いて…吸って…吐いて…目は瞑ったままで構いません』
言われた通りに呼吸を何回か繰り返すと、何となくからだの力が抜けていくような感じがしてくる。「瞑想」なんてちゃんとやったことがないけど、こんな感じなのかな?
『それでは始めます…ワタシはどこに居ますか? 思い浮かべてみてください』
え? 少し意表を突かれた。どこって……すぐ後ろ? あ、でも、ソコには誰も居ないよね……って、声からすると居るのか……だとすると私は……。
ちょっと混乱したものの、大きく両脚を広げてソファに座っている男の人の姿が頭の中へ浮かんだ。その人に背中から凭れかかるように「M字開脚」してるのが私だ。
さっき「背中から抱きすくめられてる」なんていう言い方をしたから、そのイメージがまんま残っていたのかもしれない。
『いかがです? ワタシは見つかりましたか?』
心の中で頷いた。やっぱりスグ後ろに「彼」が居る。目を瞑ってるからなのか、声の聴こえ方がいつも使ってるフツウのガイドとは違ってクッキリした輪郭を持っているようにも思えた。
『では、右手の中指を口元まで持っていきましょう』
声の通りに自然とからだが動く。自分のモノだという意識は残っているものの、何かに操られてるような不思議な感覚。でも全然イヤな感じがしなかった。むしろ、そうなってしまってることが心地よく感じる。
『指先を口に含んで…』
この声の主は、私に何をして欲しいのか? 私を、どうしようとしてるのか? 具体的なことは、ほとんど言ってないのに、いや、だからこそなのか、シンプルな言葉の裏に、様々なイメージが頭の中へ浮かび上がってくる。
指先を関節のところまで吸い込み、口の中で舌を動かして唾液を塗りつけていく。指の腹へ唾液を集めたところで次の声が聴こえた。
『目を開けて…あなたのキレイなところを見てください…』
目蓋を上げて、指を咥えながら俯くと、うっすらと紅潮した乳房の膨らみと薄いピンクの乳首が見える。ソレは、少し尖ってきていた。
『さぁ、やさしく可愛がってあげましょうか…』
ゆっくりと右手を伸ばし、唾液で潤った中指の腹でソコへ触れる。瞬間、からだの中心を鋭く電流が走った。その拍子に、ちょっとお尻を浮かせてしまった私は、思わず声を漏らしていた。
「あっ…」
『いかがです? もっと可愛がってあげていいんですよ…さぁ…』
こちらの様子を窺っていたかのように、タイミングよく言葉が紡がれていく。ホントによく出来たガイドだ、と感想を思い浮かべる間もなく、からだが勝手に動いていた。
右手の中指で乳首を下から擦りあげつつ、左手の指を口に咥えて唾液で潤していく。乳首の先から伝わってくる刺激が頭の先まで届いた。
「…ん…んっ…」
両方の乳首をそれぞれの指先で擦りあげながら、ソノ感触を味わう。おヘソの下辺りからムズムズとした感覚が広がって、ゆるゆると背骨を這い上がっていくのがわかった。
『…もっと好きなようにして構いません…』
頭の中心へ響くやさしい声に背中を押され、からだの脇に置いてあった「おもちゃ」を手に取りスイッチを入れた。ヘッドセットのおかげでモーターの回転音はミュートされ、ソレの振動だけが伝わってくる。球状のパール部分を右の指先で摘んで持ち、ゆっくりと乳首へ押し当てていった。
「…ふあっ…」
指で擦りあげたことで敏感になっていたところへ、追い討ちをかけるような強い刺激。思わず、からだをヒクつかせ、ハシタない声を上げてしまう。
おもちゃを当てている反対側の乳首も指で摘み、塗りつけた唾液で滑らせるようにしてクリクリと捻り苛めていった。
「…ん…んぁ…んん…」
クグもった声が口から漏れ出してしまう。
このくらいのことで感じてしまうなんて……ちょっと悔しくて、抵抗したい気持ちとは裏腹に、どんどん深みへハマっていこうとしている自分が抑えきれない。
『我慢しなくていいんですよ…もっと気持ちよくなって…』
こちらの脆弱な葛藤を全て見透かしたかのように発する柔らかな声に、心のカセが解かれる。こんな風になるのなら、もうダメだ。どうなっても構わないよね……。
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