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57.監禁野郎に手篭めにされる話
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遠距離恋愛中の恋人にフられた。
留学先で運命の人に出会ったと、浮かれた声を電話越しに聞いて開いた口が塞がらない。
「なんっでだよ!」
バーの机に八つ当たりしながら飲み散らかす。
徹夜で大好きなアニメを一話から見て気晴らしすると決意していると、ピアスをした色気のある男に声をかけられる。
「お兄さんかわいそう。大学生? まだ若いし次があるって。今日は飲みなよ、飲んで忘れな」
ピアスの彼に促されるまま杯を重ねて、気がつくと彼の家に連れ込まれていた。
状況を飲み込めない受けの頭上で、彼は髪をかきあげながら舌なめずりする。
「やっとフリーになってくれた。これからは僕が愛してあげるから、なにも心配はいらないよ」
初対面だと思った彼は自分のことを知っていたらしい。
タチの悪いストーカーかと抵抗したが、無遠慮にセンシティブな部分を触られて気持ちよくされちゃう。
目覚めると拘束されていた。離せと暴れる度に縄が食い込んで、それを見て自分が痛いかのように眉をひそめるピアスの彼。
「ごめんね、君を守るためにはこうするしかなかったんだ」
自分勝手な理屈を捏ねて、彼は受けを抱いた。
ここから出せと暴れる度に、彼はより一層責苦を激しくする。
甘い毒のように愛の言葉を耳元に流し込まれて、嫌だと思うのに体は昂ってしまう。
やがて諦めて従順に過ごしていたある日、偶然拘束が緩んでいるのを見つけた。
急いで服を着て玄関の鍵を開けたところで、ピタリと張りついたように足が動かなくなった。
最初は無理矢理だったけれど、毎回愛情深く食事を作ってあーんしてくれた姿を思い出す。
いかに受けが好きかうっとりと語り、拘束を解く以外の願いはなんでも叶えてくれた。
積み上げられたゲームや本、欲しいと駄々をこねた限定フィギュア、元彼に子供っぽいと否定された趣味も、彼はまるごと受け入れてくれた。
こんなにもそのままの自分を愛してくれる人なんて、この先現れないのではないか?
迷って部屋の中を見つめていると、ピアスの彼が帰ってきた。
玄関に突っ立っている受けを見て真顔になった後、捕食者の笑みで口角を上げる。
「おいでよ。今日は君の好きなローストビーフを作る予定なんだ」
足が縫いつけられたように動かない。
「それから君が喜ぶんじゃないかと思って、新しいゲームも買ってきたよ」
ゆっくりと抱きしめられ、耳元に声を吹き込まれた。
「愛してる。ほら、部屋に戻ろう?」
たっぷり数十秒は迷ってから、背中を抱き返す。
「……新しいゲーム、一緒に協力プレイしてくれるなら、戻る」
初めて受けから現状に対して前向きな言葉が出てきたと、ピアスの彼はほくそ笑んだ。
「いいよ、一緒にプレイしようか」
玄関の扉は閉まり、再び鍵がかけられた。
留学先で運命の人に出会ったと、浮かれた声を電話越しに聞いて開いた口が塞がらない。
「なんっでだよ!」
バーの机に八つ当たりしながら飲み散らかす。
徹夜で大好きなアニメを一話から見て気晴らしすると決意していると、ピアスをした色気のある男に声をかけられる。
「お兄さんかわいそう。大学生? まだ若いし次があるって。今日は飲みなよ、飲んで忘れな」
ピアスの彼に促されるまま杯を重ねて、気がつくと彼の家に連れ込まれていた。
状況を飲み込めない受けの頭上で、彼は髪をかきあげながら舌なめずりする。
「やっとフリーになってくれた。これからは僕が愛してあげるから、なにも心配はいらないよ」
初対面だと思った彼は自分のことを知っていたらしい。
タチの悪いストーカーかと抵抗したが、無遠慮にセンシティブな部分を触られて気持ちよくされちゃう。
目覚めると拘束されていた。離せと暴れる度に縄が食い込んで、それを見て自分が痛いかのように眉をひそめるピアスの彼。
「ごめんね、君を守るためにはこうするしかなかったんだ」
自分勝手な理屈を捏ねて、彼は受けを抱いた。
ここから出せと暴れる度に、彼はより一層責苦を激しくする。
甘い毒のように愛の言葉を耳元に流し込まれて、嫌だと思うのに体は昂ってしまう。
やがて諦めて従順に過ごしていたある日、偶然拘束が緩んでいるのを見つけた。
急いで服を着て玄関の鍵を開けたところで、ピタリと張りついたように足が動かなくなった。
最初は無理矢理だったけれど、毎回愛情深く食事を作ってあーんしてくれた姿を思い出す。
いかに受けが好きかうっとりと語り、拘束を解く以外の願いはなんでも叶えてくれた。
積み上げられたゲームや本、欲しいと駄々をこねた限定フィギュア、元彼に子供っぽいと否定された趣味も、彼はまるごと受け入れてくれた。
こんなにもそのままの自分を愛してくれる人なんて、この先現れないのではないか?
迷って部屋の中を見つめていると、ピアスの彼が帰ってきた。
玄関に突っ立っている受けを見て真顔になった後、捕食者の笑みで口角を上げる。
「おいでよ。今日は君の好きなローストビーフを作る予定なんだ」
足が縫いつけられたように動かない。
「それから君が喜ぶんじゃないかと思って、新しいゲームも買ってきたよ」
ゆっくりと抱きしめられ、耳元に声を吹き込まれた。
「愛してる。ほら、部屋に戻ろう?」
たっぷり数十秒は迷ってから、背中を抱き返す。
「……新しいゲーム、一緒に協力プレイしてくれるなら、戻る」
初めて受けから現状に対して前向きな言葉が出てきたと、ピアスの彼はほくそ笑んだ。
「いいよ、一緒にプレイしようか」
玄関の扉は閉まり、再び鍵がかけられた。
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