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転生の令嬢

転生しました2

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エレナーゼとなって過ごすこの夢も、5日目の朝を迎えた。

夢にしては毎日の生活がしっかりとしているし、夢と認識したうえで目が覚めることなく普通に過ごしている。
これは、転生というものをしたのではないかと私は感じていた。

そして、5日間過ごしてもう一つ思ったのは、ここが私の好きなゲームの世界と瓜二つという事です。

もし、好きなゲームの世界の住人として生まれ変わったのだとするなら、現実で死んだであろう私も報われました。

ただし、転生したのがエレナーゼであるということだけが、私にとって好ましくない状況でした。

エレナーゼは、王子であるクリストフの婚約者でしたが、ヒロインであるローゼラムにその座を奪われてしまいます。

ヒロインにその座を奪われてしまい、本来ならば可哀想な女性ですが、エレナーゼはそこに同情の余地など生まれないほどの悪役令嬢なのです。

実際に、私もエレナーゼのことは大嫌いでした。

クリストフとローゼラムの組み合わせが、私にとってこの上ない癒しの存在だったのです。
邪魔をしてくるエレナーゼに対しては、出てくるのをやめてほしいと思いながら、毎日ゲームをしていました。

ただ、そこに関していえば、私が2人の邪魔をしないで、仲睦まじい姿を堪能するとすればさほど問題はありません。

問題なのは、エレナーゼが数々の悪行から婚約破棄だけではなく、犯罪者として悲惨な死を迎えるという事です。

このままですと、私はそのうちエレナーゼとして死を迎えることが確定しているのです。

ゲームのイベントを飛ばしたことで、詳しい死の描写を知らないのは不幸中の幸いかもしれません。

拷問の上で死んだりしてたら、精神的に耐えられなかったと思います。

このままエレナーゼとして生きていくとして、私は悲惨な死だけは回避しようと決意しました。

とはいえ、普通に過ごしていてはクリストフに婚約破棄をするための正当な理由がなくなってしまい、ローゼラムと結ばれなくなってしまいます。

このままクリストフと結ばれて過ごすのも悪くないですが、ヒロイン推しの私としてはやはりそれはできません。

クリストフの愛情はヒロインであるローゼラムに注いでこそ意味があるのですから。

ヒロイン推しである私の最適な立ち回りは、クリストフに愛想を尽かされ婚約破棄の正当な理由を与えるための行動と、悲惨な死の運命から逃れ2人の推しを眺めて過ごせるようになることです。

エレナーゼとして、この転生した世界を攻略してみせます!
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