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「大丈夫?ひどい目にあったね」
「あの子たちに何があったのかしら」
ミレイちゃんのお屋敷に避難してきた私は、ミレイちゃんが出してくれたお茶を飲みながら気持ちを落ち着かせた。
「住民たちがエレノアちゃんを避けて、子供たちが魔女呼ばわりした理由はきっとこれ」
ミレイちゃんが一枚の書状を見せてきた。
「これは?」
「レオポール第2皇子が、有力貴族に送った書状だよ」
ミレイちゃんからレオポールの名前で貴族に送られてきた書状があると伝えられる。
「レオポール様の書状とどんな関係があるの?」
「自分の目で確かめた方が速いと思う。辛い内容かもしれないけど読んでほしい」
書状の内容はエレノアの聖女の力は偽物であり、長きにわたり我が国を騙していたと記されていた。
そして正当な聖女は別にいると記されており、近く任命式を行うとされていました。
「こんなのでたらめです。私の力は偽物などでは」
私は、書状の内容に対して深い悲しみと怒りを感じました。
「エレノアちゃん、大丈夫?」とミレイが優しく声をかけました。「あなたの力は偽物なんて、絶対にあり得ないわ。私はあなたの力を、いいえあなたのことを信じてる」
「でも、この書状は…」とエレノアは声を詰まらせました。
「うん。こんなでたらめな内容でも王族の記した書状なのよね。エレノアちゃんをよく知らない人はレオポール様の言葉を正しいと信じるでしょうね」
否定をしたいけれど、ミレイちゃんが言うことは正しい。
第2皇子の言葉に異を唱える人なんていないでしょう。
「この書状とは別に、今日有力な貴族たちがレオポール様に集められているの。何の集まりかわからないけれど、子の書状についても話題が上がると思う」
「そういえば、お父様も今日レオポール様主催の会議があると言ってました。おそらく、私との婚約破棄についてだろうと」
「そういうこと」
ミレイちゃんがすべてを理解したようにそう言いました。
「レオポール様は、ダンス交流会にいたあの女と一緒になるつもりなのね。でも、正当な婚約者のエレノアちゃんはこの国の聖女で、お父様は大臣のおひとり。流石に一方的な婚約解消は無理よ。だから、根本から否定するつもりなのね」
「私がレオポール様の婚約者になったのはこの国の聖女としてのお役目を認められたから」
「レオポール様、あいつはそれが偽物なら婚約を解消できると思ったのよ」
「ミレイちゃん、レオポール様の言う聖女はダンス交流会の女性だと思う」
私はレオポールに婚約破棄を言い渡された時の言葉を思い出した。
「エレノアちゃんはどうしたい?」
ミレイちゃんが私の肩に手を置いてまっすぐに見てくる。
「私は、レオポール様との婚約はどうでもいいです。でも、私の今までを否定されて偽物にされるのは嫌です」
ミレイちゃんは私の言葉にやさしく微笑むとうなずいた。
「エレノアちゃん!今から乗り込もう!私のお父様は抗議してくれると言ってたけど私たちも行こう!」
ミレイちゃんはそういうと、お屋敷の方々に急いで出発の準備をするように指示した。
「あの子たちに何があったのかしら」
ミレイちゃんのお屋敷に避難してきた私は、ミレイちゃんが出してくれたお茶を飲みながら気持ちを落ち着かせた。
「住民たちがエレノアちゃんを避けて、子供たちが魔女呼ばわりした理由はきっとこれ」
ミレイちゃんが一枚の書状を見せてきた。
「これは?」
「レオポール第2皇子が、有力貴族に送った書状だよ」
ミレイちゃんからレオポールの名前で貴族に送られてきた書状があると伝えられる。
「レオポール様の書状とどんな関係があるの?」
「自分の目で確かめた方が速いと思う。辛い内容かもしれないけど読んでほしい」
書状の内容はエレノアの聖女の力は偽物であり、長きにわたり我が国を騙していたと記されていた。
そして正当な聖女は別にいると記されており、近く任命式を行うとされていました。
「こんなのでたらめです。私の力は偽物などでは」
私は、書状の内容に対して深い悲しみと怒りを感じました。
「エレノアちゃん、大丈夫?」とミレイが優しく声をかけました。「あなたの力は偽物なんて、絶対にあり得ないわ。私はあなたの力を、いいえあなたのことを信じてる」
「でも、この書状は…」とエレノアは声を詰まらせました。
「うん。こんなでたらめな内容でも王族の記した書状なのよね。エレノアちゃんをよく知らない人はレオポール様の言葉を正しいと信じるでしょうね」
否定をしたいけれど、ミレイちゃんが言うことは正しい。
第2皇子の言葉に異を唱える人なんていないでしょう。
「この書状とは別に、今日有力な貴族たちがレオポール様に集められているの。何の集まりかわからないけれど、子の書状についても話題が上がると思う」
「そういえば、お父様も今日レオポール様主催の会議があると言ってました。おそらく、私との婚約破棄についてだろうと」
「そういうこと」
ミレイちゃんがすべてを理解したようにそう言いました。
「レオポール様は、ダンス交流会にいたあの女と一緒になるつもりなのね。でも、正当な婚約者のエレノアちゃんはこの国の聖女で、お父様は大臣のおひとり。流石に一方的な婚約解消は無理よ。だから、根本から否定するつもりなのね」
「私がレオポール様の婚約者になったのはこの国の聖女としてのお役目を認められたから」
「レオポール様、あいつはそれが偽物なら婚約を解消できると思ったのよ」
「ミレイちゃん、レオポール様の言う聖女はダンス交流会の女性だと思う」
私はレオポールに婚約破棄を言い渡された時の言葉を思い出した。
「エレノアちゃんはどうしたい?」
ミレイちゃんが私の肩に手を置いてまっすぐに見てくる。
「私は、レオポール様との婚約はどうでもいいです。でも、私の今までを否定されて偽物にされるのは嫌です」
ミレイちゃんは私の言葉にやさしく微笑むとうなずいた。
「エレノアちゃん!今から乗り込もう!私のお父様は抗議してくれると言ってたけど私たちも行こう!」
ミレイちゃんはそういうと、お屋敷の方々に急いで出発の準備をするように指示した。
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